格安データ通信SIMを買って格安に使い倒す! 第175回
新料金プランに注目が集まる今、あえて3大キャリアのメインプランに残って低コストで利用する方法を考える
2021年04月04日 12時00分更新
「ahamo」「povo」「LINEMO」と、3大キャリアの月20GBでオンライン専業の新料金プランが出揃った。すでに新料金プランを満喫している人がいる一方で、申し込みがうまくいかない人の恨み節も話題となった。そもそもこれらのプランがすべての人にとって最良の存在ではない。使い方によってさまざまだ。そこで今、あえて3大キャリアのメインプランを使いつつ、月3000円強の支払いで快適に使う方法を考えた。
もちろん、これから紹介する方法も、万人にとっての最良の答えではない。キャリアメールを使い続けたい、家族間の無料通話を重視、子供向けケータイの利用、充実した国際ローミング、セルラータイプのApple Watchの利用など、さまざまな事情から3大キャリアのメインプランに残留しなければならない人の場合だ。そして、利用には多少の知識も必要となる。
eSIMプランでデータ通信がオトクに使えるIIJmio
最近のiPhoneでは2回線運用が可能
今回メインで紹介するのは、4月から始まったIIJmioのeSIMプランでデータ通信を賄う方法だ。iPhone XS/XR以降(新iPhone SEを含む)の最近のiPhoneや、グーグルのPixel 4以降のモデルでは、eSIMに対応し、通常の1枚目のSIMと組み合わせで1台で同時待受が可能。1枚目の通常のSIMは3大キャリアのメインプランで主に電話の発着信に使い、もう1つのeSIMでは格安でのデータ通信を組み合わせることで、比較的安価に利用できる。
具体的な月額費用としては、ドコモなら段階制の「ギガライト」(正式には2019年10月以降では「ギガライト2」)は、3回線以上の家族割引があれば通信量1GB以下で月2178円。そこにデータ通信用として、IIJmio ギガプランの月1100円(eSIMで8GBの場合)を加えると、合計で月3278円でドコモのメインプランとそこに付帯する(ahamoには無い)各種サービスをそのまま使える。月8GBでは足りないのなら月15GB/20GBの選択肢があり、20GBでも月1650円なので、合計で月3828円となる。
家族割引が無いケースでは、ギガライトとIIJmioのeSIMの8GBを組み合わせて月4378円。ともにahamoよりは高くなるが(また、ahamoには1回5分までの通話定額も含まれる)、ドコモのギガライトのまま8GBを消費した場合よりは確実に安い。
IIJmioでは一般的に、混雑時のデータ通信の速度の落ち込みはahamoよりは大きいかもしれない。ただ極端に遅いのは、1日のうちの昼休みの後半30分程度で、あとは夕方が少し遅いくらいとなれば、あまり問題にならないと考える人もいるだろう。また、日中のビジネスタイムはかなり快適で、筆者自身、IIJmioの回線を長く使っているが、昼休み以外に問題を感じたことはない。
もし、IIJmioの速度が低下する時間帯に高速通信が必要なら、そのときだけドコモ側に切り替えることもできる。以前なら切り替えたまま忘れてしまうと、段階制である「ギガライト」の料金が気づかない間に上昇してしまう恐れもあったが、今年3月から始まった「ギガプラン上限設定オプション」を申し込んでおけば、あらかじめ設定した上限値まで達すると自動で制限がかかり、請求額が跳ね上がる心配はない。
まさに今、eSIMによる2番目のSIM活用に向けた環境が整ったと言えそうだ。
eSIMを活用するのであれば、IIJmio以外にも楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT」という手もある。終了間近だが、4月7日までに申し込めば1年無料。ドコモのネットワークを使っているIIJmioに比べると、エリア面では不利だが、行動範囲で楽天モバイルの電波に繋がるという人なら悪くない選択肢と言えそうだ。
auやソフトバンクでも基本的には同様の節約が可能
ドコモの「ギガライト」以外に、auの「ピタットプラン 4G LTE」(新auピタットプランN)、ソフトバンクの「ミニフィットプラン+」も基本的に同様の段階制の料金体系となっており、eSIMによる別のデータ回線と組み合わせて月額費用を抑えられる。
ドコモ/auは3回線以上の家族割引が無いと1100円引きにはならないが、ソフトバンクなら対象の固定回線を契約していれば1人での利用でも1100円引きになる。ソフトバンク以外のサービスでも、「NURO 光」で電話を使っていれば対象というように範囲は広い。固定回線セットについては自分で申し込みをしないといけないので各自確認していただきたい。
ただし、月1GBを超えたあとの料金の上がり方は3社で異なるほか、前述した月1GBで自動で制限をかけるオプションと同等のものはauやソフトバンクにはない。それでも通信量が一定のところでメールで知らせる機能やスマートフォン側の機能で制限することもできる。
eSIMを2番目のSIMとして利用するのは
手順が多くてなかなか複雑だ
IIJmio「ギガプラン」の契約は他の格安SIMと大きな違いはない。ただし、eSIMを端末に組み込む際、QRコードを表示させて読み込むのでPCを使って申し込むのがラクと言える。
また前準備として、自分が使っているスマートフォンがeSIM対応であることはもちろんのこと、キャリアから購入した端末の場合はSIMロック解除が必要。ドコモのネットワークの格安SIMは、通常はドコモから購入した端末ではSIMロック解除は不要だが、IIJmioのeSIMはフルMVNOと言って、IIJ独自のSIMとなっている。そのためドコモ機であってもSIMロック解除が求められる。
その上で、IIJmioでeSIMのプランを申し込み、しばらくすると届く「ご利用開始のお知らせ」メールにあるリンクからログインするとeSIMのQRコードが表示されるので、端末から読み取るとeSIMプロファイルが読み込まれる。
設定自体は順番に設定していけばいいだけで、追加するeSIMを副回線に、これまで使っていたSIMは主回線として、データ通信だけ副回線に設定すればOKだ。モバイルデータ通信の切り替えを許可するかどうかは、使う場所によって頻繁に主回線に切り替わってしまうようならオフにしておくといいだろう。
通常、IIJmioのようなMVNOの格安SIMでは、さらに構成プロファイルのインストールが必要となるが、IIJmioのeSIMをiPhoneで使う場合は自動設定されるので、eSIMの読み込みが終わればすぐに通信できるようになる。
ざっと流れを書いてみたが、実際には手順が結構多い。設定方法は変更される場合もある。また、同じ操作をPixelシリーズなどAndroid機でする場合には設定方法が異なるため、いずれにしても公式サポート情報をよく確認してほしい。
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