東京都 戦略政策情報推進本部 次世代通信推進課です。
戦略政策情報推進本部は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
前回はこちらをご紹介しました。
■総務省と東京都、5G施策で連携スタート
※過去の連載記事はこちら:東京都 戦略政策情報推進本部 ICT推進部 次世代通信推進課note連動企画
今回は、次世代通信推進課の隣のチームが進めている「官民連携データプラットフォームのポリシー案」の策定プロジェクトについてご紹介します。
令和2年12月22日に「官民連携データプラットフォームに係るポリシー素案に関する意見募集」、いわゆるパブリックコメント(以下「パブコメ」)が始まりました。パブコメに向けて、ポリシーデザインの背景とポイントを簡潔にまとめた記事をお届けしたいと思います。
1. 官民連携データプラットフォームとは?
東京都が進めている「スマート東京」の実現に向け、取り組んでいる3つの柱の1つ「街のDX」を実現するために、データの利活用を促す基盤(プラットフォーム)のことを指します。より詳しく知りたい方は、プラットフォームの構築・運営に向けた準備会のサイト(URL:https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/society5.0/dpf_junbikai.html)をご覧ください。
本プラットフォームによる具体的なケーススタディーとして先日「混雑情報の可視化」についてリリースしましたが、目下まさに大変な社会情勢に見舞われているからこそ、官民の力を結集させて乗り切っていく必要があると思います。
「施設系混雑ワーキンググループ」における協力事業者との混雑情報配信サービスの提供開始について(第1号事例)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001281.000052467.html
「データプラットフォーム」という言葉からは、一般に「データの囲い込み」のような印象が持たれる場合もありますが、官民連携データプラットフォームは、行政機関や参画企業などが有するデータの価値を再解釈して、新たな課題解決のための利活用や流通を促す調和型の枠組みとなります。
「データ利活用実証プロジェクト」について
https://note.com/smart_tokyo/n/n6792bdf42dd7
官民連携データプラットフォームの事業は、データを元に新しいサービスなどを生み出す「データ利用者」と、カメラやセンサーに限らず様々なデータを持つ「データ提供者」がいることで成立します。ただし、それぞれの都合のみに従って、データが自由に流通できるというわけではありません。
海外のスマートシティプロジェクトでは、どのようにデータを収集して、どのようなデータを保有し活用されるのか、ということについて懸念が多く示されたそうです(データが取得され、知らない間に利用されることについて、不安や拒否反応があることは理解できます) 。
そこで、データの収集や提供、利活用の基本的な考え方やビジネス上のルールなどを「ポリシー」として定めていくのが今回の活動となります。
2. ポリシーの策定に向けた活動
ポリシー策定に向けた活動における今年度のゴールは、安心を伴ってデータ提供・利活用の促進がされるための、下記の5つの条項案を「法令」・「契約」・「技術」などの観点から定めることです。
①プライバシーステートメント
取り扱うパーソナルデータの範囲や、パーソナルデータの利用目的等を規定
②規約
データ提供者、データ利用者とそれぞれに締結する規約事項
③データガバナンス
運営組織が適切にデータをマネジメントするための内部ルールと体制について明記
④コンプライアンス指針
運営組織が取り扱うデータ及び事業計画に即したコンプライアンス指針(法令遵守のみならず、社会から求められる倫理に沿った中立性・透明性の高い行動規範も含む)
⑤情報セキュリティポリシー
運営組織が取り扱う情報に関するセキュリティ関連の遵守すべき事項を規定
これらの条項案を、学識会・法曹界・関係団体の専門家の方々から意見をいただきながら作り上げていきます。ここまで2回の委員会を実施し、現在のパブコメの条項案に至りました。様々なご意見をいただいた中で、今回の条項案に色濃く反映されたと考えている意見を挙げてみます。
・データ提供者とデータ利用者の直接的な関係のみならず、間接的に関わる個人も考慮した全体を捉えて考える
・東京都が深く関わる、このデータの利活用を促進していくのだという大きな方針でされる場合には、この全体が公益的であり、少なくとも社会的に問題になるような利活用されない仕組みが必要である
・パーソナルデータと個人情報の違いは分かりづらく、どういった形でポリシーを都民の方の理解を得られるようにするのか工夫していく必要がある
官民連携データプラットフォームは、都内の企業の方々のデータ利活用の取り組みを支える事業モデルを想定していますが、こうした委員会の助言を踏まえ、データの発生源であり、それを使わせていただく個人(都民)の方々により配慮する表現を取り入れた「プライバシーステートメント」と「規約」を中心に、特徴的な素案になってきたのではないかと思います。
<プライバシーステートメントの対象範囲>
3. パブコメについて
冒頭でも記載した通り、現在「官民連携データプラットフォームに係るポリシー素案」に対して意見(https://www.senryaku.metro.tokyo.lg.jp/society5.0/dpf_policy/publiccomment.html)募集を行っています(現在応募は終了) 。
「官民連携データプラットフォーム ポリシー条項(素案)」に対するご意見募集について【募集は終了しました】
募集ページでは、情報銀行との違いや、事業の概要などを図解しながら整理していますので、一度ご覧いただけると嬉しいです。官と民のそれぞれが交流するデータ駆動型の取り組みを目指すためには、ひとつひとつの声に寄り添って対応していくことが重要だと思います。条項の素案をダウンロードしてお読みいただき、気になる点がありましたら、以下の記入例を参考に、指定の提出方法にてご意見をお寄せください。
<対象とするポリシー条項の素案名>
(2)官民連携データプラットフォーム 規約(案)
<該当箇所>
第○章 第△条 □ページ<ご意見内容>
◯◯◯については、・・・と考える。<理由>
~~~という理由によるため。短いコメントでも構いませんので、より良いものにするために、幅広いご意見をお待ちしています。
(応募は終了しております)
◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo