今回の40周年モデルに「FMV LOOX」というブランドを冠したことは大きな意味がある。
LOOXは、2000年9月に発売された富士通のモバイルパソコン「FMV BIBLO LOOX」が第1号であり、2011年を最後に終了。実に、11年ぶりの復活となる。
初代モデルでは、8.8型ワイドXGA(1024×512ドット)対応のTFT液晶ディスプレイを搭載し、A5コンパクトサイズ(幅243×奥行151mm)による小型化とともに、1kgを下回る約980gの軽量化を実現した。最大の特徴は、DDIポケットのH" LINK(エッジリンク)を初めて採用し、携帯電話や通信カードに接続することなく、すぐにデータ通信が行え、どこにいてもPHS網にネットワークでつながる最初のパソコンであったという点だ。
また、2007年に登場した感圧式タッチパネルの5.6型液晶ディスプレイを搭載したFMV BIBLO LOOX Uは、約580gの超小型軽量ボディーを実現。手のひらサイズの小型筐体によって、モバイルコンピューティングの世界を進化させてみせた。
富士通クライアントコンピューティングの齋藤邦彰会長は、「LOOXは、モバイルコンピューティングの世界をリードしつづるために、常に革新的な製品づくりを目指してきたブランド。新製品を投入するたびに、従来のモデルを超える高い目標を打ち出し、何度も試行錯誤を繰り返し、進化を遂げてきた」と前置きしながら、「LOOXは富士通パソコンにとって特別なブランドであり、そう簡単には、このブランドをつけられない。だが、今回のFMV LOOXは、40年間の集大成となるPCを、このブランドによって実現することができた」と胸を張る。
初代LOOXの開発時には、エンジニアとして開発に参加していた齋藤会長が、経営トップの立場で、LOOXのブランド復活にお墨付きを与えたモデルともいえる。
齋藤会長は、「使う場所、使う時間、使う用途を選ばず、ノートPCとしても、タブレットとしても、自由に利用できる新たなパソコンのスタイルを見せることができる。有機ELディスプレイによる高精細な映像表現、紙に書くような書き心地の実現、パソコンとの組み合わせての新たな利用など、1+1を3にすることができるデバイスである」と自信をみせる。
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