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阪大がメモリスター人工シナプス素子を開発、脳・神経系に近づく

2022年05月10日 05時55分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学の研究チームは、生体が学習や行動する際に機能する、脳・神経系の情報伝達に関わる連合性、変調性、相関性などの機能を、4端子のメモリスターからなる人工シナプス素子で実現することに成功した。生体が有する脳・神経機能をより忠実に再現することで、高度な機能を実現するニューラルネットワーク・ハードウェアの基幹素子としての応用が期待される。

大阪大学の研究チームは、生体が学習や行動する際に機能する、脳・神経系の情報伝達に関わる連合性、変調性、相関性などの機能を、4端子のメモリスターからなる人工シナプス素子で実現することに成功した。生体が有する脳・神経機能をより忠実に再現することで、高度な機能を実現するニューラルネットワーク・ハードウェアの基幹素子としての応用が期待される。 メモリスタとは、通過した電荷量に応じて抵抗が変化し、電源を切った後でもその値を記憶している素子である。研究チームが今回開発した人工シナプス素子では、従来は一次元でしか制御できなかった素子内の添加不純物(ドーパント)分布を、二次元面内で変化させることが可能になった。それにより、入力信号の経路や大きさなどによって、素子の抵抗状態が可逆的に遷移できるようになった。 研究チームは同素子を用いて、人が大きな音を聞いた当初は驚きの反応をしても、その音が繰り返されて無害であるとわかったときは反応を示さなくなる「慣れ」、逆にその大きな音を危険と感じて、小さな音にも敏感になる「感作」、餌に反応して無条件に唾液を分泌する犬が、ベルと餌を繰り返し同時に与えられることでベルのみに反応して唾液を分泌するようになる「パブロフの犬」など、生体の脳・神経系が有する高度な機能を実証した。 本研究成果は、米国科学誌「ACS応用エレクトロニック・マテリアルズ(ACS Applied Electronic Materials)」オンライン版に4月20日に公開された

(中條)

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