人口カバー率96%の綱渡り感
楽天モバイルについて、最も気になるのが「エリア」の話です。楽天は人口カバー率が96%に達したことを大きくアピールしているものの、この数字はやや注意を要する指標だからです。
楽天の説明によると、人口カバー率とは「国勢調査に用いられる約500m区画において、50%以上の場所で通信可能なエリアを基に算出」したものとなっています。これ自体は携帯業界において標準的な算出方法といえるものです。
とはいえ、これは「日本国内の96%の地域でつながる」ことを意味するものではありません。区画内の100%でつながる必要はなく、50%以上ならそこは「楽天エリア」にカウントされます。楽天が利用する1.7GHz帯は建物内などに比較的回り込みにくい特性があるのも厄介な点です。
楽天回線は「2台目」以外にも、最近はメイン回線をMNPで楽天に切り替える人が増えています。「楽天エリア内なのに、実際にはつながりにくい」場所が残っている状態で96%という数字が一人歩きすると、「96%なのにつながらない」と不満をおぼえる人が出てくるわけです。
しかも他のキャリアから乗り換えてくる人は、日本全国を網羅した3キャリアのネットワーク品質が当たり前だと思っています。この状況で楽天がユーザーを増やしていくのは、なかなかの綱渡りになる印象を受けます。
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