まもなくMWCが開幕し、スマートフォンの新機種が各社から発表される時期だ。同時に欧州では中古市場も活発となっている。2月に入り、フィンランドのリファービッシュ(整備品)のスマートフォンを販売するベンチャーが1.24億ユーロ(約160億円)の資金を調達した。
リファービッシュiPhoneを売買するSwappie
フィンランド発のベンチャー企業
フィンランドから久々にスマートフォン関連のニュースがあった。と言っても、Nokiaブランドの端末でもJollaでもない。リファービッシュのiPhoneを専門に扱うSwappieという企業だ。
リファービッシュとは、使用済み端末の部品を交換するなどして新たに使用できる状態にした製品を広く指す。中古が単に使用済みの端末を指すのに対し、リファービッシュは整備され、使用できる状態であることが確認されているという違いになる。
以前にも、リファービッシュのスマートフォンを扱うドイツ・ベルリンのeverphoneを紹介したが(「企業向けスマホも「aaS」でサブスクの時代 ドイツ発ベンチャーeverphoneが2億ドル調達の理由」)、everphoneが企業向けのサブスク制(「フォン・アズ・ア・サービス」とうたっている)であるのに対し、Swappieは個人をターゲットに、リファービッシュ端末の販売、中古スマホの買取を行なう(社名のSwappieは「swap(交換する)」が由来と想像される)。everphoneはiPhoneだけでなく、Galaxyなどのブランドを取り扱っていたのに対し、SwappieはiPhoneに特化している。
今回はドイツのベンチャーキャピタルVerdaneが主導したシリーズCの投資ラウンドで、1億2400万ユーロを調達した。Swappieは2020年にはシリーズBとして3580万ユーロ(約47億円)を調達している。
ここに来て急に活気づくリファービッシュスマホ市場
リファービッシュ端末の販売を事業とするベンチャーは特段新しくない。実は日本にも進出しているフランスのBack Marketは2014年創業。iPhoneが中心のようだが、Galaxyなども並んでいる。さらにAirPods、iPadなどもある。同社によると、創業以来600万人が利用したとのこと。Back Marketもつい先月(2022年1月)、シリーズE投資ラウンドとして5億1000万ユーロ(約670億円)を調達したことを発表している。同社の評価額は57億ドル(約6600億円)という。
ドイツ語圏では、オーストリア・ウィーン発のベンチャーRefurbedがある。創業者は中古のiPhoneを購入したら、すぐに壊れてしまったという経験から、2017年に事業を始めたという。Refurbedはスマートフォンだけでなく、ノートPC、洋服と、さらにテリトリーが広い。
SwappieはフィンランドのJiri Heinonen氏とSami Marttinen氏が2016年に創業。起業に至った背景には、同じく中古のiPhone購入で品質の問題を体験したことがあるという。Swappieはフィンランドとエストニアに工場を持ち、中古品の調達、整備、販売までをすべて自社で実施する。2020年の売上高は前年比200%増と急成長中。コロナ禍で12ヵ国でローンチを果たしたそうだ。

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