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日本の組織のアジリティーとアジャイルの成熟度は世界より後れをとっていることも判明

日本のIT業界における開発者の採用は世界と比べても困難な状況か OutSystemsの年次調査レポート

2020年11月19日 19時30分更新

文● ASCII

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 OutSystemsジャパンは11月18日、アプリケーション開発環境の現状や課題、および変化への対応力について調査した年次調査レポート2020年版「The Speed of Change:今求められるスピード」を発表した。

 本レポートは、世界中のさまざまな業界・組織に所属する2200名のITプロフェッショナルとシニアITリーダーを対象に、新型コロナウイルス感染症の流行の初期段階である2月初旬~3月下旬に、6大陸の各国で実施したもの。

 組織のアジリティー属性について、変化への適応力や柔軟性、他社との優位性に関する自社の評価を尋ねたところ、自信を持っている回答者は2~3割とごく一部であることが判明した。

 アプリケーションの迅速かつ柔軟なデリバリーを実現する方法のひとつであるアジャイル開発手法について、組織の導入レベルを5段階の成熟度に分けて尋ねたところ、「レベル4:定量的に管理された段階」、または「レベル5:最適化された段階」に達している企業は25%未満であり、過半数は「レベル1:初期段階」または「レベル2:開始間もない段階」にあることが明らかになった。

 アプリケーション開発のスピードを改善するために、最近投資したアプローチについての質問では、優れたアジリティーを実現しているリーダー組織(組織のアジリティーで上位25%に入り、アジャイルおよびDXの成熟度が平均以上)は、顧客中心かつエクスペリエンスを重視したアプローチに重点的に投資していることが判明。一方、ラガード組織では開発のアウトソーシングという実務の分散に取り組んだことが明らかになった。

 アプリケーションの新規開発における課題について、UX/UIデザインと回答したリーダー組織の割合(35%)は、ラガード組織(18%)のおよそ2倍にあたる。一方、開発者のスキル不足を主要課題のひとつに挙げるラガード組織の割合(49%)は、リーダー組織(13%)の4倍近くという結果だった。この回答傾向から、ラガード組織が人材の新規採用や、新しい言語やフレームワークに関連するトレーニングなど内部的な業務に時間を奪われている一方、リーダー組織はより顧客とユーザーエクスペリエンスに意識を向けていることが判明した。

日本の組織のアジリティーとアジャイルの成熟度は世界より後れをとっている

 本レポートの全回答者2200名のうち、約10%は日本の組織からの回答だった。OutSystemsでは追加の分析を実施し、日本版のレポートで日本と世界の組織の現状を比較した。

 その結果、組織のアジリティーとアジャイルの成熟度において、日本の組織は他国より後れをとっている事実が明らかになった。

 回答結果を業種別に分析すると、日本の主要産業は自動車・電子機器製造業/鉄鋼業/非鉄金属製造業/化学工業/繊維工業/食品加工業だが、アジリティーの側面で優れているのは、テクノロジー/コンピューター/通信/インターネット業界であり、次いでソフトウェア/銀行・金融サービス/コンサルティングとなっている。OutSystemsは、日本組織の後れには業界構造に要因があるとしている。

 なお、グローバル版では、開発者の採用が簡単あるいは非常に簡単と回答したのは全回答者のうち15%だったが、日本ではさらに低い8%という結果だった。また、1年前と比べてアプリ開発チームの規模が大きくなった組織は全回答者のうち45%であるなか、日本では24%で、世界の組織と比べて開発者の採用がさらに困難な状況にあることもわかった。

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