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ston発売1周年記念企画インタビュー

「職場のサウナになって欲しい」ブリーザー菅沼CEOがstonを作ったわけ

文●村野晃一/編集 ASCII

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 今までになかった休憩体験が得られることで話題のブリージングデバイス「ston(ストン)」は、昨年12月に発売から1周年を迎えた。1周年を記念し、stonを販売するBREATHER(ブリーザー)社CEOの菅沼辰矢氏に、この1年を振り返り、お話をうかがった。

BREATHER CEO
菅沼辰矢

1991年生まれ。長野県出身。東京大学卒業。大手消費財メーカーにて子会社生産管理、ベンチャー企業への出向等を担当した後、BREATHER株式会社を設立。現在に至る。

stonには職場のサウナになって欲しいと思います

ブリーザー社CEO菅沼辰矢氏。※オンラインインタビューのため、一部画像が粗い箇所があります。

──stonの発売開始から1年経ちましたが、菅沼さんにとって、どんな1年でしたか?

菅沼:2020年を語る上で、やはりコロナの影響に触れないわけにはいかないと思いますが、stonにとっても、大きな影響がありました。

 まず悪い面として、最も影響があったのは、思ったようなプロモーション活動ができなかった点です。2019年の12月に発売開始して、スタート時点で予想外に多くの反響をいただいて、出荷が追い付かないほどだったのですけど、ようやく供給が追いついてきて、ここからさらに認知を広げていこうと思ったころに、コロナ禍になって、当初考えていた訴求・宣伝プランがほぼすべてできなくなりました。世の中的にも、それどころじゃないという雰囲気がありましたし。

 そんな中で、唯一良かったと思えたことが、テレワークのお役に立てたことですね。外出自粛でテレワーク化が一気に進んで、自宅などでお仕事をされる方が増えました。そのうち、在宅勤務だと仕事とプライベートな時間の区切りが付けづらいという声が出るようになり、stonを利用して仕事のオンとオフを切り替えているといった声をいただけて、そうしたお役にも立てるんだと気づけたのは良かったですね。

──そもそもの話になりますが、菅沼さんの口からstonの開発経緯について詳しくお伺いしたことってなかったと思うのですが、なぜstonのようなデバイスをつくろう、世に出そうと考えられたんですか?

菅沼:僕は、趣味と呼べるものがあまりない人間で、強いて挙げるとするなら、サウナとゲームとロードバイクくらいなんです。

 このうち、ゲームとロードバイクは無くなっても別に困らないけど、サウナは無くなったらやっていけないな、ってくらいハマっていまして、“働く人のための、職場のサウナをつくりたい”というのがコンセプトの一つとしてありました。

──えーっと……ちょっとよく分からないんですが?

菅沼:あの熱い密室はサウナ室でありサウナではありません。サウナ室で10分耐える、そのあと水風呂に1分入る、整え椅子と言うんですが、椅子に座って5分休憩してカラダを整えるという、一連の所作をまとめて“サウナ”と言うんですね。サウナ室や水風呂を単体で使うのではなく、つなげて使うことで効果を発揮するコンボ技みたいなものです。僕にとってサウナは、究極の気分転換なんです。でも、仕事中にサウナに行くわけにはいかないので、“職場のサウナ”をつくれたら……というのがスタート地点の一つだったんですね。

──ふむふむ。でも、まだサウナ=stonというふうには結びつきませんが……。

菅沼:いい仕事をするためには、次の仕事に向けての切り替えって大事だと思うんですけど、やるぞ! がんばるぞ! っていう気持ちだけでは変われないんですよ。同じように、モノだけでも変われない。stonだけでどうにかできるようなものじゃないんです。エナジードリンクなんかにしても、ダラダラしているだけの、何もしていないときに飲んでも別に気分が変わったりしないじゃないですか。集中して仕事をして疲れている、一息つきたいときとか、これから頑張るってときに飲むからいいわけで、それ単体では機能しないんですよね。つまり、サウナのように、プロダクトと行動をセットにして整うものなんです。

 職場ってすごく制限された環境じゃないですか。ちょっと気分転換して次の仕事に臨みたいと思っても、オフィスでゲームするわけにもいかないですし、ジムトレーニングのように汗を流すというわけにもいかない。こうした環境での業務がサウナ室だとすると、stonはその水風呂的な存在になれたらなと思うんです。仕事で熱くなって、stonで冷まして、休憩して整えて気分転換する、という流れの中にあってほしいんです。

 気分転換はし過ぎてもダメなので、たとえば、休憩しようと思ってYouTubeを見始めて、気が付いたら1時間経ってましたというのでは本末転倒です。きちんと5分、10分で切り替えできるものが欲しくてつくったのがstonなんです。

 実はstonのプロモーションの一環で、市中の体験会みたいなことをして認知を広げてはどうかという話が何度も出るんですが、僕はあんまり乗り気じゃないんですよね。サウナも、熱いのに耐えたあとに水風呂に浸かるから解放感を得られるわけで、stonも、何でもないときに吸ってもあまり意味はないんです。体験会で、道行く人に体験してもらうのは簡単ですけど、そこで吸っていただいたものは、本当の意味でstonを体験してもらったことにならないと思うんですよ。stonは、その前後の行動を助けるためのプロダクトなので。

 サウナは僕にとっての、“究極の気分転換”なんです。ひと仕事終えて、次の仕事に取り掛かるまでに、すごく時間があればサウナに入って気分転換したい。でも、実際に仕事をしているとそうはいかないじゃないですか。5分や10分の休憩でサウナに入ろう、とはならないですよね。そこでstonを利用してほしいなと考えたわけです。

──なるほど! なんだかすごく腑に落ちました。

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