ファストドクター・NTTドコモビジネスが描く社会課題解決の設計図
国内トップSIerの“9割”が選ぶAIキャンバス イノベーションの基盤へと進化を続けるMiro
2026年07月13日 12時30分更新
「AIで個人のアウトプットは10倍になった。しかし、組織の成果は変わっていない」と語るのはMiroの日本法人代表の向山泰貴氏だ。
15年前にオンラインホワイトボードとして誕生したMiroは、AI活用を個人の効率化から組織の成果に変える「AIワークスペース」へと進化を遂げた。日本でも、イノベーションを支える“業務基盤”として、トップSIerの9割が導入するなど存在感を高めている。
同社の基幹イベント「Canvas 26 Tokyo」の前日に開催された説明会では、国内施策やAI機能のアップデートが紹介されると共に、Miroでイノベーションを推進するファストドクターとNTTドコモビジネスが登壇している。
業務基盤としての導入を加速させる“データレジデンシー”と“伴走パートナー”
Miroは創業15周年、日本上陸から5周年を迎え、その成長と共にサービスの位置付けも大きく変化した。「以前はオンラインホワイトボードやアイデア出しのツールとして認識されていたが、今では事業を前に進めるための業務基盤として活用され始めている」と向山氏。
サービス自体も単なる業務効率化にとどまらず、イノベーションを推進するための共同スペースとして強化を続けてきた。その結果、社会課題に取り組む日本のトップSIerの90%以上がMiroを活用。その波は、製造業や小売、金融といった幅広い業種にも広がっているという。説明会では、この流れを加速するための2つの施策が紹介された。
1つ目は、国内向けの「データレジデンシー」への対応だ。Miroの本番データ・バックアップ・メタデータを国内データセンター(メイン:東京/復旧拠点:大阪)で保存・管理するプログラムであり、金融機関や行政、大企業が、安心してMiroを活用できる環境を提供する。
2つ目は、「ソリューションパートナー」の立ち上げだ。これは、FDE(Forward Deployed Engineer)としての役割を果たすパートナーであり、顧客に深く入り込み、Miroを活用したイノベーションを伴走支援する。
エージェントの登場による“分断”と“構造的逆転”を共通のキャンバスで解消
業務基盤としての活用を後押しするもうひとつの要素が、MiroのAIワークスペースとしての進化だ。チームのコラボレーションの場であるキャンバスを“コンテキスト化”して、チームとAIが協働するための機能を拡充してきた。
向山氏は、AIは個人のアウトプットを10倍以上に高めているが、組織としての成果はこれに追いついていないと語る。MiroのAIワークスペースは、こうした個人と組織の成果のずれを、2つの面で解消するという。
ひとつは「コラボレーションの分断」の解決だ。現在、「人と人」に加えて、「人とエージェント」「エージェント同士」という新しい協働が生まれている。しかし、これらの協働が合流する場がないため、組織としての思考が分断されているのが現状だ。加えて、それぞれの協働で違う方向性の成果が生まれ、組織のずれを増幅させる可能性もある。
もうひとつは「構造的な逆転」が生む課題の解決だ。エージェントが実行までを担うようになり、人の知的労働が「実行80%・思考20%」から「実行20%・思考80%」に逆転しつつある。しかし、エージェントが大量の成果を生むため、判断や合意形成が追いつかない事態に陥る。さらに、その判断や合意形成の過程が個々の協働の場所に埋もれ、ブラックボックス化していることも問題だ。
これらの課題に対してMiroは、人とコンテキスト、エージェントが単一のキャンバスで集まるスペースを提供する。人と人が議論して、人とエージェントがアイデアを広げ、エージェント同士が作業を進める。そして、その場でチームとしての合意形成までを完結させ、その過程も可視化できる。
向山氏は、「AI活用で10倍に跳ね上がった個人のアウトプットを組織全体の成果に昇華させる。これこそがMiroが目指すAI時代の業務基盤」だと強調した。
キャンバスをコンテキストに働く“サイドキック”エージェント
説明会では、間もなく展開されるAI機能についても紹介された。
1つ目は、「エージェント型サイドキック」だ。Miroのキャンバスをコンテキストとして理解する対話型アシスタント「サイドキック」が、複雑なタスクを自律的に実行するエージェントへと進化する。
例えば、「Slackのスレッドから○○の提案のための共同ワークスペース環境を構築して」と頼めば、不足した情報についてユーザーに質問を重ねた上で、タスクを計画・実行。チームでの合意形成に必要な情報が視覚的に集約されたキャンバスを、数分で生成してくれる。
このキャンバスで議論した結論をサイドキックが要約し、コネクタ経由でSlackに投稿することで、元のコミュニケーションにスムーズに戻ることも可能だ。
サイドキックのエージェントが人の音声を認識するVOICE(音声)機能も加わる。複雑なプロンプトを必要とせずに、自然な会話を通じたエージェントとの協働を実現する。
プロダクト開発における合意形成を支援する「Miro Prototypes」では、HTMLファイルをキャンバスに取り込むだけで、インタラクティブなプロトタイプを作成できる機能がベータ版として提供されている。キャンバス上で議論しながら直接コードを編集でき、サイドキックに異なる方向性のプロトタイプを生成してもらうことも可能だ。
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