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JALグループとNTTコミュニケーションズが事例を披露

脱RPAを目指すBlue Prism デジタルワーカーでDXは進むのか?

2021年03月11日 17時30分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2021年3月11日、エンタープライズ向けRPA製品を展開するBlue Prism(ブループリズム)は戦略説明会を開催。日本法人のビジネス成長をアピールするとともに、「脱RPA」を標榜したインテリジェントオートメーションの概念とメリットを説明した。また、後半ではJALグループとNTTコミュニケーションズが登壇し、Blue Prismの事例やサービス展開について語った。

Blue Prism社長 長谷太志氏

DXにおいては自動化プラットフォームが必要

 イギリスに本社をかまえるBlue Prismは、運用管理や高い保守性を売りにするサーバー型のRPA製品を展開する。「RPA(Robot Process Automation)」という用語を生み出した企業として知られているが、現在は「脱RPA」を打ち出しており、AIによって自律的に稼働するデジタルワーカーを中心とした「インテリジェントオートメーション」を提唱している。

 冒頭、登壇したBlue Prism社長の長谷太志氏は日本法人の業績を披露した。売上高が前年度比67%増、顧客数も前年度比で60%増となり、Blue Prism全体でNo.1の成長率を達成したという。日本市場で成長している理由としては、やはりデジタル化とクラウド化が追い風で、コロナ禍における日本企業のDX加速が挙げられる。Blue Prismの契約更新率も98%に及び、他社製品からの乗り換えも昨年は4割に達しているという。

日本市場で成長するBlue Prism

 また、昨年はデジタルワーカーのクラウドサービスである「Blue Prism Cloud」を開始し、パートナー協業も加速した。現在のリセラーは19社を数えパートナー経由での売り上げも50%を超える。長谷氏は、「日本のSIerは、DXにおいては自動化のプラットフォームが必要だと考え、Blue Prismに共感した上で、お客さまにデリバリしてくれている」と語る。

 さらに運用管理性、保守性、TCO低減なども評価されており、同社の調査では利用年数ごとにNPS(Net Promoter Score)が増えるという傾向も見られるとのこと。カスタマーサクセスの支援によって導入が成功し、活用が深化すると、ユーザーによるインフルエンスが加速するというサイクルがすでに確立されているという。

従来のRPAはデスクトップ作業を代行する「便利ツール」?

 次に本年度の戦略が披露された。Blue Prismは「あらゆる組織にデジタルワーカーを」というビジョンを掲げており、ユーザーのビジネス変革を実現すべく、デジタルワーカーによって人材とシステムの課題解決を目指している。ここで言う課題とは、日本では生産労働人口の大幅な減少や、DXの欠如により多額の経済成長が発生する「2025年の崖」などだ。そして、今回のコロナ禍においては、ニューノーマルに対応したデジタルワーカーが人、システムに続く第3の労働力として認知されるようになったと長谷氏は分析する。

 しかし、従来のRPAは業務改善のためにデスクトップの作業を代行する「便利ツール」にとどまっており、効率化の先のグロースサイクルに進めないという課題がある。そのため、企業が現場の業務改善にとどまらず、全社的なDXに進むためにはBlue Prismのように管理や運用面の優れた統合型RPA、そしてAIが組み込まれたインテリジェントオートメーションが必要になるという。

DXの需要に応える統合型RPAとインテリジェントオートメーション

 その点、Blue PrismではさまざまなクラウドサービスやAIテクノロジーと連携できるほか、オブジェクト指向のアーキテクチャによって高い生産性と保守性を実現する。これにより、ガバナンスを担保しながら、継続的なイノベーションを回すことが可能になる。また、開発ライセンスを無償提供することで、デジタルワーカーの全社展開を容易にするというメリットもある。

 こうしたデジタルワーカーの利活用を促進すべく、日本市場ではカスタマーサクセスチームを増員し、全顧客向けにサービスを提供。顧客の要望に応じて有償サービスメニューも用意するほか、ユーザーコミュニティも構成していく予定だ。また、好調な金融や製造部門、公共部門での営業体制を強化するとともに、パートナーエコシステムも強化し、他社のツールからの移行施策も進めていくという。

JALグループとNTT ComのBlue Prism活用とは?

 発表会の後半では日本航空 IT企画本部 IT推進企画部 一般管理グループグループ長の高橋 優子氏がBlue Prismの導入事例を披露した。

 JALグループでは2017年からトライアルとしてRPAの導入を開始しており、2018年にはエンタープライズアーキテクチャとしてRPA導入を本格化している。「信頼性が高く、持続的に利用するRPAの開発・運用体制」を構築するため、全グループ・組織が共通概念の元で開発運用を行なうため、Blue Prismが選定されたという。現在では社内のさまざまな部門でデジタルワーカーが利用されており、予備搭載する年湯量の分析や販売レポートの作成、各国でのコロナウイルス対応の案内作成などの業務が自動化されている。

JALグループのRPA導入

 評価としては、まずエンタープライズアーキテクチャとして導入されているため、開発・運用の標準化が実現したことが大きく、全部門を対象としたことで、類似業務への転用や開発のオブジェクトを再利用ができたという開発の効率性も挙げられた。また、IT部門がCoEとなり、組織横断型で開発・運用を行なったことで、安定的な運用や関連システムに与えるリスクの管理や回避が可能になったという。

 今後はユーザーの要望に迅速・柔軟に対応する運用体制の強化やガバナンスを担保した上で社員が独自で開発できる体制の構築、さらにAIとの連携による活用フィールドの拡大などを進めていくという。

 また、Blue Prism Cloudのファーストユーザーでもあり、パートナーとしてデジタルワーカーのサービスを展開するNTTコミュニケーションズは、取締役 プラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部長 佐々倉 秀一氏が登壇。ユーザーのデータ利活用を促進する「Smart Data Platform」において、Blue Prismをベースにデジタルワーカーの管理や実行・管理までを行なう「デジタルワーカープラットフォーム」について説明した。今後はAIやコミュニケーションなど、NTTコミュニケーションズやNTTグループの技術を取り込んだ独自のデジタルワーカーを開発・提供する将来像を描く。

NTTコミュニケーションズでのデジタルワーカーの活用

 金融会社向けのデスクトップ型RPAからスタートし、安定度や運用管理、セキュリティのニーズを満たすためにサーバー型RPAにシフトしたBlue Prismだが、技術革新の著しいAIを取り込むことで、DXを支えるデジタルワーカーの開発・運用のプラットフォームを目指す。「人材派遣のデジタル版が数年後には世の中に出てくる。しかも作る時代からオンデマンドで使う時代になる」と長谷氏は語る。

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