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狙いはブロックチェーン業界の黒子になること:

フォアー、ブロックチェーン開発の最先端ベトナムに新会社設立へ

文●盛田 諒(Ryo Morita) 撮影● 平原克彦 編集● ASCII.jp

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 独自のトレンド予測アルゴリズムを開発しているフォアーは2022年7月、ベトナムにブロックチェーン専門の開発会社「フォアーラブズ(Fore- Labs)」を設立する。当面は国内からの受託開発を中心に事業を成長させる計画だ。2022年度内に数十人規模で現地ブロックチェーンエンジニアを採用し、2023年度に向けて100〜200人規模への増員を予定する。フォアーはブロックチェーン業界でどのような構想を描いているのだろうか。フォアーラブズを指揮する藤田伸一COOに、開発拠点設立の意図と今後の展望について聞いた。

プロフィール──藤田伸一(ふじた・しんいち)
早稲田大学第一文学部哲学専修卒業。1999年に入社したAOLジャパン株式会社では、技術部門のディレクターとして、ネットワークインフラのキャパシティプランニング、運用、新規事業などを担当。同社を退社後、ベトナムに移住。株式会社エボラブルアジア(現エアトリ)の取締役CTOとしてベトナム法人の体制構築やオフショア開発事業を推進。その後、株式会社ベネッセコーポレーションにてシステム開発部 部門長を、分散型データ連携基盤を開発するスタートアップにて執行役員をそれぞれ歴任した後、2021年にフォアーに参画。

Web3時代にデータ活用のスタンダードを提供したい

── データ解析のアルゴリズムを手掛けるフォアーがブロックチェーン領域に注力するのはなぜでしょうか。

 データサイエンスの領域ではデータ主権が重要な争点となっています。

 ブロックチェーン技術によって、ビットコインをはじめとした暗号資産が登場したことで、人々は国境や政府の制限を受けることなく、自由に自身のアセットを管理して、世界中の人々と価値を共有できるようになりました。

 まだまだ発展途上の技術であり、DAOのような合意形成のプロセスが真に分散化されたわけではありませんが、ビットコインやイーサリアムのようなネットワークで大きなアップデートをする際は世界中から監視を受けることになります。不完全とはいえ、人々によるプラットフォームのデータガバナンスは確実に進んでいます。

 弊社フォアーは、データの解析にあたって各企業の最重要データを扱うため、データガバナンスの観点から、ブロックチェーンや分散型台帳技術の研究をしてきました。社内での実証実験やプロダクト開発の知見を広く社会に共有できる準備ができたため、今回ベトナムに開発拠点を作ることになりました。

── ブロックチェーン技術を使ってフォアーはどのような社会的価値を生み出していくのでしょうか。

 近年、DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)などのプロジェクトが世界各国で次々と生まれ、短期間で巨大な経済圏を形成する時代になりました。世界中の人々がより多くの情報をブロックチェーン上に記録されるようになっています。

DefiLlamaより

 メタバースやWeb3(Web3.0)の世界観が完全な形で実現するのは少し先ですが、分散型ネットワークにデータを記録する流れは確実に加速しています。そこはデータの宝庫であり、多くの可能性にあふれています。

 たとえばブロックチェーンゲーム内でのトレンドや、DeFiの相場の変化が現実世界のトレンドとして発現することもあるでしょう。グローバルなトレンドを把握するうえで、ブロックチェーン上でやりとりされるデータを活用することは非常に有用です。

 目まぐるしくトレンドの変遷するクリプト・ブロックチェーン業界にキャッチアップするのは非常に難しいですが、フォアーが開発してきたトレンド予測エンジンはこの業界でも大きなインパクトがあるはずです。

 たとえば世界最大のブロックチェーンゲーミングギルド「Yield Guild Games(YGG)」には膨大なデータが集まっています。

 日本企業の間でもブロックチェーン上でデータを解析する機運と需要は高まっていて、新しい産業で世界市場に展開する企業に対してデータ活用のスタンダードを確立して提供することがフォアーラブズの社会的価値だと思います。

 また、私たちはセキュリティ領域にも注力しています。暗号資産取引所などへの攻撃は後を絶たず、最近はスマートコントラクト自体の脆弱性をついた攻撃もあります。今後の業界の成長のために、セキュリティ領域の強化は必須だと考えています。そのため私たちはスマートコントラクトの監査業務にも注力してきました。

 データガバナンスの視点からも、「Fore Labsが監査しているなら安心だ」と思っていただけるような存在を目指していきます。

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