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アナログの極みの美容業界で進むDXの形

コロナ禍を機にLINE WORKSと研修動画にチャレンジしたアルテサロンHD

2021年06月11日 11時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●永山亘

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 美容室のフランチャイズ展開を行なうアルテ サロン ホールディングス(以下、アルテサロンHD)は、コロナ禍を乗り切るべく、グループ全体でLINE WORKSを導入。さらに美容師のスキル向上を目指した動画コンテンツの拡充にも乗り出した。一連の施策を手がけてきた取締役の大山 高寛氏に話を聞いた。

アルテサロン ホールディングス 執行役員 大山 高寛氏

巨大化したグループ全体のコミュニケーションに課題

 アルテサロンHDは複数の美容室チェーンをフランチャイズ展開するホールディング会社。主力サロンブランド「Ash」は126店舗、約1500名の従業員を抱える規模に成長しており、グループ全体の店舗数は海外含めて333(2020年12月末)にのぼる。

 現取締役でDX化の立役者でもある大山高寛氏は、もともとアルテにSNSマーケティングをコンサルティングする側の立場だったが、今から7年前に創業会長の吉原直樹氏の声に応えて入社。店舗に足を運び、スキルもこだわりも、給料も違う美容師とコミュニケーションする中で、集客や売上向上につながる施策を手がけてきた。そして4年前、ホールディングスの執行役員に就任して以降は全社的なIT導入、今で言うDXを手がけるようになった。

 大山氏は、「今後、デジタルで集客するタッチポイントを作っていかないと業界で生き残れないという話をするのですが、単に『SEOを意識して、ブログ書いてね』と言っても、美容師さんたちはそっぽを向いてしまいます。一方で、それを推進する本部側のITへの理解もなかなか上がらない。結局、グループ全体でリテラシを上げないと難しいなと思いました」と語る。現在は全社の数値を管理する戦略遂行部の広告・販促、マーケティングを統括しており、情報システム部とは別に美容院のDX化を推進している。

 大山氏の前に立ちはだかった課題はグループ全体のコミュニケーションだ。本社はビジネスチャットとして「Talknote」を使っていたが、店舗の店長やスタッフとのやりとりは、個人のLINEや電話が多く、店舗ではFAXも健在だった。こうした中、にわかに起こったコロナ禍を機に、アルテサロンHDではグループ全体で使えるコミュニケーションツールとしてLINE WORKSを導入することにした。

 LINE WORKSを選定した理由は、LINEのようなユーザーインターフェイスを持っているためリテラシにあわせて展開できること。また、フランチャイズという縦割り型の組織にあわせてグループを作れるというのも大きなメリットだった。

コロナ禍で一気呵成にLINE WORKS導入 グループ共通のツールに

 当初は、コスト負担を本社側がすべきか、フランチャイズ側がすべきかという議論もあった。また、本社が従業員に直接連絡が取れる環境になるのはオーナーとしても気になるし、今までオーナーと店長を介していた指示系統が変わることに違和感を感じていた本社メンバーもいたという。しかし、コロナ禍はこうした議論を封印し、LINE WORKSの導入を一気に後押しした。「4月はすべて店を閉めたので、128店舗(2020年3月時)で 一気にアカウントを作成してもらいました。店長に連絡してログインしてもらい、コロナ禍でできなくなったスタッフとのやりとりは、すべてLINE WORKSにしてもらいました」(大山氏)。

 スタートダッシュは上々だった。店舗、店長、オーナー、新入社員などでそれぞれトークグループを作り、一次情報は本社から流した結果、利用は一気にアクティブになった。「メールで確実に届けたいという総務の方々を説得して、見ないと困る給与明細、税金関係、年末調整などの情報もLINE WORKSで流すようにしました。それどころか『休業します』『営業再開します』などがLINE WORKSで掲示されます。だから絶対に見てくれるんです」(大山氏)。その他、お店に掲示するコロナ対応のPOPのほか、後述する動画コンテンツも積極的にLINE WORKSで拡散した。

 結果的にLINE WORKSは短期間で一気にアクティブになり、グループ全体の共通コミュニケーションツールにのし上がった。本社もテレワーク推奨に変わり、LINE WORKSを導入することで、とにかくLINE WORKSに流しておくという文化ができた。横のつながりもでき、情報の格差も防げるようになったという。「50人近いフランチャイズのオーナーは、もちろん一人ひとりが経営者で、個性ややり方も違うのですが、同じAshというブランドで事業をやっている一体感は作れたかなと思います」と大山氏は語る。

 特に大きかったのは入社したばかりの新人美容師のケアだ。「地方から出てきて、一人暮らししながらがんばっている美容師さんたちも多いので、彼ら・彼女らに連絡手段を作れたのが一番よかった」と大山氏は語る。

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