このページの本文へ

SaaSとデータバックアップの課題を考える 第2回

AIと機械学習の発展は、SaaS市場をどう変えるのか?

2022年03月29日 08時00分更新

文● 古舘正清/ヴィ―ム・ソフトウェア 執行役員社長、デイブ・ラッセル(Dave Russell)/Veeam Software エンタープライズ戦略担当バイスプレジデント(寄稿)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 SaaS(Software-as-a-Service)は、アクセス性、機能性、柔軟性を求める企業にとって、ますます現実的な選択肢になりつつあります。SaaSは、スケールの大きなクラウドデリバリー、いつでも利用できる接続性、エンタープライズグレードのセキュリティを持っているため、言わば、SaaSベースのクラウドモデルは、企業のリソース不足を大幅に改善し、コスト削減を叶えるモデルであるといえます。

 SaaSは、ソフトウェアがクラウドを介してインターネット上で瞬時に利用できるため、ユーザーやサプライヤーが人手を介さずに自社でソフトウェアを管理できるところまで進化しており、今後ますます一般的になっていくと考えられます。米ガートナー社は、2022年末までに世界のSaaS市場規模が約16兆円を超えると予測しています。日本を含むアジア太平洋地域では、2018年から2023年の期間中に34.28%の年平均成長率(CAGR)で市場が成長すると予想されています。

 SaaSソリューションの継続的な進化の一環として、人工知能(AI)と機械学習(ML)の両方が、SaaSエコシステムに不可欠な要素となってきています。自動化されたコンピューティングと強力なデータ駆動マシンのブレークスルーにより、両者はSaaSにおいて不可欠な役割を担っているのです。

AIが一人歩きしていく

 AIは、高い可用性や自律的なプロビジョニングで、SaaSモデルの主要な特性を全面的に改善するのに役立つため、データ保護が直面する課題をさまざまな方法で解決できるようになるかもしれません。SaaSにAI機能を組み合わせることで、企業はデータからより良い価値を引き出し、サービスの自動化とパーソナライズ、セキュリティの向上、人的リソースの組織化を実現することができます。

 SaaSの登場は、従来のデータ処理アプリケーションソフトウェアでは複雑すぎるデータを分析し、引き出し、活用することを可能にするビッグデータの概念とほぼ一致しています。AIを活用することによるSaaSの明確な利点は、ソフトウェア・プロバイダーがさまざまなお客様から収集したデータにアクセスできることや、これを活用してよりパーソナライズされた顧客体験を開発できるのです。現代のIT運用は、急速に増加するデータとそのデータを監視するツールが多様化している課題を抱えており、多くの企業は潜在的な障害や混乱をより迅速かつシームレスに防止・特定・解決するためのAIソリューションに注目しています。

機械学習はクラス最高水準のカスタマーエクスペリエンスを実現する

 AIのサブセットである機械学習は、SaaSを利用する企業のパーソナライゼーションを大幅に向上させることができます。これは、消費者が自分自身のニーズに合った価値体験を求めていることをみても、重要なことです。機械学習は、ユーザーの過去の行動を分析することで、購入前であってもユーザーの好みや興味に関する実用的な洞察を企業に提供することができます。これにより、企業はユーザーインターフェイスを設定し、個々にカスタマイズされた顧客体験を提供することができます。

 また、AIや機械学習は、より個別化されたキャンペーンの実現に加え、音声コントロールといった革新的な新機能を備えており、ユーザーの行動をより正確に把握することができます。お客様は、良いカスタマーサービスを受けたブランドに対して高い関心を示す傾向があるため、これは収益の維持と顧客離れの低減にとって朗報です。

 機械学習は、AIを搭載したライブチャットボットなど、顧客サービスのレポートやアプリケーションにおける応答性の自動化を進めていくでしょう。機械学習は自律的な運用モデルで構築されているため、新たなアップグレードにより、企業がお客様に完璧な顧客体験を届けることに集中できるよう、膨大な量の内部運用をふるいにかけられるソフトウェアやプラットフォームの構築が促進されるでしょう。

モバイルファーストの設計と機能性の向上

 モバイル機器や画面は、独自の機能や特徴を必要とします。モバイルファーストの設計と開発に重点を置くことで、SaaSインフラを採用する企業は、来年以降、大きな費用対効果を得られる可能性があります。

 モバイルファーストのデザインアプローチが人気を博していることから、モバイルSaaSの未来はアプリ主導型であると推察されます。調査によると、日本を含むアジア太平洋地域のスマートフォンユーザーは25億9,000万人で、同地域のウェブトラフィック全体の約3分の2(64%)を占めています。つまり、モバイルアプリは一般にユーザーの日常生活に密着しており、同じような価値体験を提供できない企業は、特にデジタルネイティブである若い世代のロイヤルカスタマーの大部分を失うことになりかねません。

 最新のトレンドに対応するためには、既成概念にとらわれない発想と時代への適応が必要です。そのため、モバイルアプリを優先事項に据えたモバイルファーストの設計を行うことが必要なのです。スマートフォンの利用者は今後も増え続けることを考慮しても、モバイルフレンドリーの姿勢を目指すべきかどうか疑う余地はありません。

SaaSの未来

 AIと機械学習は、すでにSaaSの可能性を広げ続けており、今後も重要な役割を果たすでしょう。その長期的な応用には無限の可能性があり、この業界に明るい未来を約束しています。

 AIは、企業や消費者にとって新しい時代の幕開けを象徴しています。常に進化し、急速なペースで適応しているダイナミックな業界では、SaaSモデルを採用したい企業は、技術部門にAIと機械学習のポジションを新たに準備する必要があります。

(寄稿:Veeam Software)

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    フォーティネットの「SSL-VPN廃止」 IPsec移行と脱VPN、それぞれの注意点を総ざらい

  2. 2位

    ソフトウェア・仮想化

    「SaaSの死」の影響は感じない ― グローバル以上に好調な日本市場、ServiceNow鈴木社長が語る

  3. 3位

    ネットワーク

    ネットワークとセキュリティの統合に強み 通信事業者系ZTNA/SASEサービス3選

  4. 4位

    TECH

    「蟻の一穴」となるリモートアクセスVPNの脆弱性 ZTNA/SASEはなぜ必要か?

  5. 5位

    デジタル

    海外駐在員の負担を軽減し、ワンチームへ kintoneは言語と文化の壁を越える「翻訳の魔法」

  6. 6位

    ビジネス

    医療費5兆円抑制につながる“国産ヘルスケア基盤”構築へ SMBC×富士通×ソフトバンクが業務連携

  7. 7位

    エンタープライズ

    基盤も古いし、コードも酷い! そんなクエストにGitHub Copilotで試行錯誤しまくった「みんな」こそ最高

  8. 8位

    サーバー・ストレージ

    「30%ではなく“30倍”の生産性向上へ」 AIエージェント時代に求められるIT基盤、マイケル・デル氏が語る

  9. 9位

    ビジネス・開発

    いますぐ捨てたいITサービスは? AI推しにそろそろ飽きてません? 情シスさんのホンネを「ゆるっとナイト」で聞いた

  10. 10位

    ITトピック

    AIセキュリティで必要な6つの対策/20代の半数が「検索エンジンを使わない」/生成AIツールはエンジニアの「業務インフラ」へ、ほか

集計期間:
2026年05月19日~2026年05月25日
  • 角川アスキー総合研究所