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東北大がアルミ・スクラップ再生技術、新地金の半分以下に省エネ

2022年04月27日 08時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、不純物元素を大量に含むアルミニウム・スクラップを純アルミニウムに再生できる技術を開発。再生する際にかかるエネルギーを世界で初めて、アルミニウム新地金の製造時の半分以下に抑えることに成功した。

東北大学の研究チームは、不純物元素を大量に含むアルミニウム・スクラップを純アルミニウムに再生できる技術を開発。再生する際にかかるエネルギーを世界で初めて、アルミニウム新地金の製造時の半分以下に抑えることに成功した。 不純物を含むスクラップから純アルミニウムを精製する際には、アルミニウムは溶融状態で処理することが常識だと今まで考えられてきた。しかし、研究チームは、アルミニウム・スクラップを溶融塩中で固体のまま電解すれば、基本的にアルミニウムのみが陽極から陰極へ移行し、高純度のアルミニウムが得られると発想。実証実験として、シリコン、銅、鉄を含有するアルミニウム合金で試したところ、陰極において純度99.9%のアルミニウムを96%の収率で回収できた。 現在のアルミニウムのリサイクルは、不純物の除去が避けられず質の劣化を伴うダウングレード・リサイクルとなっている。リサイクル・アルミニウムの最終用途は、現在は自動車用エンジンブロック鋳造品がほとんどだが、電気自動車シフトが加速するとエンジンの需要が激減し、使えないアルミニウムが大量に発生することが懸念されている。今回の研究は、この「アルミニウム・クライシス」の課題解決に貢献しそうだ。 研究成果は2022年4月14日に、英科学誌ネイチャー(Nature)のオンライン版に掲載された

(中條)

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