Thunderbolt 4&HDMI端子を搭載したインターフェースにも注目
“無駄のなさ”を追求した富士通らしい筐体デザインに感無量! 第11世代Core&Iris Xe搭載13.3型ノート「LIFEBOOK WC1/E3」
2021年06月22日 09時00分更新
富士通クライアントコンピューティングが販売する「LIFEBOOK WCシリーズ」の「LIFEBOOK WC1/E3」は、同社の直販サイト「富士通WEB MART」で購入できる、直販モデルの13.3型ノートパソコンだ。
一見して感じるのは、そのすっきりとした無駄のないデザイン。カラーバリエーションはベージュゴールド、モカブラウン、ダークシルバーの3色をラインアップするが、いずれもマット調で、その表情はどことなく洒落ている。
本機は、これまでの富士通クライアントコンピューティングのノートパソコンと比べると、別メーカーの製品化と思うほどの違いがある。だが、実際に使ってみると、その使用感は紛れもなく慣れ親しんだ"富士通クライアントコンピューティングのノートパソコン"だ。本稿では主に外観と使用感の面から、その魅力を紹介したい。
試用機の主なスペック | |
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CPU | Core i5-1135G7 (4コア/8スレッド、最大4.2GHz) |
グラフィックス | インテル Iris Xe グラフィックス |
メモリー | 8GB (LPDDR4X-4266、デュアルチャネル) |
ストレージ | 256GB(PCIe) |
ディスプレー | 13.3型(1920×1080ドット、IGZO) |
内蔵ドライブ | - |
通信規格 | Wi-Fi 6(IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax)+Bluetooth 5.0 |
インターフェース | Thunderbolt 4 USB4(Gen3)Type-C×2、USB 3.2(Gen1)Type-A、HDMI入出力端子、マイク・ラインイン・ヘッドフォン・ラインアウト・ヘッドセット兼用端子 |
内蔵カメラ | 約92万画素ウェブカメラ |
サイズ/重量 | 307(W)×207(D)×15.8(W)mm/約988g |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
不要な要素は徹底して排除、富士通らしいミニマルなデザイン
まずはトップカバーに目を向けてみる。すぐに気がつくのは、多くのノートパソコンのトップカバーが緩やかに丸みを帯びているのと異なり、LIFEBOOK WCシリーズのトップカバーは完全な平面である。
「完全なフラット」は「緩やかなカーブ」と比較して、ひとつ装飾要素が減ったと見ることもできると思うが、ともすると「素っ気ない」とか「簡素」なイメージも生みかねない。本機の場合、塗装の質感と絶妙な色味、また四隅の微妙な鋭さを持ったカーブによって、ミニマルさを演出しつつも、すっきりと無駄のない雰囲気を作ることに成功していると思う。
閉じた状態でのフロントと、ヒンジ部のデザインについても、同様にすっきりと無駄なく仕上げている。とくに注目したいのはヒンジ部だ。クラムシェル型のノートパソコンの構造上、ヒンジ部には適度な剛性を持たせる必要があり、時に見た目の美しさよりも、強度を優先してデザインする必要が出てくる。また、各パーツは徹底して直線的であり、開いていても、閉じていても主張が少なく、美しい。
LIFEBOOK WCシリーズの場合、トップカバー/ディスプレーユニット側が「凸」の形状、ボトムケース側が「凹」の形状になっていて、それらが噛み合うかたちでヒンジ部分を構成しているが、そのバランス感覚が絶妙で、「そこにヒンジがある」ということを感じさせない。
一方でLIFEBOOK WCシリーズは約200kgfの天板全面加圧試験や、約76cmからの落下試験をクリアしている点も大きな特徴。すっきりとしているだけでなく、頑丈でもあるのだ(無破損、無故障を保障するものではない)。
「優れたデザインの定義がどこにあるのか」は人によっても意見が分かれるところかもしれない。だが、LIFEBOOK WCシリーズに関していえば、「いかに装飾性を感じさせないか」という、引き算の意識が強く感じられ、かつ、その中で堅牢性も確保している。これは、ノートパソコンのデザインとして、とても優れているポイントではないだろうか。
インターフェースのレイアウトにも注目
インターフェースとしては右側面に、USB 4に準拠するThunderbolt 4(Gen3/Type-C)と、USB 3.2(Gen1/Type-A×1)を搭載し、左側面にUSB 4準拠のThunderbolt 4(Gen3/Type-C)とHDMI端子を搭載している。
富士通の15.6型ノートパソコンなどには、さらに多くのインターフェースが搭載されているケースが多いが、LIFEBOOK WCシリーズのインターフェースは、最近の薄型ノートパソコンとしては十分に充実しているのではないだろうか。とくに、USB 4準拠のThunderbolt 4(Gen3/Type-C)とHDMI端子は、外出先でプレゼンをする機会が多い人にとっては、非常に便利だ。
インターフェースがボディーの奥側(ヒンジ側)に集中してレイアウトされている点も、デザインに貢献している。LIFEBOOK WCシリーズの側面は、奥側から手前に向かって細くなる楔形状だが、ここも直線が意識されている。
インターフェースを奥に集中させることで、手前側に余白が生まれ、「鋭さ」や「シャープさ」を一層強調する結果となっている。
キーボードのレイアウトは「いつもの富士通」
従来通りの使用感もしっかり確保
随所に「新しい富士通クライアントコンピューティングのノートパソコン」らしさが感じられるLIFEBOOK WCシリーズだが、キーボードレイアウトはお馴染みの富士通レイアウトだ。
キーボードフレームのうち、左右上下キーの周辺を広く取り、すこし下側に飛び出る形でレイアウトするのが、同社のノートパソコンのセオリーだ。長い文書の作成や、表計算ソフトを多用する業務では、トラックパッドやマウスに手を移さずに、キーボード状でカーソル移動をする機会も多い。左右上下キーが使いやすいことは、何かと好都合なのだ。他社のノートパソコンから乗り換えると、はじめはこの独特のレイアウトに戸惑うかもしれないが、すぐに慣れるので心配しないでほしい。
強いていえば、スペースキーがやや短めではあるものの、そのほかのレイアウトにクセはなく、標準的なJIS配列の86キー仕様だ。キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.7mmと、同等サイズのノートパソコンとして優秀で、使いやすい。さらに、それぞれのキーが本体カラーと同色に塗装されているだけでなく、「かな」の印字がない点も、LIFEBOOK WCシリーズの特徴だ。シンプルにローマ字のみが刻まれているキーは、まるでUSキー仕様のノートパソコンのようだ。
「かな」の印字を廃することが、デザインに与えるインパクトはかなり大きいので、ここはぜひ実機でも見てもらいたい部分だ。筆者の印象としては、ノートパソコンで「かな入力」をしている人は少数派で、95%程度、あるいはそれ以上の人が、普段からローマ字で文字入力をしているのではないだろうか。そこから考えれば、「かなの印字はなくても困らない人がほとんど」といえるかもしれない。しかし、JISキーを採用するノートパソコンの多くが、キートップに「かな」を印字している。
おそらく、開発時に「かな」を印字するかどうかという部分で議論があったと想像するが、LIFEBOOK WCシリーズのミニマルさを生かすことを優先したのだろう。そして、その判断により、LIFEBOOK WCシリーズは、JISキーを採用する国産ノートパソコンとしては珍しいほどのスッキリ感を手に入れることに成功していると感じた。
これまでの富士通ノートパソコンには見られなかったデザイン
一見して「何やらかっこいいぞ」と思わせる外観を持っている「LIFEBOOK WC1/E3」だが、詳細に観察すれば、随所に、デザイン的な無駄を取り除くための工夫が感じられるモデルに仕上がっている。ノートパソコンの性能だけでなく、質感やデザインを執着的に気にする筆者としては、このデザインを生かしつつ、金属製のボディーを採用したモデルも、いつか見てみたい。
富士通WEB MARTから選択できる構成は、6月21日時点で6種類となっている。OSはWindows 10 Home、CPUはCore i5-1135G7、メモリー容量は8GBで共通しているが、ストレージは256GB/512GB/1TB SSDから、ディスプレーはスーパーファイン/有機ELから、Microsoft Officeなし/Office Personal 2019/Office Home and Business 2019から選択できる。
紹介が最後になったが、「LIFEBOOK WC1/E3」の主なスペックはCore i5-1135G7(4コア/8スレッド、最大4.2GHz)、インテル Iris Xe グラフィックス、8GBメモリー(LPDDR4X-4266)、256GB SSD(PCIe)いう構成だ価格は上記構成で16万5880円だが、通販サイトで取得できるクーポンを適用することで、12万7727円から購入できる(6月21日時点)。
基本的な処理性能は第11世代のCore i5と、8GBメモリーで確保しつつ、ユーザーや利用シーンに応じて、柔軟なカスタマイズができる。事務作業などで活用する場合は256GB SSD+スーパーファインディスプレーの組み合わせでリーズナブルに、写真の編集や動画の鑑賞など、ある程度のストレージ容量と、より発色のいいディスプレーを望む場合は、1TB SSD+有機ELディスプレーの組み合わせでリッチにと、使い方を想定して構成を選ぶといいだろう。見積もりページより自在にカスタムできるので、購入時は、こだわりの1台を注文してほしい。