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データのビジュアル分析から、カジュアルな“日常使い”のデータサイエンスへ

新たなコンセプト「ビジネスサイエンス」を打ち出すTableau

2021年05月07日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Salesforce.com傘下のBIベンダー、Tableau Softwareが「ビジネスサイエンス」を提唱している。目指すのは、全社員が日常的にデータを活用してより良い意思決定を行うビジネス環境。先に登場した最新版の「Tableau 2021.1」では、すでにビジネスサイエンスを実現する機能が含まれているという。2021年4月27日、同社のカントリーマネージャーである佐藤豊氏がオンラインで説明した。

Tableauでは新たなコンセプト「ビジネスサイエンス」を提唱。精度よりも即時性やコンテキストを重視し、ビジネスの中で日常的に“使える”データ分析の実現を目指す

Tableau Software カントリーマネージャーの佐藤豊氏

常に高度なデータサイエンスが必要……ではない

 企業において投資が進み、「あればいい」から「必須」になりつつあるAI/データ分析だが、「誰もが使える」と言える状態にはほど遠い。専門知識なしにはモデルの構築や実装が難しいからだ。また、すべての企業がデータサイエンスチームを抱えているわけではなく、たとえデータサイエンスチームがあったとしても、ビジネスチームとの間での綿密なやり取りは時間を消費する。

 そうした状況を受けてTableauが提唱するのが「ビジネスサイエンス」だ。データ活用の民主化を進めるための、同社のコンセプトとなる。

 「(ビジネスサイエンスは)データ分析技術を一般的なビジネスパーソンが活用できる、新世代のAI搭載型分析だ。業務知識のあるビジネスユーザーが、高速にインサイトを得て、自信を持って意思決定ができるようにする」と佐藤氏は説明する。

 データサイエンスチームに依存せずビジネスユーザー自身で分析ができることで、時間の節約だけでなく、より細かな領域でのデータ活用を可能にしたり、気軽に試行錯誤できたりするメリットももたらすとみる。

 佐藤氏は「常に高度で精密なデータサイエンスが必要というわけではない」と述べ、特に「即時性」や「コンテキスト」が重視される場面においては、精度は劣ってもカジュアルに利用できるビジネスサイエンスの出番があると説明する。

ビジネスサイエンスもデータサイエンスも“万能”ではなく、用途や場面により使い分けるべきものと説明

Einstein Discoveryを統合した「Tableau 2021.1」

 このビジネスサイエンス戦略でTableauが活用するのが「Salesforce Einstein」だ。Tableauは2019年、Salesforceにより買収され、それ以降は両製品間の連携を強めている。新版のTableau 2021.1においては、データの説明的分析、予測分析、さらには予測結果を改善する方法の推奨といった機能を持つ「Einstein Discovery」の統合を実現している。

Tableauが備えるデータ分析機能にEinsteinが持つAI/機械学習の能力を統合

 これにより、Einstein Discovery上でモデルを生成し、Tableauダッシュボード内にワークフローを組み込み、ダッシュボードの中でリアルタイムに予測を得ることが可能になる。また、データの準備(プレパレーション)ツールである「Tableau Prep Builder」に、Einsteinから機械学習による予測スコアを直接インポートすることができるため、予測スコアを加えたデータセットから簡単にモデルを作ることができるという。

 佐藤氏は「Einstein Discoveryの優位点はビジネスのニーズに合わせてさまざまな予測をカスタマイズできること。さらにはその結果の最小化/最大化も、はい/いいえなどと質問に答える形でできる」と、ノーコード/ローコードで開発できる特徴も強調した。

 佐藤氏が披露したデモでは、営業部門のKPIダッシュボードにEinsteinのTableauダッシュボード拡張を埋め込み、過去の商談データから学習したアルゴリズムに基づき、現在進めている商談の成約率を予測したものを表示したり、商談の成約率予測が低いチームでEinstein Discoveryを用いて原因を分析し成約率改善につなげる方法を得るといったことを行った。

画面右側にEinstein Discoveryが組み込まれている。過去の商談データから学習して成約率を予測し、さらには予測因子や改善方法も示唆している

 ダッシュボードをSalesforceなどの業務アプリケーションに統合して、ユーザーのビジネスプロセスにBIと予測を組み込むこともできるという。

 ノーコードでの機械学習モデルの構築デモとして、再購入見込み顧客の予測も披露された。Tableau CRM(旧称:Einstein Analytics)のインターフェイスから再購入データのCSVファイルを取り込み、再購入率を最大化するための予測を行う機械学習アルゴリズムを作成した。作成したモデルは簡単なステップでTableau CRMにリリースし、デプロイできるという。

データを取り込み、Einstein Discoveryストーリーを作成し、機械学習の予測モデルを作成する。質問に答えるウィザード形式で操作を進める

生成された顧客の再購入予測のストーリー。ここから、相関が強い変数から上位インサイトを表示することもできる

Einstein Discoveryのダッシュボード拡張はドラッグ&ドロップでTableau Desktopに埋め込むことができる

 Tableau 21.1はEinstein Discovery統合が目玉となるが、このほかにもMicrosoft Azureとの接続の強化、データマネジメントとしてTableau Catalogの改良なども特徴となる。

 創業から18年、Tableauはこれまでデータのビジュアル分析や可視化を通じて誰もがデータをみて理解できることを目指してきたが、現在は「次の世代に来ている」と佐藤氏。その次世代コンセプトの1つがビジネスサイエンスであり、「今後TableauがSalesforceと一緒になって目指すものは、誰もが使えるアナリティクスプラットフォームを実装することだ」と強調した。

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