キヤノンMJ/サイバーセキュリティ情報局
フィンテックアプリを使う人とそうでない人
本記事はキヤノンマーケティングジャパンが提供する「サイバーセキュリティ情報局」に掲載された「フィンテックを積極的に利用する人とそうでない人の差は? 」を再編集したものです。
情報テクノロジー(IT)は30年以上にわたって私たちの生活全般で重要な役割を果たしており、今も深く浸透し続けています。新型コロナウイルスのパンデミックにより、テクノロジーへの依存が一層高まっています。ファイナンステクノロジー(フィンテック)は、私たちの生活と切り離せなくなっており、今後も進化を続けるでしょう。私たちのような消費者はApple PayやPayPalなどのデジタルウォレットアプリを日常的に利用するようになりましたが、企業もさまざまなフィンテックを活用しています。
フィンテック環境を理解するため、ESETは英国、米国、オーストラリア、日本、ブラジルの1万人の消費者を対象に、フィンテックに対する意識、フィンテックソリューションの今後の動向予測、サイバーセキュリティに関する慣行、ファイナンスセキュリティとテクノロジーの慣行について調査を実施しました。重要な質問のひとつとして、資産管理に現在使用しているフィンテックアプリ/プラットフォームの数について尋ねたところ、日本の消費者の10人に3人が4つ以上のプラットフォームを利用しており、4分の1が1~3つのプラットフォームを利用していることが明らかになりました。世界的に見ると、日本の消費者のフィンテック普及率は41%であり、世界平均の62%を大きく下回っています。
1~3つのアプリを利用しているユーザーは、フィンテックサービスに高い関心を持っていますが、4つ以上のアプリを利用しているユーザーと比較した場合には、「一般ユーザー」に分類できます。後者のグループである「フィンテックの積極的な利用者」は、さまざまなフィンテックアプリやプラットフォームを活用しているユーザー層です。ESETでは、使用するアプリケーションに対する意識や行動、注意しているセキュリティの予防対策など、これらのグループのいくつかの違いについて詳しく調査しました。
フィンテックを利用しているユーザー層
興味深いことに、2つのグループ間では性別にわずかな違いがありました。一般ユーザーで女性が占める割合は39%であったのに対して、積極的な利用者では50%でした。年齢については明確な違いが見られ、積極的な利用者の大多数が18歳から44歳のユーザー層であるのに対し、一般ユーザー層の大多数は35歳以上でした。
セキュリティ意識の高さ
フィンテックサービスを利用する際のセキュリティの予防対策については、興味深い結果が得られました。積極的な利用者よりも多くの一般ユーザーが、フィンテックアプリケーションをダウンロードする前に、利用規約やプライバシーポリシーのいずれかを確認していました。この内訳を詳しく見ると、一般ユーザーの28%が利用規約を読んでいるのに対して積極的な利用者では24%となっています。また、一般ユーザーの26%がプライバシーポリシーを読んでいるのに対して積極的な利用者では22%になっています。この理由は不明であり、「デジタル疲労」や「セキュリティ疲労」によるものかもしれませんし、利用規約について「大体理解している」と考えているためかもしれません。正しく判断するにはより多くのデータが必要となります。
最も興味深いのは、公共のWi-Fiや他のオープンネットワークを利用してファイナンスアプリのアカウントにアクセスするときの差異が顕著であったことです。フィンテックの積極的な利用者の73%が公共のWi-Fiからフィンテックアプリのアカウントにアクセスしているのに対し、一般ユーザーは47%にとどまっています。これだけ顕著な違いが見られた理由として、前述の「セキュリティ疲労」や、トレーダーやモバイルデバイスを使いこなすデジタルネイティブユーザーがこれらのフィンテックアプリに接続し続けるためには高額な大容量のデータプランを契約しなければならないことが考えられます。また、一般ユーザーは、テクノロジーを活用したアプローチには慎重であり、リスクを積極的に取らない傾向にあります。
この乖離は、フィンテックの積極的な利用者がセキュリティ対策に高い自信を持っていることを示しているのかもしれませんが、単なる独りよがりである可能性もあります。パスワードマネージャやVPNを使用している積極的な利用者の数が多いこともこの理由である可能性もあります。積極的な利用者の88%がパスワードマネージャーを使用しているのに対し、一般ユーザーでは71%でした。また、積極的な利用者の79%がVPNを使用しているのに対し、一般ユーザーでは56%に留まっています。VPNを包括的な解決策として使用しており、モバイルセキュリティソリューションとVPNを利用しているので、安全だと考えている可能性もあります。
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消費者が利用するフィンテックアプリやサービスの数に関わらず、すべてのユーザーにとって、サイバーセキュリティとデータ保護を重視することは極めて重要です。フィンテックサービスに精通しているユーザーは、テクノロジーに精通しており、安全を確保するためのテクノロジーにも投資しているように思われますが、サイバーセキュリティのリスクに対する過信や独りよがりは、その努力を無駄にさせる恐れもあります。フィンテックアプリやプラットフォームをこれから利用しようと考えている方でも、経験が豊富なプロフェッショナルであっても、機密性の高い資産情報が悪用されないようにするためには、全員が取るべき重要なステップがあります。
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