スマートフォンではイケイケ状態の中国各メーカーも、タブレットとなると勢いはまだ見られません。シャオミの高性能コスパモデル「Xiaomi Pad 5」が唯一目立っているくらいでしょうか。Androidタブレットは海外ではサムスンが強く、日本ではレノボが多数の製品を展開しています。グローバルのシェアトップメーカーを見ると、低価格タブレットとして人気のKindleを出すAmazon、さらにはスマートフォンで苦戦しながらもタブレットを地味に展開しているファーウェイを加えたこれら4社が2~5位となっています。なお、タブレット全体のシェア1位はもちろんアップルのiPadです。
Androidタブレットを選ぶとなると実質的にこれら4社の製品となり、選択肢は多くありません。しかしスマートフォンの老舗ブランドからもタブレットが登場し、ちょっと気になる存在になろうとしています。それがノキアとモトローラのタブレットです。
HMD Globalの「Nokia T20」は同社として初のタブレット製品です。ノキアブランドのタブレットというと、Windows RTを搭載した2013年の「Lumia 2520」、そしてAndroid 5.0搭載の2014年「Nokia N1」以来となります。Symbian OS時代にスマートフォン市場で覇権をとり、マイクロソフト時代を経てHDM Globalから復活したノキアブランドですが、意外にもタブレット製品は多くありません。
Nokia T20の主なスペックはチップセットがUNISOCのT310、メモリー4GBにストレージ64GBと、エントリークラスの性能です。ディスプレーは10.4型(2000×1200ドット)。なお、スペック表を見ると「Widevine L3 support」とあり、NetflixなどのHD再生には非対応です。ステレオスピーカー搭載でOZO Audio搭載。バッテリーは8000mAhとなっています。
LTEモデルとWi-Fiモデルが用意され、価格は先行発売されたイギリスでLTE版が199.99ポンド(約3万1000円)、Wi-Fi版が179.99ポンド(約2万8000円)。結構手軽な価格ですが、スペック相応とも言えるでしょうか。HDM Globalのノキアブランドのスマートフォンもミドルレンジモデルが多く価格を抑えており、「ノキア=誰もが買えるお手軽スマホ」という販売戦略をとっています。そのためタブレットも価格重視の製品を投入しているのでしょう。
一方、モトローラの最新タブレットが「moto tab g20」です。こちらは8型(1280×800ドット)ディスプレー搭載の小型モデル。チップセットはMediaTekのHelio P22T、メモリー3GB、ストレージ32GB、500万画素メインと200万画素フロントカメラに5100mAhバッテリーを搭載します。電子ブックリーダー的な使い方が向いているでしょう。
現在はインドのみで販売中。Wi-Fiモデルのみで価格は1万999ルピー、約1万7000円です。スマートフォンよりもちょっと大きい画面で有名メーカー品を選びたいというユーザーを狙った製品なのでしょう。また昨今の時勢から学生向けのリモート学習用にも向いていそうです。
どちらのタブレットもスペックよりも価格を重視しており、大手メーカーのタブレットとはバッティングしません。マイナーメーカーや無名メーカーの低価格タブレットが各国で販売されていますが、品質と信頼性を考えるとメジャーメーカー品を求める消費者も多いでしょう。Nokia T20、moto tab g20はそんなユーザーニーズに応えるタブレットであるわけです。販売が好調であればディスプレーサイズを変えたバリエーションモデルも期待できます。いずれ日本でも買えるようになるかもしれませんね。
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