デノンのサウンドバーに待望の後継機「DHT-S217」
デノンは4月21日、Dolby Atomos対応のサウンドバー「DHT-S217」を発表した。
価格はオープンプライスで、実売価格は2万9500円前後になる見込み。5月19日の発売を予定している。
2019年発売の「DHT-S216」の後継機にあたるモデルで、新たにロスレスオーディオ(Dolby TrueHD、リニアPCM 7.1ch)に対応。また、より上位のモデルとしてラインアップされている「DHT-S517」と同じSoCを採用することで、余裕を持ったバーチャルサラウンドの信号処理が可能になっているという。
ドライバー構成は、直径75mmのサブウーファー×2、45×90mmのミッドレンジドライバー×2、25mmのトゥイータードライバー×2の6ウェイ。定常波の発生を防ぐため、平らな面を減らした設計を盛り込んだほか、前モデルに引き続き、同社のサウンドマスターである山内慎一氏がサウンドチューニングを担当している。
基本的な形状はDHT-S216を踏襲するが、フロント部のメッシュのカラーをグレーに、バスレフポート部分を従来のグロス仕上げからマット仕上げに変更することで、より落ち着いた、シックなイメージを打ち出した。
そのほか主な仕様は、インターフェースとしてHDMI入力端子、HDMI出力端子、光デジタル入力端子、AUX入力端子、サブウーファー出力端子を搭載。ARC/eARCに対応するテレビとはHDMI端子経由で、非対応のテレビとは光デジタルで接続できる対応音声フォーマットはDolby Atmos、Dolby TrueHD、Dolby Digital Plus、Dolby Digital、リニアPCM(7.1ch)、AAC(MPEG-2/MPEG-4)。サイズはおよそ幅890×奥行き67×高さ120mmで、重量はおよそ3.5kg。
情報量がアップし、より繊細な音を表現できるように
同社の試聴ルームで試聴する機会を得たので、DHT-S216と比較したサウンドの印象を述べたい。
DHT-S216はサウンドバーながら、原音をストレートに出力する「Pureモード」を搭載するなど、サウンドバーの新たな可能性を見せたモデル。テレビと組み合わせて使うオーディオ機器に求められる迫力を備えながらも、時には繊細な原音重視のサウンドが楽しめることで人気を集めていた。だが、対応フォーマットはDolby Digital、DTS、AAC、リニアPCMに限られていたことで、購入に踏み切れなかった“スペックにこだわるユーザー”もいたかもしれない。
Dolby Atmosのリファレンス用音源をDHT-S216とDHT-S217で交互に聴き比べたところ、ロスレス音源に対応したことで情報量が高まり、音が消え入る余韻の繊細さや、ふくよかさが一層増していると感じた。
DHT-S216のサウンドも文句なく上質だが、DHT-S217では再現性が大きくアップしたことで、音の広がり感や、音と音の位置関係がさらにはっきりと伝わってくる。
大きなデザイン変更は加えず、純粋に性能のみをアップさせている点も評価できる。DHT-S216の時点で、筐体の設計は完成されていたことを意味しているからだ。DHT-S216との入れ替えはもちろん、ロスレス非対応がネックとなって、DHT-S216は購入を見送ったユーザーにもぜひ試してほしいモデルに仕上がっている。