業務を変えるkintoneユーザー事例 第125回
大事なのは「仲間のために、という想い」 ヒントは「give」
ユーザーのときめきを大切に!課題に立ち向かうエン・ジャパン流kintone活用術
2021年10月29日 10時00分更新
2021年7月8日、東京の新木場STUDIO COASTにて「kintone hive tokyo 2021」が開催された。kintone hive(キントーンハイブ)は、kintoneを業務で活用しているユーザーがノウハウや経験を共有するイベントだ。全国6ヵ所で開催され、その優勝者がサイボウズの総合イベント「Cybozu Days」で開催される「kintone AWARD」に出場できる。
登壇したのは6社で、最後に登壇したのはエン・ジャパンの高橋淳也氏。「『仲間のために』という想いが、kintone全社活用につながった」という事例紹介をしてくれた。
システム投資が進まない制作部門には自分たちで改善できるkintoneが魅力的
エン・ジャパンは「エン転職」という日本最大級の転職サイトを運営している。ミスマッチのない「人と企業の出会い」を支援する、ということを大事にしており、総合満足度はNo1となっているそう。高橋氏は、その中で中途求人メディア事業部に所属し、業績や顧客を管理したり、システム導入、DX推進を手がけている。データやシステムを扱う部署ではあるが、非エンジニアだ。
エン・ジャパンは2000年に東証一部に上場しているが、創業は1983年と古い。その分、レガシーなシステムがたくさん稼働しているという。しかし、「エン転職」がリニューアルして事業が急拡大すると、新しい仕組みが必要になった。
「われわれはベンチャー気質なので、展開がスピーディです。そのため、全社ではなく、事業部ごとに個別最適化していかなければなりませんでした」(高橋氏)
2017年当時、高橋氏は中途求人メディア事業部の「制作部」で働いていた。事業が拡大し、IT投資は行なわれたものの、ユーザー向けのサイトや営業系のSFAが優先された。システム投資が進まない制作部門は、自分たちでなんとかしなければならないとソリューションを探し、見つけたのが「kintone」だった。
kintoneを導入した理由は3つあるという。1つは非エンジニアでも開発できるUI/UXであること。kintoneの自習コンテンツが山ほどあるので、やる気になれば勉強できるというのが大きな魅力だったそう。
2つ目が情報システム部が背中を押してくれたこと。情報システム部にも導入の相談をしたのだが、IP制限や監査ログなどの機能をチェックし、上場企業として入れていいシステムだとお墨付きをもらったのだ。
3つ目が、kintoneの開発企業であるジョイゾーに最初のアプリ開発を依頼したこと。「システム39」というサービスで、一緒にアプリを作り、アプリ開発を実地で学んだそう。
フォームブリッジの見やすいデザインに「ときめいた」
最初に開発したのは、自分たち制作部の実績管理アプリ。制作部ではたくさんの人が働いているので、共有Excelで編集しているとデータが壊れる。最悪、過去にさかのぼるような悲劇も起きていたそう。このシステムをkintone化することで、壊れない安心感と、リアルタイムでの実績把握を実現した。
「kintoneとしてはベーシックな使い方をしていますが、これだけでも月間200時間くらい削減できました。自信が持てたので、アプリ開発は内製でやることにしました」(高橋氏)
kintoneを活用するためには、データの入力がキモになる。高橋氏も、インプットのところをテコ入れしようと考えた。エン・ジャパンの場合、エンドユーザーとなる営業部門に使ってもらわなければならない。そんな営業部門の人たちが重視するのが「ときめき」。kintoneのデザインはシンプルだが、この「ときめき」がないという。
そこでkintoneを意識させずに使ってもらうために、トヨクモの連携サービス群を導入した。例えば、営業部から制作部に業務を発注する際、ウェブフォーム作成サービス「フォームブリッジ」を利用してもらった。以前はメールだったのだが、フォーム化することでデータがkintoneの中に溜まるようになる。
フォームブリッジの見やすいデザインは「ときめいた」ようで、使ってもらえた。申請の受理もしくは差し戻しの連絡はメール連携サービス「kMailer」で送信する。トヨクモ製品を活用することで、パターンができてきたと高橋氏。
「ユーザーを起点に考えることにしました。ユーザーにウェブサイトのように使ってもらいたい時はトヨクモ製品を使います。大量のデータを扱うときはkintoneをダイレクトで操作するようにしました」(高橋氏)
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