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クラウド型アルコール検査記録システム「アルコールチェック:ご安全に!」

両備システムズ、4月の道交法改正に対応するアルコールチェックシステム

2022年03月09日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 両備システムズ(本社:岡山県岡山市)は2022年3月8日、企業向けのクラウド型アルコール検査記録システム「アルコールチェック:ご安全に!」の提供を開始した。2022年4月1日から施行される改正道路交通法に対応したもので、アルコール検知器から収集したデータを管理、保存したり、各種データをもとに自動的に点呼記録簿を作成したりすることで、安全運転管理者の管理業務をサポートする。「飲酒運転ゼロ」に向けた従業員の意識改革にもつなげることができるとしている。2023年末までに1000ライセンスの販売、年間7000万円~1億円の売上高を目指す。

クラウド型アルコール検査記録システム「アルコールチェック:ご安全に!」のデモ風景

管理者画面のサンプル

 今年4月施行の改正道路交通法では、乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有する、あるいは自動車を5台以上保有する企業(白ナンバー事業者)を「安全運転管理者選任事業者」とし、運転前後の目視による運転者の酒気帯び有無の確認や、その記録の1年間保存を義務化している。さらに今年10月1日からは、アルコール検知器の保持とそれを使用したアルコールチェックの実施が義務づけられる。

 両備システムズは、岡山県を中心に展開する両備グループの1社。同グループのトランスポーテーション&トラベル部門では、岡山・福山地区の路線バスを始め、都市間高速バス、空港リムジンバス、タクシー、トラックといった運輸・交通事業を行っており、今回のシステムにもそうしたグループの知見が活かされている。

 同社は2015年、運輸・交通事業者向けの点呼・健康管理システム「点呼・健康:ご安全に!」を開発し、これまでに44社に対して302ライセンスを販売してきた。アルコール測定と健康管理をあわせて提供するソリューションでは国内トップシェアを持つという。今回の「アルコールチェック:ご安全に!」はこれをベースに開発したもので、アルコール検知、免許証期限のチェックのほか、乗務担当社員の健康状態の把握、総合的な乗務可否の判断、エビデンス(証拠)の保管、それをもとにした教育の徹底を行うことにより、従業員の意識改革をサポートできるという。

 運転者は、運転免許証をICカードリーダーにセットして同システムにログイン。USB接続のアルコール検知器で呼気のアルコール濃度測定を行い、事前に設定したしきい値を超えた場合には、管理者のメールアドレスに「アルコール検出通知」を自動発信する。また、Bluetooth接続の非接触体温計による検温でも、体温がしきい値を超えた場合には同様にメールで通知がなされ、新型コロナウイルス感染症への対策や、従業員の体調管理にも活用できる。

 通知メールでは、本人の氏名や社員コードのほか、検出日時、測定値、測定中に撮影した写真も同時に送信するため、管理者は迅速かつ適切な対応を行うことができる。

 「データを自動送信することで、手入力による手間の削減ととともに、検査結果の改ざん防止につながる。息を吹き込む間に利用者の顔を撮影するため、ログイン中の本人が実施しているかどうかを管理画面で確認でき、なりすまし防止にもつながる」(両備システムズ 移動体ソリューショングループの佐々木光氏)

 アルコール検知器と専用スマホアプリを連携させれば、外出先でのアルコールチェックデータも管理が可能。運転手が直行直帰する場合でも、運転前後のアルコールチェックが可能になる。

外出先でアルコールチェックができるスマートフォン型システムも

 また取得したデータから、改正道路交通法で記録義務が定められた8項目を網羅する帳票(点呼記録簿)も自動的に作成できる(PDF、CSV形式)。改正道路交通法では1年間のデータ保存が求められているが、同システムではこの帳票データをクラウド上に2年間保持する。

 「運転者は使用する車両を画面上で検索して選択するだけで、使用車両の情報とアルコールチェックの情報を連動。また、管理者は収集したデータや登録情報を確認し、対面点呼の時点で乗車が可能であるかを判断することができる。事故の12.5%が運転者の健康に起因すると言われており、体温の変化などをもとに運転者の健康管理にもつながる」(両備システムズ 営業本部 民需営業統括部 DX推進営業部 部長の谷口芳正氏)

両備システムズ 営業本部 民需営業統括部 DX推進営業部 部長の谷口芳正氏、同社 移動体ソリューショングループの佐々木光氏

 クラウド型システムのため短期間で容易に導入できるほか、複数事業所のデータを一元管理することも可能となる。現場事業所内で管理するだけでなく、別の場所にある本社管理部門などからもデータ閲覧ができる。

 「アルコールチェック:ご安全に!」の初期費用は15万円。タブレット端末、アルコール検知器、非接触型体温計(各1台)のハードウェア一式が25万円、1ライセンスあたりの月額費用が7000円(以上、いずれも税抜)。両備システムズによる直販に加えて、販売パートナー経由の販売も行う。新たな販売パートナーとして自動車リース事業者も取り込んでいく考えを示した。

 なお2022年夏を目標に、検知器のメーカーに依存しないサービスも提供するとした。現時点では3社のアルコール検知器に対応しているが、今後は海外メーカー製の簡易なアルコール検知器に対応することで、市場の7割程度の検知器をカバーする予定だという。また、クラウドサービスだけを販売するビジネスにも乗り出すとした。

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