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地球温暖化で高潮・波浪は減少傾向へ、京大防災研が予測

2022年03月30日 06時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学防災研究所の研究チームは、米国アルゴンヌ国立研究所、気象庁気象研究所との共同研究で、地球温暖化による地球全体の高潮と波浪の将来変化を予測。日本を含む北西太平洋では、将来の台風の頻度が減少し、これに伴い、毎年発生する規模の高潮と波高は将来減少傾向を示すことが明らかになった。さらに、地球温暖化により台風は強化されるものの、50年に1度発生するような極端な高潮や波高の将来変化量は気候がもつ固有の自然変動量と同程度であることがわかった。

京都大学防災研究所の研究チームは、米国アルゴンヌ国立研究所、気象庁気象研究所との共同研究で、地球温暖化による地球全体の高潮と波浪の将来変化を予測。日本を含む北西太平洋では、将来の台風の頻度が減少し、これに伴い、毎年発生する規模の高潮と波高は将来減少傾向を示すことが明らかになった。さらに、地球温暖化により台風は強化されるものの、50年に1度発生するような極端な高潮や波高の将来変化量は気候がもつ固有の自然変動量と同程度であることがわかった。 同研究では、気象庁気候研究所が開発した「全球気候モデル」によって再現した過去から温暖化を想定した将来の気候に基づき、地球全体の高潮と波浪の1950年から2100年までの連続的な変化を評価。これまで別々に評価されていた地球全体の高潮と波浪の将来変化を、世界で初めて統一的に示した。 台風によって発生する高潮と高波は日本の沿岸災害の主要因であるため、評価の際には、台風の強度を適切に再現することが重要となる。全球気候モデルによる台風の再現はこれまで困難だったが、世界でもトップレベルの解像度の全球気候モデルを使うことで、台風による高潮と高波を適切に再現できたという。 研究成果は2022年3月14日に、国際学術誌「ジオグラフィカル・リサーチ・レターズ(Geophysical Research Letters)」にオンライン掲載された。地球温暖化に伴う世界の沿岸域の脆弱性の将来変化の評価や適応策への適用が期待される。

(中條)

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