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ACSLが“セキュア”にこだわった国産ドローン発表。その名は「SOTEN(蒼天)」

2021年12月09日 17時00分更新

文● ASCII

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セキュアで小型、優れた拡張性
小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」の受注がスタート

 ACSLは12月7日、小型空撮ドローン「SOTEN(蒼天)」を発表し、受注を開始した。

 “空(天)という無限大の可能性を持つ空間を自在に飛行する姿”のイメージから命名。インフラ設備の点検、農業、防災、災害時の状況把握や測量といった用途での活用を見込んでいる。

 大きな特徴は、その高いセキュリティー性だ。コンピューターセキュリティーのための国際規格であるISO15408に基づくセキュリティー対策を実施し、情報の漏洩や抜き取りへの耐性を高めているほか、機体と送信機をペアリングする機構を設けることで、機体の乗っ取りもしにくくした。

機体と送信機をペアリングする仕組みを組み込んでおり、機体の乗っ取りにしにくい

 また、機体の主要部は国産品、または信頼性の高い海外からの調達品のみを採用。通信データ/撮影データの暗号化や、クラウドからの取得データを保護する機構を設けている。

 ドローンとしてのスペックは最大対気速度15m/sと風に強い仕様。サイズはアーム展開時で幅637×奥行き560mm(含プロペラ)、重量は1.7kg。標準バッテリーで最大25分、大容量バッテリーで最大29分の飛行時間を実現している(標準カメラ搭載時は標準バッテリーで最大22分、大容量バッテリーで最大25分)。最大電装距離は4kmで、IP43の防水防塵設計。

 またSLAS/SBAS(準天頂衛生システムみちびきのサブデータ級即位補強サービス)を搭載し、災害時なども、正確な位置情報を把握しながら、安全な離着陸が可能だという。

 LTE通信に対応し、インターネットを通じた操縦にも対応。山間部やプラント内部などの遠隔地で、補助なしでの自動飛行が可能だ(LEVEL3)。インターネットが使えない環境下においても、コントロール側の基地局アプリにオフライン地図を表示し、ドローンを自動飛行させることができる。

カメラは、専用のアタッチメントを介してワンタッチで着脱できる。標準カメラだけでなく、オプションとして赤外線カメラ+可視カメラとマルチスペクトルカメラの受注をすでに受け付けており、光学ズームカメラも現在開発中だ

 さらに、専用のアタッチメントを採用してカメラを搭載。標準カメラに加えて、赤外線カメラ+可視カメラ、マルチスペクトルカメラ、光学ズームカメラ(開発中)とワンタッチで切り替えができるほか、本体上部に任意のカメラをマウントし、点検対象の設備を下から撮影するという使い方にも対応する。

発表会では、飛行のデモンストレーションも実施された。ぐっと力強く浮かび上がり、ブレの感じられない安定した飛行を見せた

 SOTEN(蒼天)の販売開始は2022年を予定しており、販売目標は1000台規模としている。同社の代表取締役社長兼最高執行責任者の鷲谷 聡之氏は、「社会インフラをどう維持し、付加価値を上げるのかが重要になっていく中で、ドローンの利活用が進んでいるが、従来のドローンにはセキュア性、小型化、飛行性能/拡張性という3つの要素が足りていなかった」と話す。

インプレス総合研究所の「ドローンビジネス調査報告書2021」によれば、国内のドローンビジネスは、2025年に6468億円規模にも上る見込みだ

 発表会の終盤には、鷲谷 聡之氏がモデレーターを務め、グリッドスカイウェイ有限責任事業組合 CEOの紙本 斉士氏、内閣官房 小型無線機等対策推進室 参事官の小熊 弘明氏をゲストに招いた、トークセッションも披露された。

 紙本 斉士氏は、現在のドローンを取り巻く状況について、「すでに点検用途などでの導入が進んでいるが、人が目視できる範囲でなら飛ばせるという段階。見えない範囲まで飛ばすと、その先にどんなものがあるかわからない。利活用を進める必要はあるが、安全安心が一番なので、その両輪で進めていく必要がある」と話した。

 また小熊 弘明氏は「官民が連携した協議会を立ち上げ、環境整備、技術開発、社会実装の3つを推し進めている。レベル4(有人の地帯で、目視外での飛行を行なう)を実現させることがまず大事。そのためには、地方自治体とも連携をし、特区を設けた上での実証実験も有効だ」と、レベル4飛行の実現について触れた。

トークセッションも実施された

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