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デスクトップスピーカーに小さな巨人が登場

日本の伝統が息づいたクリプトン「KS-55Hyper」、テレビサイドでもPC連携でも最高の音

2022年03月30日 11時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●ASCII

提供: クリプトン

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豊富なデジタル入力を持ち、さまざまな機器と連携できる。

刮目のテレビ音声再生! YouTubeも生き生きと歌い出す

 では、試聴だ。KS-55Hyperはアナログのステレオミニに加え、デジタルのUSB(角型B端子)、S/PDIF(光角型)と入力端子が多い。ここではデジタル系を聴く。Bluetoothにも対応しているので、スマホからも飛ばしてみよう。

 本機の用途として、現代的なものはテレビの外部スピーカー用途が挙げられる。今やテレビは、ネットコンテンツの出口となり、特にYouTubeの音楽コンテンツも格好の楽しみだ。しかし、画質はそこそこよくなったが、もともと圧縮音声で送られているので音質は低い。

 それを一般のテレビ内蔵のスピーカーで聴くと、まったくもって耳の残酷以外の何物でもない。ものすごく帯域が狭く、低音が薄く、高音が伸びず、中域が硬い。どんな曲をやっているかがわかる程度で、音の情報量はものすごく少ないのだ。音場もほわっとだらしなく広がるが、ボーカルや楽器の音像は実にあいまい。楽器の質感ものっぺりと。それはそれは小さなユニット、容積が小さいエンクロージャー、しかも下向き……なのだから、音に資源が割かれず、情けない音になるのは、致し方ない。マーケティング指向というか、余りにデザインを優先させた弊害と言えそうだ。

 「ところが」である。光ケーブルで接続したKS-55Hyperで聴くとまったく次元の違う体験ができる。音の情報量が格段に多く、質感がナチュラルになるのだ。この楽曲には、こんな音があったのか、この歌手はこう歌っていたのかという、驚きがある。

 具体的にはまず低域の豊かさ。低音は音楽の土台である。それが盤石でなければ、音楽はアンバランスな状態になる。KS-55Hyperはこのサイズにして、リッチで体積感の大きな低音が再生される。外見だけでは想像できないが、あらゆる予想を超えた豊かな低音再生が聴けるのである。しかも質が良い。

 低域再生は難しい。量感を追うと、切れ味が鈍る。歯切れ感を追うと、軽薄になる。その点、本スピーカーは低域が豊かだが膨満ではなく、充実度が高い。予想外に優秀な低域再生により、Hi-Fiとは言いにくいYouTubeの音であっても、安定感とバランスの良さ、そしてしっかりとした質感が得られるのである。

 この量感たっぷりな低音に、素直で飾らない中高域が乗る。中域は音色を輝かせる。でも量が多すぎると硬質になり、少ないと鈍くなる。その案配が難しいが、本スピーカーはちょうどいい感じ。熱くもなく冷たくもない、湯加減という雰囲気だ。

 テレビ内蔵スピーカーの音との違いは多数、指摘できるが、歪み感が少ないこと、それに関連して、音の表面が滑らかなことも特筆される。テレビ内蔵スピーカーは歪み感が多く、粗く、音の表面がギザギザしているのが常だ。ところがKS-55Hyperの音は、すべらかで滑らかだ。音の粒子がなんのわだかまりもなく、スムーズに、しかも俊速に出音する。

 YouTubeの音楽番組での刮目だけでなく、一般のテレビ番組の音もとても良い。ナレーションの音質は内蔵スピーカーでは粗く、とげとげしく、薄い声なのだが、KS-55Hyperはまるで違う。私は土曜日のテレビ朝日の「食彩の王国」の薬師丸ひろ子のナレーションが大好きだ。耳に優しく、まろやかで、潤いのある声質だ。艶がたっぷり乗っているが、それは色気ではなく、とても健康的なメローさだ。その再生がKS-55Hyperは抜群に上手い。薬師丸ひろ子特有の声の密度感、音の表面のグロッシーさに加え、その内部にあるまろやかな質感が素直に、そしてしっとりと再生されたのには刮目した。

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