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四本淑三の「ガレージ・ギークス!」 第1回

マキタvs.ハイコーキ バッテリーで選ぶならどっちだ ハイコーキ編

2021年03月13日 12時00分更新

文● 四本淑三 編集● ASCII

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■36Vを普及させる難しさ

 マキタとそんな風に差がついたのは、まだ工作機械やAC電源の工具が主流だった時代に、充電式工具の将来性を見誤ったことだと言われている。文字通りバッテリーシステムの「マウント」を取られてしまったのだ。

 そして現在主流のバッテリーは両社ともリチウムイオンの18V。それを36Vに引き上げようというのがここ数年の業界トレンドだったが、代替は進んでいない。なぜなら大抵のものは18Vで足りてしまうから。36Vを必要としているのは高負荷作業に耐えるプロ用に限られ、そのメリットは一般には分かりにくい。

 しかし海外に大きな市場を持つメーカーとしては、脱炭素化の流れからエンジン工具の電動化も課題。プロ向けにはもっとパワーも必要だ。でも唐突にやっても成功はしない。実際、旧・日立工機時代に現在とは違う仕様の36Vバッテリーを発売したが、現在は廃盤だ。

■「マルチボルト」のメリット

 それを踏まえて登場したのが2017年、日立工機最後の年に登場した現在のマルチボルトバッテリー。18V、36V、どちらの工具にも使える互換仕様で、充電器も18V用が使える。バッテリーのサイズも18Vとほとんど変わらない。

 その仕組みは意外と単純だ。バッテリーパックに18Vのセルブロックを2組入れ、接続する相手によって18Vなら並列、36Vなら直列に接続するだけ。これを思いついた人は偉い。

 ハイコーキユーザーがバッテリーを買い足すならマルチボルトにすればいい。一部対応しない工具もあるので要確認だが、18Vの工具や充電器もムダにならないし、使いたい36Vの工具が出たらそのまま工具箱に追加できる。

 これからハイコーキを買おうというフレッシュな人には、幅広い選択肢がメリットになる。手軽に使える安価な18Vモデルからプロ仕様の36Vモデルまで、選べるアイテムは2020年10月時点で119モデル。数ではマキタに及ばないが、インパクトドライバーや丸ノコなど、実用工具のバリエーションに不足はない。

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