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うるさい、漏れる、響いちゃうなど音の問題を一挙に解決

テレワークで注目の防音室 ヤマハの「セフィーネNS」を体験してきた

2021年02月01日 10時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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 先の見えない新型コロナウイルスの最中、長引くテレワークを快適にする防音室が注目を集めている。今回、ショールームで体験させてもらったのは泉岳寺にあるヤマハの防音室。ヤマハの中津俊将氏にはテレワークでの防音室の選び方について聞いた。

ショールームで防音室を体験!

テレワークの音の課題を解決する「防音室」という選択肢

 テレワークで音に関する悩む人は多いだろう。Web会議の際、家族の会話や近所の騒音が相手に伝わってしまったり、逆に自分の声が家族や近所に聞こえてしまったり。こうした音の問題を解決する施策として注目を集めているのが防音室だ。

 かれこれ1年近くテレワークを続けている私も、最初にヤマハから防音室の話を聞いたときに、その可能性の拡がりにワクワクしてしまった。遮音性の高い防音室があれば、Web会議や動画配信の収録も気兼ねなく行なえるだろうし、仕事以外でも映画や音楽を大音量で楽しんだり、カラオケを練習したりも可能なはずだ。果たして防音室の実力や使い勝手はどんなものなのか? 気になったので、さっそく泉岳寺にあるヤマハのショールームにお邪魔した。

 ヤマハの防音室は定型タイプの「セフィーネNS」と自由設計タイプの「アビテックスフリー」の大きく2つに分けられる。主力製品であるセフィーネNSは、楽器演奏を前提に9つのサイズが用意。声楽や管楽器の練習を前提とした0.8/1.2/1.5/2.0畳、アップライトピアノ練習用の2.5畳、グランドピアノやアンサンブル向けの3.0/3.5/3.7/4.3畳で、幅広い楽器の演奏に対応する。テレワーク前提で入ってみると、こんな感じだ。

0.8畳。テレワーク用の小机はOKだが、ちょっと狭いかも

1.2畳。かなり余裕がある。一人向けのデスク+イスでしょうか

1.5畳あれば、大きめのモニターも机も余裕で置けそう

ドアを閉めてしまえば、そこは静寂な自分だけのスペース!

3.0畳だとグランドピアノも設置できる ※オオタニはピアノ弾けません

 セフィーネNSは組み立て式で、スピーディに設置できるのが大きな特徴。ヤマハで防音室のマーケティングを担当する中津俊将氏によると、「組み立てはヤマハが許可した業者さんがやるのですが、定型タイプであれば3時間くらいで完成します。お客さまは消火設備の工事許可、あとは電源とスペースだけ用意していただければOKです」とのこと。着いたその日に使えるというのがセフィーネNSの大きな売りだ。

ヤマハ 音響事業本部 コミュニケーション事業部 マーケティング&セールス部 マーケティンググループ 主任 中津俊将氏

 セフィーネNSは遮音性能を測る基準のDr、35と40を満たしており、家の壁・窓・ドアと組み合わせた防音環境を構築する。これにより、外からの雑音も遮断できるし、楽器や自らの声も外に漏れにくくなる。「とはいえ、100%防音することは難しい」とは中津氏の弁。そのため、ショールームで防音環境を体験して、導入するのがオススメだという。

B2Bの需要に応えてきたヤマハの防音室 テレワークで一気に需要増

 「アビテックス」ブランドで展開されているヤマハの防音室は、すでに30年の歴史を持っている。楽器メーカーであるヤマハの防音室なので、もともとはピアノを快適に演奏してもらうための防音室からスタート。その後、音楽製作用の録音スタジオや精密機器の音響解析、補聴器の聴力測定など幅広い防音用途に応えてきた。

 近年、高まっているのはオフィスでの防音室のニーズだ。「オフィスもオープン化がトレンドになってきたので、半個室やオープンスペースなどが増えました。でも、これだとオフィスのガヤガヤ音が電話やWeb会議に載ってきてしまう。そこで、電話やWeb会議に専念できるスペースとして、オフィスに防音室を設置しようという流れが来ていたんです」と中津氏は語る。もともと音量の大きい楽器や声楽を前提とした防音室なので、遮音性能面では十分すぎるスペックと言える。

 そして、新型コロナウイルスで増えているのが、自宅でのテレワーク利用だ。テレワーク用途でオススメなのは、机とイスを入れても余裕のある1.2畳か、1.5畳のモデル。「巣ごもり需要で問い合わせは大幅に増えました。もともと楽器演奏でセフィーネNSを使っているお客さまが、テレワークでも便利にしているという例もあるようです」(中津氏)とのことだ。

 テレワーク用途での防音室選びで重要なのは、室内での話しやすさ。その点、音を閉じ込めるだけの通常の防音室は、お風呂場のように音が反響してしまうので、むしろオンラインコミュニケーションには向いていない。一方、ヤマハで防音室で採用されている『調音パネル』は、音が響きすぎたり、低音が大きすぎたりといった、いわゆる音響障害を抑える技術が詰め込まれており、最適な音の響きを実現する。実際にショールームで体験したが、音響障害のある状態と調音パネルで音響障害を除去した環境では、快適さがまったく違うのに驚いた。

調音パネルの有無を試すことができる。調音パネルがないと音が反響し、吸音力の高いグラスウールだと圧迫感がある。調音パネルのすごさを体験できる

秘密は調音パネルにあり!中の吸音材は抜くこともできるが基本はそのまま使うのがベストとのこと

 課題はお値段。エントリモデルでも68万円なので、個人ではなかなか手が届かない。しかし、レンタルであれば月1万円からスタートできるという。「新型コロナウイルスがいつ終息を迎えるのかわかりませんが、とりあえずレンタルであれば気軽に導入できます。価格的にもぐっとハードルが落ちます」(中津氏)とのことで、いまはほとんど在庫がない状態だ。

 ショールームで体験して、ますます防音室がほしくなってしまった。長らく在宅勤務で、恒久的なテレワーク環境の整備を検討している人にとっては、一つの選択肢になりそう。特に楽器をやっている人は、仕事でも、趣味でも、利用できるので「あれ、以外ともととれちゃうかも」と思うのでは? 夢は広がる一方なので、一人一部屋なんとかなりませんかね、社長!

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