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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第285回

第4のキャリア参入から10年経ったフランス、その間にケータイ料金は平均で7割ダウンした

2021年11月03日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 首相が代わり、選挙も終わり、携帯電話料金の値下げについて、政府からのさらなるテコ入れがあるのかどうかはまだ見えないが、それでも風通しが良い方向に向かっているとは感じる。今回はフランスの規制当局の四半期レポートを紹介したい。現在の携帯電話の平均月額料金はなんと14.6ユーロ(約1900円、以下すべて税抜)という。

フランスで第4のキャリアとして約10年前に参入した「Free Mobile」。最安で月2ユーロ(約260円)のプランも用意されている。右側のプランは5G対応の月150GBのデータ通信と電話かけ放題で月19.99ユーロ(約2600円)

月2ユーロの料金プランまであるFree Mobile

 フランスの通信規制当局であるArcepが2021年第2四半期のデータを発表した。それによると、SIMカード1枚あたりの平均月額料金は14.6ユーロ。この2年ぐらい14.2~14.9ユーロを推移しているという。なお、固定インターネットの通信料金の平均は月36.6ユーロ(約4800円)だ。

 ここまでフランスの携帯電話料金が下がったのは、ひとえに第4のキャリアであるFree Mobile(Iliad Group)のおかげだろう。Free Mobile参入前の平均料金は月40ユーロ程度(約5200円)だったというから、74%も下がったのだ。

 フランスのベンチャー企業であるIliad(サービスのブランド名が「Free」)は2002年にADSLのインターネットサービスで参入し、価格革命を起こした。筆者自身も当時、Freeの早期ユーザーとしてADSLのSTBである「Freebox」を受け取った。すると、翌年ぐらいからADSLだけではなく、TV、固定電話とサービスが追加されていって驚いたことを記憶している。当時「トリプルプレイ」と言われていたものでFreeが先駆けると他社も追随した。

 そしてモバイル事業に参入したのだが、Freeの料金プランは月2ユーロ(約260円)から。4Gネットワークに対応しており、この料金で2時間の無料通話と無制限のSMS/MMS、データ量は50MB(!)となっている。このプランの加入者がどのぐらいいるのかわからないが、平均を下げていることは間違いない。Freeの影響を受けたのだろう、最大手のOrangeも、最初の12ヵ月は月額2.99ユーロというプランを出している(13ヵ月目から7.99ユーロ)。

 この14.6ユーロという平均月額料金は、ドイツと比較して3分の1程度。米国との比較では5分の1程度だそうだ。

2012年にサービスをスタートし、
初年度で8%のシェアを取ったFree Mobile

 Free Mobileは2007年に立ち上げ、2009年に当局からライセンスを受け、2012年初にサービスをローンチした。

 一番のウリはやはり価格。ローンチ時から「既存のキャリアの料金は高い」として、半額を約束してきた。一方で、ネットワーク構築を進める間はOrangeとローミング接続で提携した。設備投資もあり、初年度のEBITDAは4400万ユーロのマイナス(固定は4億6200万ユーロのプラス)。モバイル側の損失を固定回線の黒字で補ってきた。現在4Gネットワークの人口カバー率は98%と報告している。

 利用者は初年度で500万人。シェアにして8%を獲得した。加入者は2018年まで増加を続けたが一旦減少。2020年時点では1350万人となっている。シェアは20%近くだ。

 Free Mobileの成功の大きな要因は、固定インターネットでユーザーベースを持っていたのでセット販売がしやすかったこと、そこでの成功と同じ期待(優れた技術を安価に提供する)をモバイルでも実現したことにあると思う。また、SIMカードの自販機のような端末も導入。これもフランス初となった。

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