Genoa/Turinの噂話
最後に、Zen 5世代の製品の話を少ししておきたい。こちらはもちろんAMDの正式のものではなく、単に噂話に過ぎない。
実は少し前から、Socket SP5 Platform Guideの話がいろいろ噂になっていた。理由は単純で、Genoa世代からDDR5やPCIe Gen5/CXLに対応したSocket SP5に切り替わり、Zen 5世代のEPYC(コード名はTurin)もこれを利用することになると見られている。
ということは当然Socket SP5のPlatform GuideはGenoaのみならずTurin世代もサポートすることになる。というか、サポートしないとプラットフォームごと入れ替えになってしまう。
前述のように、すでにGenoaの顧客へのサンプル出荷が始まっているということは、Socket SP5に対応したマザーボードもOEMベンダーが開発しているという話であり、そうなるとそのSocket SP5 Platform Guideがアンダーグラウンドで出回るのは避けられない。無論そうしたものの信頼性がどの程度か? というのは謎であって、その意味では話半分くらいで見ておくのがいいだろう。
さて、筆者が調べた中では、このSocket SP5 Platform Guideその他に関する情報が一番まとまっているのがTechUnwrappedの記事である。いくつかトピックを拾ってみよう。
- Socket SP5では最大構成におけるピーク消費電力は700W(1ms)/440W(10ms)に備える必要がある
- TDP(PeakではなくSustained)は400W
- メモリーはSocketあたり12ch。Genoa世代ではまずDDR5-5200まで対応、その先ではDDR5-6400まで対応(構成によって異なる)。
- Genoa世代(AMD Family 19h Model 10h-1Fh)ではAVX512をサポートするらしい
ほとんどの話は間もなく登場するGenoa世代のものだが、TDPやピーク電力などはGenoa/Turin共通の話である。TDPはおそらくGenoaの話と思われるが、Turinでこれを大きく超えるのは難しいだろう。この700Wというピーク電力が話題になっているが、これは1msだけ。10msでは440Wまで下がるので、実質的には400Wあたりになる。コア数を考えればやむなしといったところか。
メモリーに関しては、DDR5-5600/6000/6400をサポートするのは、Turin世代だろう。そもそもデスクトップ向けにはすでにDDR5-6000などのオーバークロックメモリーが存在しているが、サーバー向けにメーカー保証が付いたものは現状DDR5-4800まで。Genoaの発表時にDDR5-5200のサンプル出荷がメモリーベンダーが始まるといったあたりかと思われる。
したがって、当初GenoaはDDR5-4800サポートのままスタートし、後追いでいくつかのDDR5-5200メモリーがバリデーションリストに追加されることになるだろう。
GenoaでAVX512をサポートするという話は以前から話題になっていた。これは確かにありそうな話ではある。もっともAVX512の場合、いろいろ拡張されまくっているので、どこまでサポートするかはよくわからない。一番基本であるAVX512F(Foundation)だけなのか、もっと他にもサポートするのか、など一切不明なままである。
これに絡むのが先に少し触れたZen 4とZen 4cの違いの話。例えばGenoaはAVX512を同時に2つ処理できるが、Bergamoはこれを1つしか処理できない、という可能性もあるかもしれない。AVX512の演算ユニットの面積は結構バカにならない大きさだからだ。これを1つ省くだけで、結構エリアサイズが小さくなるだろう。
この節の話は全部非公式情報なので、基本与太話として考えていただきたいが、いろいろと妄想がはかどる情報であった。ちなみにTulinに関しては、連載641回で書いたように「Zen 5というコアがある」というのが唯一の公式情報であって、その中身などは一切わからない。このあたり、2022年中にはもう少し情報が出てくるといいのだが。

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