横浜中華街流行通信~地元発のディープな街歩き~ 第4回

【連載】横浜中華街全域でのワクチン職域接種申請のドタバタ劇!

文●石河陽一郎

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 新聞やテレビなどの報道で既にご存じの方も多いかもしれませんが、企業向けの職域接種という枠組みを利用して、この街(横浜中華街)で働く人を対象に、職域接種の申請をしました。

 横浜中華街にいらっしゃるお客様が安心して街に来ることができるように、またこの街で働く人たちに安心して働いてもらうためです。街でも「早く受けたい」との声が多く、コロナで傷ついた街が1日も早く回復するためにも街全体での接種を計画するにいたりました。

 6月21日に、全国で本格的に職域接種が始まりました。その状況を企業で担当された方々にヒアリングしたり、街で働く人たちに接種に関するアンケートを取ったり、事務局設立の準備などをしていた矢先、突然6月23日の夕方に職域接種中断のニュースが流れてきました。

 6月25日の分までは受け付けると河野大臣がお話されていたので、慌てて準備をし、25日にすべり込みで申請をしました。「供給量を上回る場合には、承認しないこともありえる」と発表しているので、今(6月26日現在)は運を天にまかせている気持ちです。

 無事に承認が下りた場合の接種会場は、今回の記事のメイン写真でもある中華街パーキングになります。ここは1回目の緊急事態宣言中、ドライブスルーの会場としてもご協力いただきました。

 政府が大企業向けに職域接種という枠組みを準備しているということが報道に出始めたのが5月で、6月1日には、職域接種を6月21日から開始をするという発表がありました。この時点ではレギュレーションも何にも決まっていませんでした。しかし、ぼくは横浜中華街発展会協同組合の髙橋理事長から「動向を注視するように」という指令を密かに受けていました。

 省庁向けに説明会が開かれたのが6月2日。資料は後から公開になるので、ネットから入手することができました。便利な世の中です。その後、実施に向けた手引きが公開されたのが6月8日です。こちらは分厚い資料で目を通すだけでも、ひと苦労でした。

 その前日の6月7日には、城崎温泉(兵庫県豊岡市)が温泉旅館協同組合での職域摂取を準備していることが報道で流れました。続いて、有馬温泉(兵庫県神戸市)、道後温泉(愛媛県松山市)と、職域接種検討の発表が続きます。しかも、有馬温泉は接種を21日から始めるといいます。先を越された気持ちでした。

 資料を読み込んで、接種場所の設計、医療従事者の確保、接種計画を立てるのは、かなり骨の折れる仕事です。元々は大企業向けに作られたものを、大小さまざまな店舗から構成される商店街向けのレギュレーションに書き換えていかないといけないのです。しかも、横浜中華街は日本語がネイティブじゃない方も多いため、説明するためにさまざまな資料の翻訳も必要になります。日本での通名と本名の2つがある場合、在留カードと接種券の表記が違うこともあり、その確認方法など、この街ならではの作業も発生します。

 個人情報を扱うことになるので、そのための配慮と情報管理の手法、ワクチンハラスメントの対応など、店舗ごとの接種スケジュール、医療従事者の勤務シフト、まだまだやらなきゃいけないことがたくさんあります。緊急招集されたメンバーと毎晩遅くまで頭を掻きながら、苦手な資料や難しく書かれた厚労省ガイドラインを読み込んでいます。

 (オレ、ほんとは洋服屋さんなんだけどなー)※ひとり言

 街全域での接種計画は全国でも例がないため、県の担当者に問い合わせても、すぐには回答がきません。「厚労省に質問しているので、お待ちください」とのこと。メールでの回答が届くのは、たいてい夜中です。職員の方々も大変ですよね。今回あちこちの接種会場を巡っていて感じたのですが、市の職員の方々も県の職員の方々も本当によく汗をかいていただいています。おそらく厚労省の方々も大変だと思います。記事のタイトルにドタバタと書いてありますが、ドタバタしているのは、ぼくだけでなくて、毎日情報が変わりそのたびに振り回されている行政の方たちもそうなのかもしれません。

 大規模接種会場に立って案内している方々は、その行政のあちこちの部署から集められた方々です。課長職、部長職の方も少なくありません。朝から晩まで立ちっぱなしで案内をしています。そんな彼らの多くは、まだ接種を受けていません。接種を受けたことが伝わると「特権階級」とか「上級市民」という批判を浴びる可能性があるからだそうです。行政に対しては僕も言いたいことが何もないわけではありませんが、みんな大変だなー、と同情してしまいます。

 さてさてどうなることやら。

 ここまで準備を進めても前述のとおり、申請を受け付けてもらえない場合もあり得ます。次回このコラムを書くころにはどうなっているかをみなさんにお知らせできるとおもいます。

 さてお待ちかね、ボス飯シリーズです。

 今回のランチは「牡丹園」の「うなぎチャーハン」をご紹介します。

 前回はこちらをご紹介しました。

【連載】横浜中華街×メディアの上手な付き合い方とは?

※過去の連載記事はこちら:横浜中華街流行通信~地元発のディープな街歩き~

 名前のとおり、チャーハンの上にウナギがのっています。スタミナがなくなるこの時期に食べたくなるメニューです。ウナギに絡まったタレを絡めながら下のチャーハンを大きめのスプーンで口の中に入れると、中華と和食のハーモニーが広がります。冬瓜のスープも手を抜いてないおいしさです。

 これで700円は安い!!

 「牡丹園」さんは野球選手をはじめ、芸能人も多く訪れる名店。「生ウニの中華風茶碗蒸し」(2-3人3500円~)など創作料理がたくさんあります。ぜひ足を運んでみてください。

 腹減った!!

うなぎチャーハン700円。ランチタイムはデザート付き

◆店舗DATA
店名:牡丹園
住所:横浜市中区山下町147【香港路】
電話:045-651-9168
営業時間:11:30~14:00(LO)、17:00~20:30(LO)、
     土日祝11:30~20:30(LO)
※現在新型コロナウィルスの影響のため営業時間に変動あります。事前にお電話にてお問合せください。
休み:月曜(祝日の場合は不定)
http://www.botanen.co.jp/

文/石河 陽一郎

いしかわ よういちろう。1972年生まれ。株式会社ロウロウ・ジャパン代表取締役・総合プロデューサー。横浜中華街発展会協同組合専務理事。茅ヶ崎出身、横浜市在住。幼少期をシンガポールで過ごす。趣味はシステマ、焚き火。