「DiRT 5」のような軽めのレイトレーシングならイケる
ここまでひたすらレイトレーシングは避けて通ってきたが、折角使えるものを使わないでいるのはもったいない。そこで比較的軽めのレイトレーシング対応ゲームとして「DiRT 5」で試してみよう。画質は“Ultra High”とし、動的解像度変更は無効化。レイトレーシングは有効にしているがFidelityFXを利用したアンビエント・オクルージョンは無効化している。ゲーム内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
RX 6600 XTの平均フレームレートを100とすると、フルHD環境ではRX 6700 XTは125、RTX 3060は86。元々AMD肝いりのタイトルだけに最適化が進んでいると考えられるが、ガッツリレイトレーシングを使うようなゲームでなければ、RX 6600 XTでも十分プレイに耐えるパフォーマンスは出せる。ただ4Kプレイはスペック的に無理がある点は覚えておこう。
「Godfall」だとかなり辛い結果に
Radeonへの最適化が進んでおり、さらにレイトレーシングにも対応したタイトルといえば「Godfall」がある。これも検証していみよう。レイトレーシングは有効、かつ他の画質も全て最高設定としているが、レンダリング解像度に影響するAMD FidelityFX CASやSuper Resolutionはオフ、ただしLPMは有効としている。マップ“真紅の木立”で一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。
DiRT 5では結構良い感じのフレームレートが出ていたRX 6600 XTだが、GodfallではRX 6700 XTの半分以下、RTX 3060に対しても40〜60%下のフレームレートにとどまる。理由はCUを減らしたことでRay Acceleratorが減っている点もあるが、GodfallがVRAMをやたら確保したがる(VRAM 12GB環境で11GB占有)設計である点も原因にあると考えられる。VRAMを多量に使うぶん、メモリーバス幅の狭い設計がネックになっている可能性も考えられる。
「BIOHAZARD VILLAGE」でFSRの効きも検証する
「BIOHAZARD VILLAGE」もRadeonに対する最適ががかなり入っている(と思われる)ゲームなので、こちらも検証してみよう。画質はプリセット“限界突破”にレイトレーシングを“オン”に設定(アンビエント・オクルージョンはデフォルトでオフ)。プレイヤーが最初に放り出される村マップにおいて一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。次のグラフはネイティブ解像度でプレイ(VRSもオフ)した時のフレームレートとなる。
BIOHAZARD VILLAGEでは画質を上げるとVRAM消費量が非常に大きくなることが設定画面で示される(フルHDでも12GB程度)が、検証時は4K設定でも8GBをやや上回る程度なので、RX 6600 XTでも問題なく画質を盛って楽しむことができるだろう。RX 6600 XTは平均フレームレートではRTX 3060よりもフルHDで15%程度下になるが、それでも60fps近辺でプレイできている点は評価したい。
ついでに先日対応が果たされたFSRの効果も確認しておこう。ベースとなる画質設定は前述のものと共通だが、ここではFSR“Quality”設定を追加した。
FSRを使うと内部解像度が下がるのでフレームレートも大きく向上する。RX 6600 XTでもフルHDで最低フレームレートが60fpsに届いている点に注目したい。ただ他のGPUもFSRを利用することで同様にフレームレートが伸びるため、全体の序列はあまり変わっていない。
ただRX 6600 XTで4K+FSR設定だと急激にフレームレートが落ちることが確認できたが、これはGPUの性能不足やゲームの不具合というよりもβドライバー由来の不具合と思われる。
超重量級のレイトレーシングでは、RX 6600 XTの限界が訪れる
最後に「Watch Dogs: Legion」や「Cyberpunk 2077」といったタイトルでレイトレーシングを盛り盛りにした場合、一体どうなるか検証してみたい。RX 6600 XTのスペックに見合わないテストではあるが、限界を攻めるとどうなるか、という観点でテストしてみよう。
まず「Watch Dogs: Legion」は前述の設定にレイトレーシング“最大”設定も追加したものを、「Cyberpunk 2077」では“レイトレーシング:ウルトラ”設定をベースにレイトレーシングのライティング“サイコ”設定を追加した。フレームレート計測の手段は前述のものと共通だが、解像度はフルHDのみとしている。
Watch Dogs: LegionとCyberpunk 2077に関してはレイトレーシング設定を盛りまくるとRX 6600 XTでは全く歯が立たず、フルHDでもフレームレート1ケタ台になることが確認できた。Watch Dogs: Legionの場合フルHD環境でのVRAM占有は8.7GBと極端に多い訳ではないため、RX 6600 XTの遅さはVRAM搭載量ではなく、CU数が減った結果実装数も減ったRay Acceleratorがボトルネックになっていることが示されている。
フルHDゲーミング向けとしては納得の性能だが……
以上でRX 6600 XTのレビューは終了だ。RX 6700 XTには25〜35%下回るものの、ライバルであるRTX 3060に対しては勝ったり負けたりといったところだ。解像度が上がるとライバルの方が伸びる傾向も見られたが、フルHDゲーミング向けというRX 6600 XTのコンセプトを考えると問題とはいえない。
ただ問題は価格とのバランスだ。379ドルという価格はあくまでベーシックな設計のモデルに対するものであり、今回検証したようなプレミアムなファクトリーOCモデルはさらに高くなる。ただ仮想敵であるRTX 3060が6〜7万なのでそれよりも同等〜やや安い値段で出してくるだろう。
フルHDではRTX 3060に対しアドバンテージはある程度認められたものの、5万〜6万円出して“レイトレーシングは苦手です”というキャラ設定が受け入れられるか……と言われればやや厳しいと感じる。
価格差が小さいならちょっと上乗せしてRTX 3060にすれば、フルHDでのフレームレートはほぼ変わらず(Assassin's Creed Valhallaのような例外もあるが)、かつレイトレーシングを使ったゲームもある程度攻められる(しかも、RTX 3060にはDLSSという付加機能も利用できる)。RX 6600 XTが輝くには価格という後押しが必要だ。
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