優秀な静音性を発揮する「AK400」
冷却性能を見ていく前に騒音値を確認していこう。騒音値はファンをヒートシンクに取り付けた状態で、排気側から約20cm離れた位置で計測している。ファン回転数はマザーボードのファンコントロール機能を利用し、回転数50%から10%刻みで調節している。テスト環境にビデオカードを使用しているが、騒音値の計測時は取り外して、iGPUで出力させている。
結果を見ると、回転数50%までは「AK400」、「虎徹 MarkII Rev.B」ともに35~36dBAと静か。ただ、「AK400」は最低回転510rpmで35.0dBAだったが、「虎徹 MarkII Rev.B」は回転数375rpmで35.2dBAと、「AK400」が搭載する「FC120P」のほうが若干静音よりになっている。
「AK400」の「FC120P」は50%以上も優秀で1600rpm前後となる80%までは、40dBAを切っている。さすがに100%回転時は、「虎徹 MarkII Rev.B」と同じ、46dBA台までアップするが、90%なら41.3dBAと悪くないので、ピーク回転数を80~90%になるように設定して運用するのが良さげだ。
ファン騒音値(ファン回転数)[暗騒音:34.5dBA] | ||
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AK400 | 虎徹 MarkII Rev.B | |
最低回転 | 35.0dBA (510rpm) | 35.2dBA (375rpm) |
50% | 36.0dBA (1110rpm) | 36.5dBA (970rpm) |
60% | 37.0dBA (1300rpm) | 38.0dBA (1120rpm) |
70% | 38.1dBA (1470rpm) | 39.5dBA (1260rpm) |
80% | 38.9dBA (1620rpm) | 42.4dBA (1380rpm) |
90% | 41.3dBA (1760rpm) | 44.7dBA (1510rpm) |
100% | 46.4dBA (1890rpm) | 46.3dBA (1620rpm) |
限界を知るのは大事、まずCore i9を試す
インテル定格運用でも、MTP(Maximum Turbo Power)が241Wに達するCore i9-12900K。TDPが220Wの「AK400」で運用するのはかなり厳しいが、まずは「AK400」の限界を見極めていこう。
負荷テストには、「CINEBENCH R23」が30分間連続実行される「Minimum Test Duration:30 minutes」を利用し、テスト中のCPU温度などは「HWiNFO64 Pro」で記録した。CPUのパワーリミット設定は、インテル定格のPBP(Processor Base Power)とMTPのほか、リミット解除となるPBP/MTP4096Wの状態でもテストしている。
結果は一目瞭然で、「AK400」でCore i9-12900Kを運用するのは厳しい結果になっている。ただ、目的の冷却限界はしっかりと見極められており、「虎徹 MarkII Rev.B」では、定格でも100度を超えているが、「AK400」は最高96度、平均も「虎徹 MarkII Rev.B」を5度程度下回る65.28度に抑え込めている。MTP 241W動作時はさすがにギリギリだが、PBP 125W動作時は余裕と、スペックの通り220Wの冷却性能は備わっていると言えるだろう。
続けて本命となるCore i7-12700Kと、Core i5-12600Kの結果をみていこう。
MTPが150WのCore i5-12600Kは、リミット解除状態でも最高、平均値ともに70度台と余裕のある温度となっている。最高温度は「虎徹 MarkII Rev.B」のほうがわずかに下回っているが、平均温度はほぼ同じだ。さらにファン回転数は、ともに60~70%で「AK400」は1400rpm前後、「虎徹 MarkII Rev.B」は1200rpm前後なので、騒音値は「AK400」のほうが38dBA前後と静かだ。
Core i7-12700Kでは、「虎徹 MarkII Rev.B」との差が顕著に出ており、インテル定格では「AK400」が「虎徹 MarkII Rev.B」から最高温度が7度も低い85度、リミット解除時ではさらに差がつき、「虎徹 MarkII Rev.B」が102度のところ92度に抑え込んでいる。
ただ、リミット解除時のファン回転数はほぼ100%に張り付くため、PCケースに収めた状態でも駆動音が耳につく可能性がある。最高92度に達するのは、判断が難しいところだが、CPUがフルロードされる用途は少ないので、PCの主な用途次第だろう。
続いて、Core i7-12700Kのリミット解除で「3DMark」のストレステストとなる「Time Spy Extreme Stress Test」や、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(4K解像度、最高品質、30分ループ)に、「Microsoft 365」や、「Adobe Lightroom Classic」、「Adobe Photoshop」、「Adobe Premiere Pro」を実際に使って、その性能を計測する「UL Procyon」を実行した際の最高と平均温度をみていこう。
結果は明らかで、最高温度は「Microsoft 365」を使った「UL Procyon Office Productivity Benchmark」実行時に、80度台を記録したが、まったく不安のない温度だ。平均温度も、40度から60度台と余裕のある温度になっている。
ゲーミングや、オフィスワーク、写真・動画の編集といった一般的な使い方なら、「AK400」はCore i7-12700Kと組み合わせて安心して使える冷却性能を持っている。静音面も、ファン回転数70~80%にカスタマイズすれば十分高められるので、おすすめだ。
「AK400」は4000円前後で選ぶCPUクーラーの最有力候補
DeepCoolのエントリーCPUクーラーの「AK400」を試してきたが、Core i7-12700KなどのTDP 220Wに収まるCPUと組み合わせる最有力候補に挙げられる。組み合わせるCPU次第では、静音性を維持するために、ファン回転数のカスタマイズが必要になるが、3980円の手ごろな価格でこのパフォーマンスなら、おすすめ度はかなり高い。
ただ、秋葉原の主要パーツショップは、ほぼ完売。5月12日に調べた限り、大阪のPCワンズに多少在庫があったので、秋葉原以外の店頭に残っている可能性はあるものの、かなり少ないだろう。買い逃した人は再入荷を待ちたい。

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