銀行の姿が変わろうとしている。
2020年12月2日付の時事通信の報道によれば、顧客データを活用した広告ビジネスの解禁など銀行の業務に関する規制が緩和されるという。
実際、広告業の解禁は以前から議論されており、7月に公表された政府の「成長戦略フォローアップ」には規制の見直しが明記されていた。
銀行の業務をめぐる規制緩和が進む背景にはFinTechの進展がある。スマートフォンを使った支払いや個人間送金など、これまで銀行が担ってきた業務に他業種からの参入が進んでいる一方で、銀行側に対する縛りはきつかった。
ちらほら見かける合言葉は、銀行による「脱銀行」のようだ。
●2020年度中の見直しは既定路線
銀行による脱銀行を理解するうえで、まずは成長戦略フォローアップの記述を確認しておきたい。
「銀行グループが保有する人材、データ、システムといったリソースを最大限に活用するため、広告ビジネスやITシステムの提供等が可能となるよう、付随業務・従属業務に係る規制について2020年度中に関連規制を見直す」
このように、2020年度中に関連する規制を見直すと、はっきり書いてある。
この大方針を基に、金融庁が所管する金融審議会で、具体的な規制の見直しについて議論を重ねてきたのが、これまでの流れだ。
金融審議会には複数の作業部会があるが、その一つが「銀行制度等ワーキング・グループ」(WG)だ。
このWGで重ねられてきた議論が興味深い。「脱銀行」を目指してもがく金融機関の姿が浮かぶ。
●合理化で空いたスペースにスペインバル
山口銀行は、油谷支店(山口県長門市)をリニューアルする際に、支店内にスペインバルを併設した。
長門市のウェブサイトに、開業時のレポートが掲載されている。異色のコラボの背景には、業務の合理化があるようだ。
デジタル化が進み、銀行の業務が効率化されると、支店に必要な人員が減る、すると、支店に空きスペースが生じる。空いたスペースに地元企業がバルを出店したという流れだ。
空きスペースに保育園が入居する山口銀行の支店もある。
全国信用金庫協会が10月にWGに提出した資料がさらに興味深い。金融機関の本業に付随する業務として、こんな仕事をしたいという要望が掲載されている。
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