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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第125回

ワクチン予約めぐって各地で混乱 高齢化とデジタル化が課題に

2021年05月03日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 新型コロナワクチンの接種が、とてもゆっくりと進んでいる。

 首相官邸が公表している資料によれば、2021年4月27日までに、高齢者で約11万回、医療従事者で約310万回の接種が済んでいる。

 こうした状況に、ネットメディア、テレビ、新聞は「接種が進まない」「遅れている」との報道であふれている。

 毎日の高齢者の接種回数のデータを見ると、4月12日~27日の間で、少ない日は全国で1日2000回台、多い日は1万3000回台となっている。1日あたりの接種回数の平均でみると7233回となる。

 一方、NHKのまとめによれば、4月29日の全国の感染者数は5918人。

 仮に、現在のペースでワクチン接種と感染拡大が続けば、まもなく1日の感染者数が接種回数を上回ることになる。

 こうしたデータからは、各メディアの「遅れている」との指摘は妥当だろう。

 さらに、ワクチン接種の予約をめぐって、各地で混乱も生じている。

 電話やインターネットで予約を受け付けているが電話がつながらず、各地の役所に、しびれを切らした人たちの行列ができているようだ。

電話回線がパンク

 ワクチンの接種は次のような流れで進む。

1. ワクチン接種の対象者にクーポン券が届く
2. 電話やインターネットで予約
3. 1回目の接種を受ける
4. 3週間後に2回目の接種を受ける

 名古屋市は、4月19日に75歳以上、4月22日に65歳以上の高齢者に対してクーポン券の発送を始めた。

 市の公表資料によれば、対象者は約59万8000人になる。

 名古屋市が予約の受付を始めてから間もなく、コールセンターがパンクした。

 26日の東海テレビの報道によれば、市は1日5000件の電話対応を想定し、125回線を用意した。しかし、4月22日には想定の3倍の電話がかかってきた。

 つながらない電話にしびれを切らした名古屋の人たちは、区役所に行列をつくった。100人以上が行列した区役所もあったという。

 26日のテレビ朝日系列のニュースで、インタビューに答えていた77歳の男性は、「インターネット?そんなもん我々はやらないから」と話している。

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