このページの本文へ

民間ビジネス7割/自治体ビジネス3割で、2025年度に売上高100億円超目指す「NTT DXパートナー」

NTT東日本がDX支援の新会社、地域企業や自治体のコンサルから実装まで支援

2022年01月25日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 NTT東日本は2022年1月24日、地域企業や自治体、大学などを対象として、DXコンサルティングから実装までを支援する新会社「NTT DXパートナー」を、1月31日に設立すると発表した。

 NTT DXパートナーの社長に就任するNTT東日本副社長の矢野信二氏は、「日本におけるデジタル化の遅れは、人材不足やノウハウ不足に悩んでいる中小企業や自治体において顕著である。中堅中小企業が地域社会経済の基盤を担う日本では、この解決が喫緊の課題だ」としたうえで、新会社ではNTT東日本グループや研究所が持つ豊富なDXノウハウや技術も活用しながら、「地域のDX加速」「ビジネスモデルの変革」「新規事業の創造」「地方創生の実現」を支援していくとの考えを示した。

NTT DXパートナーの代表取締役社長(就任予定)の矢野信二氏、同社 代表取締役(就任予定)の長谷部豊氏

NTT DXパートナーの事業概要

DXコンサル/実装・推進支援/アセットシェアが3本柱

 NTT DXパートナーでは、NTT東日本グループが持つDX推進ノウハウやアセットを活用し、DXコンサルティングからデジタルプラットフォームの実装、構築、運用までを、共創および伴走型の取り組みによってワンストップで支援。企業の成功と、地域や社会課題の解決に貢献する。DXパートナーという社名には、「事業の発展と成功に最後までコミットし、常に寄り添って伴走したいという思いを込めた」(矢野氏)という。

 同社では「DXコンサルティング」「DX実装・推進支援」「DXアセットシェア」の3点を事業の柱と位置づける。資本金は4億9000万円で、NTT東日本が100%出資する。2025年度に売上高100億円以上を目指しており、民間企業向けが7割、自治体向けが3割という想定だ。

同社事業の詳細と特徴

 DXコンサルティングでは、企業の事業変革や街づくりなどにおけるDXの構想から戦略策定、それに基づくビジネスおよびサービスのデザイン、顧客体験のためのUXデザイン、DXの実行体制の整備やDX人材の育成の支援を行う。

 DX実装・推進支援では、ビジネスやサービスのデザインに基づき、デジタルサービスプラットフォームや関連する情報システムの設計および構築、運用支援を行う。また、新たなビジネスパートナーを募ったり、産官学連携のコーディネイトをしたりといったエコシステムの構築支援のほか、データを活用したサービスデザインの改善、ユーザー体験の改善に結びつける活動など、データからの価値創造サイクルの実現に向けた支援を行うという。

 DXアセットシェアでは、NTT東日本グループ、NTT研究所、ビジネスパートナーが持つDXの技術やノウハウを、シェアリングアプローチにより、顧客に提供。DX推進におけるコスト抑制やスピード向上につなげるという。研修ノウハウの提供によるDX人材の育成支援も行う。

 NTT DXパートナーの代表取締役に就任する長谷部豊氏は、「通信分野で培った技術、ノウハウを、非通信分野のコンサルティング、DXに積極的に活用していく。企業や自治体とともに、事業やサービスを作り上げ、自走するまで、共創、伴走していく。真の共創DXパートナーとして、お客さまとともに成長し、情熱を持って、最後まで変革に伴走していく」と述べた。

「効率化のためのIT化から、ビジネスモデル変革のDX化へ」

 日本におけるDX投資は本格化しており、富士キメラ総研の予測によると、2020~2030年度の国内DX市場の年平均成長率は14.2%に達する。ただし従業員規模別に見ると、DXに取り組んでいる大企業は6割を超える一方で、中小企業は3割弱に留まっている。

国内企業のDX投資は2030年度に5兆円超まで成長すると予測

DXの取り組みが進んでいない中小企業層においても関心は高い。自治体のDXもこれからの段階

 長谷部氏は、中小企業では「DXの検討を進めている」あるいは「これから検討する」企業が55.4%に達していること、また自治体でも「未着手」が8割を占めていることを指摘し、中小企業や自治体におけるDX投資はこれから拡大するという見解を示した。

 「デジタル技術やデジタルサービスの急速な進展、SDGsや脱炭素などのサステナブルに関する社会の要請、コロナ禍におけるニューノーマル社会への転換、デジタル化の進展による業界や業種の垣根を超えた共創、協調が重視される環境へのシフト――。これまでの効率化を目的としたIT化から、デジタルやデータを活用したビジネスモデルの変革などのDX化の推進が求められている。新会社では、IT化からDX推進へのシフトを支援する」(長谷部氏)

 なおNTT東日本グループでは、食農分野の子会社であるNTTアグリテクノロジーや、畜産・酪農分野のビオストック、文化芸術分野のNTT ArtTechnologyなど、非通信分野の子会社があり、新会社ではこれらのグループ企業との連携も図っていくとしている。

■関連サイト

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ