このページの本文へ

北極温暖化で梅雨期の降水量が増加する仕組みを発見=北大

2022年03月02日 06時57分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

北海道大学の研究チームは、気候モデル実験や気象庁の予報データを分析し、2020年7月の九州地方の豪雨の原因の一つとして北極温暖化の影響があることを発見した。これまであまり注目されていなかった北極域から中緯度地域への遠隔影響の一端を明らかにしたことに加え、その影響を気象予報技術に応用することで、豪雨災害の予測精度を向上できる可能性がある。

北海道大学の研究チームは、気候モデル実験や気象庁の予報データを分析し、2020年7月の九州地方の豪雨の原因の一つとして北極温暖化の影響があることを発見した。これまであまり注目されていなかった北極域から中緯度地域への遠隔影響の一端を明らかにしたことに加え、その影響を気象予報技術に応用することで、豪雨災害の予測精度を向上できる可能性がある。 研究チームは、当時のシベリアの熱波を引き起こした高気圧に着目し、統計解析の手法を用いて、その発達度合いを指数化。気象庁の全球アンサンブル(集団)予報データを分析することで、同高気圧に伴う大気循環が豪雨に及ぼす影響を評価した。さらに、ここで得られた評価関数を用いて、アンサンブル予報の予測修正手法を開発し、降水量の予報精度を改善した。 北極域は現在、地球温暖化の影響が最も顕著に現れている地域である。本研究により、北極温暖化に伴う大気循環場の変化が、シベリアでの熱波と東アジアの豪雨災害の一因となっていた可能性が高いことが示された。研究成果は2022年2月3日に、エンバイロンメンタル・リサーチ(Environmental Research)誌にオンライン掲載された。

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ