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「充血に効く目薬」は危険?意外と知らない目薬の正しい選び方

2020年11月14日 06時00分更新

文● ますだポム子(ダイヤモンド・オンライン

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パソコンやスマートフォンの見すぎによる眼精疲労、コンタクトや暖房による乾燥で起こるドライアイ、春以外もなかなか侮れない花粉症など、秋~冬にかけての目のトラブルは意外と多い。目に関する悩みを解決するには“目薬”の出番だが、市販の目薬はやたらに種類が多く、どれが良いのか悩んでしまう。二本松眼科病院の眼科医・平松類氏に、正しい目薬の選び方、差し方を聞いた。(清談社 ますだポム子)

パッケージで選ぶ際の
2つのポイント

写真はイメージです Photo:PIXTA

 眼科医の平松類氏いわく、パッケージのうたい文句で目薬を選ぶ場合、注意してほしいポイントが2点あるという。

「1つ目は、防腐剤を使用していないことです。長期間使い続けると防腐剤が目を傷付ける恐れがあります。そのため、防腐剤フリーの目薬のほうが安心し使用できるでしょう。パッケージに『コンタクトの上から使える』と書いてあれば、防腐剤は入っていないはずです」(平松氏、以下同)

 コンタクトを着用していても使えるような目薬は「人工涙液」といい、乾き目に最適だ。さらに、コンタクトレンズ装着時の不快感なども和らげる効果がある。

「2つ目は、1つの症状のみに特化した目薬であることです。『疲れ目&乾き目』など、相互関係がある症状の場合はまだよいですが、もっとも危険なのが『充血』にも効果があると書いてある目薬。とくにアレルギーの薬は『目のかゆみ&充血』とうたうものが多いですが、かゆみにはかゆみのみ、充血には充血のみに対応した目薬を使うほうがいいでしょう」

 というのも、充血を止める目薬に入っている「血管収縮薬」という成分が、目以外に作用してしまうことが危険なのだそうだ。

「血管収縮薬が充血している眼球だけに効けばよいのですが、目と鼻と口はつながっているので、鼻や口に流れてしまうと危険です。とくに長期に使った場合、鼻や口を介して全身にも作用し、血圧を上げたりすることがあります」

 また、充血をとる目薬は、使用する期間にも注意が必要だ。

「コンタクトの不調やゴミが入ったことが原因の充血なら良いのですが、万が一感染症などの症状として目が赤くなっている場合は、目薬を使うことでかえって病気を悪化させかねません。感染症の場合に血管収縮薬が入った目薬を使うと、病気を治そうとする血流も止めてしまうことになるからです。『充血をとる』という効能が書いてある目薬はできる限り使用頻度を減らしましょう。もし使用する場合はごく短期の使用にとどめ、充血が引かなければ、必ず眼科を受診してください」

他の症状にも使える
疲れ目・乾き目の目薬

 充血をとる目薬のほか、アレルギー用の目薬、抗菌剤入りの目薬は、症状に対する効力も強い代わりに、副作用のリスクも高いという。そのため、他の症状が出ているときに使用することは危険だ。

「一方、ドライアイや眼精疲労用の目薬は、コンバートして使っても副作用の心配は少ないと思います。たとえば、急に目のかゆみを感じたけどアレルギー用の目薬を持っていないときや、どうにも眠くて眠気覚ましに目薬を差したいときなど、一時的であれば使っても構いません。ちなみに、眠いときに目薬を差すことは、水分を与えて目を開きやすくする効果が期待できます」

 万が一に備えて、防腐剤不使用の、眼精疲労や目の乾きを潤すだけの目薬をバッグに入れておけば、どんな症状のときでも一時的にはケアができる。もちろん、症状が長引くようであれば、眼科で診てもらうことがベストだ。

「選び方と同じくらい大切なのが、目薬の差し方です。正しい差し方をすれば効き目は高まり、副作用のリスクは減ります」

症状改善のための
正しい差し方とは

 目薬の差し方については、さまざまな情報が流布しているが、果たして何が正しいのか。

「まず差したあとですが、目を閉じ、目頭を押さえて、じっと待ちます。目頭を押さえることで液が鼻や口に流れてしまうことを防げるのです。眼球を動かしたり、まばたきをしたりするのはNG。液体はじんわり染みていくので、動かしても浸透は早くなりません。可能であれば1分間はそのままでいると、効果が上がります」

 また、1度に差す目薬の量については、症状がひどいときは多めに差したほうが効果的な気もするが、平松氏は「多めに差しても意味はありません」という。

「目薬は1滴で十分、それ以上は目からあふれて流れていくだけです。それだけならまだしも、成分が強い目薬は肌に触れることで肌荒れや赤み、まぶたのブツブツなどを引き起こします。多めに差すことは、副作用のリスクを高めるのです」

 さらに、差すタイミングも重要だ。多くの人は症状が出ているときだけ点眼するだろうが、“薬”なので定期的に差さなければ改善されない。その場しのぎで終わらないために、頻繁に差すべきなのだ。

「しかし、『夕食後』『毎食前』とタイミングが決められている内服薬と違い、目薬を差すタイミングは決められていません。そのため、差し忘れてしまうことが多い。そういう人は『毎食後必ず差す』など、自分の行動と結びつけて習慣化することで、続けやすくなります。1日に何度差すかは添付文書を確認し、規定の回数以上を差すことは避けてください」

見落としがちな
使用期限のリスク

 目薬の正しい選び方と差し方を知らない人は案外多いが、もう一つ、平松氏が心配に思っていることがある。それは目薬の使用期限だ。

「商品の箱には1年近い保存期間が印字されていますが、それはあくまで未開封の場合。開封したら、防腐剤が含まれているものでも、多くの点眼薬は1カ月が使用期限ですね」

 目薬は容器の構造上、液を出すときに、容器の中の圧が下がる。すると、圧が戻るときに外気を吸ってしまうのだ。この、外気中の細菌、また目の周りやまつ毛に付着している菌を容器の中に吸収していき、目薬はどんどん汚染されてしまうという。

「目薬も水なので、腐ります。目薬を差すときは目に直接つけない、目薬のフタを下向きにしてテーブルに置かないといった対策をどんなにしていても、1カ月もすれば水分は腐るのです。腐った目薬で症状を悪化させないためにも、開封して1カ月たったら、使い切っていなくても買い替えましょう」

 しかし、なかには高価な目薬を使っている人もいるだろう。そういう商品を、まだ使えるのに捨てるというのは、いささか抵抗があるが…。

「そういう抵抗感も分かります。それもあるので、目薬は安価なものでいいのです。安いほうが気兼ねせず買い替えられますからね。また、安い目薬は症状に対する主目的の成分しか入れていないため、シンプルで副作用の心配も少ない。高い目薬のほうが必ずしも効き目が良いというわけではないので、安価な目薬を1カ月ごとに買い替えるほうがよいです」

 また、定期的に買い替えるべきは目薬だけではない。目のケア用品にも大量の菌が潜んでいる恐れがあるという。

「コンタクトレンズのケースや、洗眼液のカップは、頻繁には取り替えませんよね。しかし、ここにこそ大量の菌が潜んでいるのです。コンタクト使用者で目のトラブルに悩んでいた患者さんのなかに、コンタクト自体に病原菌はいなくて、レンズケースのほうにびっしりいた、という人もいます。こうしたアイテムも、1~3カ月で新しいものにしましょう」

 いずれにせよ、使い方を間違えれば、目薬が持つ本来の効果を得られない。実際、緑内障の点眼薬に関する試験では、指導を受けて正しい目薬の差し方をした人と、自己流で差していた人とでは、効果に2倍近い差が出たという。

 きちんと目薬の効果を実感したければ、商品選び、差し方、使用期限の3つに注意することが大切だと言えるだろう。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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