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Tiger Lake搭載で画面が大きくなって、ペンはハプティック内蔵だ!

「Surface Pro 8」実機レビュー = Windows11がスグに使える最強タブレットPCだ

2021年11月04日 13時00分更新

文● 写真:みやのプロ(@E_Minazou)+ 編集● ASCII

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 9月22日に発表となったSurface新製品群は、Surface Go 3が最初に発売となり、本命のSurface Pro 8も11月1日に出荷が始まった。最上位CPUモデルを試用できたので紹介しよう。

画面が大型化してSurface Pro Xサイズに
CPUも最新の上位モデルを採用

 デザインからいうと、Pro 7から大きく変わったのが、ディスプレーとサイズだ。Pro 7の292×201ミリから、Pro 8では287×208ミリへと、長辺は5ミリ短く、短辺は7ミリ長く、より正方形に近くなった。厚みは8.5ミリから9.3ミリへと0.8ミリ増えた。Pro8と、継続販売されているSnapdragon搭載のSurface Pro Xは同寸である(Xの厚みは7.3ミリ)。

3対2で13インチ2880ドットはとても使いやすい画面なのだ

 重さは最高で790から891グラムに100グラムUPしたが、これはバッテリー容量が43Whから52Whに増えたのが大きな要因である。おかげで、バッテリー駆動時間は10.5時間から16時間へと1.5倍に向上している。

 ディスプレーのスペックもPro Xと同じになった。Pro 7の12.5インチの2736×1824ドットから13インチの2880×1920ドットになり、縦横比は3対2で変わらないが大型化した。また、最高リフレッシュレートは60から120Hzに倍化している。

 CPUはi5-1135G7またはi7-1185G7という、Tiger LakeのTDP28Wモデルとなった。すでに法人向けの「Surface Pro 7+」(プラスが付く)という機種では第11世代Coreを採用していたが、最高でi7-1165G7だったから、さらにその上になったわけだ。メインメモリは8GB、16GB、32GB (LPDDR4x RAM)、ストレージは128、256、512GB、1TBで、価格は14万8280円~32万5380円である。

「プラチナ」色のキーボードと合わせるとこうなる

スタンドは170度近くまで開く仕組みだ

ストレージはこのカードで搭載されている

 インターフェースはPro 7のType-A+Type-Cから、Thunderbolt 4のType-C×2に変更となり、microSDXCカードスロットはPro 8ではなくなった。ヘッドフォン、Surface Connectとタイプカバー接続ポートは変わらず搭載している。

本体左側(写真上)にはボリュームボタンとイヤホンジャックのみ。右には電源ボタンとType-C×2、Surface Connect端子

 ディスプレー側のカメラは5MPでPro 7と同じで、FHDビデオクオリティーで、もちろんWindows Helloで顔認証が可能である。リアは8MP(FHDビデオ)から、10MP(4Kビデオ)に向上した。

カメラ部まわりには顔認識のためのIRセンサーとマイクが並ぶ

 マイクは新たにDual Far Fieldのスタジオマイクに、スピーカーはDolby Atmosオーディオの2Wステレオで、Pro7の1.6Wから出力が向上している。無線機能はWi-Fi6とBluetooth5.1で、ビジネスモデルではWAN内蔵も出る予定だ。

 もちろんOSはWindows11で、Office Home & Business2021も搭載する。ボディーカラーは、Pro 7のプラチナ、マットブラックからプラチナ、グラファイトに変更となった。今回の試用機はグラファイトだが、Pro 7のマットブラックの漆黒ではなく、ちょっと高級感がある。

グラファイトは黒より光沢があって高級感がある

3対2画面なので、週刊アスキーを読むのにうってつけだ

本体上部には排気口が、下部にはキーボードのコネクターがある

Surface スリムペン2は
「ハプティック」内蔵で紙の書き味を再現

 今回のもうひとつの目玉は新設計の「Surface スリムペン2」である。ペン先を新設計し、よりシャープな書き味となったうえ、振動子=ハプティック内蔵で「触覚」を生成する。紙にペンで書くような「ザラザラ感覚」である。バッテリー内蔵で、マグネット接着で自動充電されるのもうれしいバージョンアップだ。これまでのペンは単6電池を交換する必要があったので、切れたときは面倒だった。ペン2のお値段は1万5950円である。

Surface スリムペン2は従来の鉛筆型とちがい、平たい形状だが、持ちやすさは向上している

内部はこうなっていて、中ほどと頂点側の2ボタンを内蔵する

「誘導信号」という訳になっているのが、ハプティックの設定。100段階で設定できる

デフォルトでは頂部のショートカットボタンをクリックすると、ホワイトボードというアプリが起動する設定だ

開脚した状態でこの角度になるので、まっ平よりペンで描画するのに適している

 本体サイズの変更と、新しいペンの登場によって、キーボードも新デザインとなった。「Surface Pro Signature キーボード」は、スリムペン2の収納と充電機能を搭載する。これもPro Xにはあった機能が採用されたカタチだ。

 Laptop Goと同じく、スペースバーの左右に「あ」と「A」キーを配置(IMEのON/OFF)すると予想していたのだが、このキーボードでは今回は見送りで、「無変換」と「変換」のままである。同時発表のLaptop Studioでは採用されるようだ。

 キーボードの色はポピーレッド、アイスブルー、プラチナ、ブラックの4色で、価格は2万1890円で、スリムペン2とのセットでは3万3660円と、別に買うよりお得である。指紋センサー付きは2万4090円だ。

Surface Pro Signature キーボードの日本語配列はスペースバーの左右は従来通りの無変換と変換だ

左上から時計回りにポピーレッド、アイスブルー、ブラック、プラチナ

薄型ながら、キーボードはバックライトを内蔵しており、3段階の明るさ調整もできる

MSが公開しているパーツ写真。冷却ファンは1基である。

 ちなみに、従来のペンはSurface Proのサイドにマグネットでくっつく仕組みだったが、今回のスリムペン2は付かない。キーボードに収納できるからいいということかもしれないが、Surface Duo 2ではくっつけて持ち歩けるようなので、Proでも、キーボードなしで本体+ペンを持ち歩ける工夫がほしいところだ。

やはり3対2画面は魅力 キーボードの打鍵感は変わらず

 おじさんは日ごろSurface Laptop 3の13型を使っているのだが、もうひとつのモバイル機FMVの超軽量UHとの最大の違いは、画面比率である。Laptoip 3は13.5インチでUHは13.3インチという微差よりも、16対9と3対2という縦横比の違いが大きい。長方形の対角線長が同じなら、正方形に近いほど面積は広いの法則である。もちろんおじさんは3対2大好き派なので、Surface Pro 8の13インチ化も、とても気に入った。特にWEBで調べものをするときなど、縦方向が長いほうが、とても便利なのだ。

 明るさやコントラストも十分高く、週刊アスキーのようなA判変形の雑誌や書籍、書類を見るにも最適のディスプレーだ。欲を言えば、横位置だけでなく縦でも固定できるようなスタンドがあると最高である。また、表面は超光沢で、指紋やほこりが目立つうえ、照明をズビーンと反射してくれるのはなんとかしていただきたいところだ。

縦位置で週刊アスキーを表示すると、紙と同じ感覚で、もちろん本文もそのまま読める

 タイプカバーは相変わらず力を入れるとタワむ硬さで、タイピングクオリティはあまりよくない。タッチパッドのクリック音も大きくて、安っぽいままである。インターフェースでUSB Type-Aがなくなったのも、ちょっと不便で、マウスのドングルやUSBメモリーを挿すのが面倒である。

 進化という意味では、Surfaceコネクトは継続されていて、これもあまり好きではない。まず、マグネット式ですぐに外れるのが不便だ。コネクター保護にはなっているが、ここにつながるSurface Dock 2は、各種ポートが増設できるとはいえ、3万2340円と高価で、かつ大きくて重い。MS自身もType-C接続のトラベルハブやHDMIアダプターを出しているのだから、そろそろ止めて、その代わりにType-C端子を増やしてほしいところである。

 ACアダプターは65Wサイズのものが付属するが、これも大きくて重い。Pro 8もType-Cから給電を受け付けるので、お出かけの際は今どきのGaN(窒化ガリウム)素子搭載小型ACアダプターの利用がおススメである。

そろそろ引退してもいいのではないでしょうかのSurfaceコネクト

65WのAC アダプターはおなじみのサイズで、こちらもそろそろ小型化していただきたい

速度は想像以上の回しっぷり
変わらぬ超静音はお見事
 

Windows11ではここで電源モードを指定できる。右上の1時間ごとのバッテリーレベルグラフが楽しい。ベンチマークは「高パフォーマンス」で実施

 今回試用したi7-1185G7搭載モデルの速度計測の結果は、CinebenchのR23は5693、R20が2214、R15は953と出た。i7-1165G7を積んだ富士通のUHでは5093、1990、839だったので10%以上速い。PCMark10でも5008と4459だったので、12%速い結果だ。

 3DMarkでは、TimeSpyで1845、FireStrikeで5183、WildLifeで13677と、UHとほぼ同じ値である。内蔵GPUは同じなので、爆速のUHなみによく回っていることになる。

CinebenchのR23は5693、R20が2214、R15は953

3DMarkでは、TimeSpyで1845、FireStrikeで5183、WildLifeで13677

PCMark10の結果は5008

3本のヒートパイプのうち、ファン以外の2本はボディ背面からの放熱用だ

 SurfacePro8の内部写真によると、冷却ファンは1つだけで、あとはヒートパイプをボディ背面に沿わせて、排熱している。通常のクラムシェル型ノートと異なり、タブレットはディスプレーのすぐ裏にCPU類があり、放熱しにくい構造だが、さすが8世代目のSurfaceはうまく設計されている。

 3DMark中も、ファンは回るが排気音は非常に小さく、気にならないレベルである。通常のWEBブラウジングや文字入力なら、ファンの回転数も非常に低くなり、無音といっていい。モバイルノートとしては最高クラスの静音設計である。

 バッテリーの持ちは、キーボードを装着してディスプレーの輝度を100%で計測したが、6時間36分稼働した。50Whのバッテリー容量としては最長クラスで、静音設計と相まって、非常に優秀な設計である。

 充電は、マシンを稼働させながら、付属の65WのACアダプターで、0%から50%までが37分、70%までが55分、90%までが78分と、速い部類である。さすがEVO認証をうけただけのことはある。

 スタンド内蔵式のタブレットPCは、まさにSurface型ともいえるマシンが各社から発売されているが、Pro 8は美しく明るい「3対2」比率ディスプレーに、最新CPUを搭載し、最高速を出す冷却能力もすばらしい。さすがは「元祖&本家」の出来の良さである。また、振動子内蔵の新しいペンは、紙に書いている感触を味わえる、次世代の入力デバイスで、これも楽しいのだ。

 横長の映画などの映像ではディスプレーの上下が空いてもったいないし、長時間大量の文字を打つにはキーボードがちょっと頼りない。しかし、書籍や雑誌を楽しむ、書類に赤字を入れる、3対2比率の写真を観るといった用途には相変わらず最強のタブレットPCだ。ディスプレーが360度回転するタイプより、軽くて薄くて、使い勝手もとてもいい。この高性能+大画面を、気軽に持ち歩く快感はSurface Pro 8の大きな魅力なのである。

ボディがグラファイトでキーボードブラックがおじさんの好みですね……

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