クイックレジューム機能により
ゲームを続きからプレイすることが超快適に!
前述したように、Xbox Series XはGen 4のNVMe SSDを搭載し、「Velocity Architecture」という技術により、従来機よりもCPUの処理やストレージの転送を効率化し、結果高速化を実現する。
そのため、ゲーム機の起動速度や、ゲームの起動時間が気になるところ。本来、ゲームの起動時間というと、ゲームタイトルを選択して起動、メーカーロゴなどが表示され、スタート画面が立ち上がるまでの一連の時間を計測する。
Xbox OneやXbox Series Xは、電源モードのデフォルトが「クイック起動」モードになっている。そのため、デフォルト設定のままであれば、メニュー画面の「プロフィールとシステム」にある「電源」から「本体の電源オフ」にした場合、PS4のスタンバイのようなクイック起動状態になっている。家庭によっては、ゲーム機は使ったら電源ケーブルを抜き片付ける人もいるだろうが、電源ケーブルは挿しっぱなしでこのクイック起動のままで使用する人も多いだろう。前述したリモートプレイやゲームのインストール、本体の最速起動などは、このクイック起動であれば使える。
ちなみに、Xbox本体の電源ボタンを長押しした場合(短押ししたらクイック起動)は、完全なシャットダウンになるが、今回は電源ケーブルを抜き差ししてからの起動と、クイック起動からの起動の2種類でゲームの起動速度を計測した。計測は検証した11月3日時点での最新アップデートを適用してから実施している。
結果、Xbox Oneはシャットダウンから起動まで約1分ほどの時間を有したが、Xbox Series Xはおよそ20秒で起動した。一方、クイック起動からの起動は、Xbox Oneが約8秒、Xbox Series Xが約8.5秒ほどとほぼ誤差レベルの差。おそらくだが、Xbox Series Xは後述する「クイックレジューム」機能を備えているため、そのスタンバイ状態にするなんらかのプロセスにより、若干の遅れが生じてXbox Oneと同等の速度に収まっているのではと予想する。
次にゲームの起動時間を確認したい。ゲームの起動というと、通常はゲームを選択して、ユーザーが選択できるタイトル画面が出るまでを計測するが、Xbox Series Xにはゲームを最後にプレイしたところから素早く起動する「クイックレジューム」機能を備えている。
この機能では、ゲームAを途中までプレイし、ゲームBを始め、またゲームAに戻った場合、ゲームAは途中までプレイしていたところから開始される。そのため、ゲームAを選択した際は、ゲームAのロゴやタイトル画面は起動せず、ゲームAの中断セーブデータに直接アクセスしたような感覚で、ストレスフリーでゲームプレイが継続できる。
今回の検証時、原因不明だが当初動作していた事前に提供されたXbox Series X対応の最新ゲームが起動しなくなったので、Xbox Series X対応のゲームでの検証はしていない。4K以上の高解像度でリフレッシュレート120Hz以上、HDR対応といった次世代ゲーム機の映像美&快適さを実現するディスプレーの貸出も間に合わなかったので、そうした検証はXbox Series X対応の最新ゲームレビュー記事などでご紹介したい。
そのためクイックレジューム機能を使った検証は、Xbox Game Passで提供されている「ベア・ナックルIV」(英題:Streats of Rage 4)と、「Bloodstained: Ritual of the Night」の2作品で実施。Xbox Oneでゲームをプレイする際、ゲームを選択し、タイトル画面が表示するまでの時間と、Xbox Series Xのクイックレジューム機能により、ゲームプレイ画面が表示されるまでの時間を比較する。
結果は上記のとおり。「ベア・ナックルIV」では約4.5倍、「Bloodstained: Ritual of the Night」に至っては約14倍もの差が付いた。実際に、XboxOneの方はゲームをプレイするに至るには、タイトル画面からセーブデータ選択画面に遷移し、セーブデータを選んでそこからまたロードを挟むので、さらに時間がかかるため、実際にはこの比較は対等ではない。
しかしながら、Xbox Series XまたはXboxOneを日常的に使った際、XboxOneではどうしてもゲームをプレイする際はタイトル画面を挟む必要があり、Xbox Series Xではクイックレジューム機能により、素早く自分が最後にプレイしたところから始められる。
逆に、自分が最後にプレイしたデータでは納得がいっておらず、別のセーブデータからプレイしたい場合は、ゲームプレイ画面でメニューを開き、セーブデータロード画面で別のセーブデータをロードするという手順が必要になる。このようにクイックレジューム機能を使うと、従来のゲーム機とはまったくゲーム体験が変わってくる。実際に、プレイ中のゲームから別のゲームの起動がどれぐらい早いのかは、次の動画で確認して欲しい。
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マイクロソフトの公式動画でも明らかになっていたが、動画で見てもらえれば、今までのXboxシリーズ、他社のゲーム機とも全く異なり、ストレスフリーで複数のゲームを楽しめることが分かってもらえるかと思う。ただし、おそらくだが仕様上ログイン認証が必要なゲームは、この機能が動作せず、毎回タイトル画面が表示して、ログインする必要があると思われる。機会があれば、そういったゲームでの動作も確認したい。
Xbox Series Xは、初代Xboxから最新作までの機種の後方互換性を有している。全てのタイトルとは言及していないが、マイクロソフトは初代Xboxも含む数千本のタイトルがプレイ可能としている。そこで、最後に筆者がまだ所持していたXbox 360用のKONAMIの対戦格闘ゲーム「Rumble Roses XX」のメディアを用意し、インストールしてその起動時間も計測してみた。
ちなみにダウンロード版の動作は分からないが、今回のメディアを使った場合、Xbox Series Xにてクイックレジューム機能が働かず、ゲームを選択するとXbox Oneと同様にロードが入り、毎回タイトル画面が表示された。いろんなパターンを検証してみないとはっきりとしたことは分からないが、メディアを使った場合、それが実行のキーになるので、中断データの保存ができないのだろうと容易に想像できる。
結果は上図の通り。ロゴが表示されるアニメーションの時間などは変わらないので、そうしたデータの読み込み時間の差がHDDとSSDで出たといったところだろうか。
といったところで、今回のレビューは終了したい。Xbox Series XはUIこそXboxOneシリーズとほぼ変わらないが、今まではハイエンドなPCでしか体験できなかったリアルタイムレイトレーシングに対応するパワーを備え、CPUやストレージ、メモリーを効率化する新機能や、新しいクイックレジューム機能により、ストレスなく素早くゲームを起動、快適に楽しめるゲーム機に進化した。
また、サービスも充実。XboxOne用のゲームを購入しても、Xbox Series X/S版も購入したことになる「スマートデリバリー」や、PCでもXboxでも利用できるサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」に、スマホやPCを使ったリモートプレイなどがある。
さらに、2021年には国内でも利用できるようになるとアナウンスされたクラウドゲームサービス「Project xCloud」(これは「Xbox Game Pass ULTIMATE」に含まれる予定)など、ゲーム機のみならず、PC、スマホといったガジェット全てでゲームを楽しめる全方位の構えだ。
正直のところ、今まで日本ではあまりパッとしないイメージがあったが、Xbox Series Xのみならず、Xbox Series Sもスペックの割に安価でSNSなどでも話題を呼び、抽選予約初日には完売する勢いを見せている。また、マイクロソフトは今年9月に「エルダー・スクロールズ」や「フォールアウト」、「DOOM」シリーズなどを手掛けるベセスダ・ソフトワークスを約7900億で買収することを発表し、話題を呼んだ。
今後、魅力的な独占タイトルが販売されたりすれば、人気の向上も十分あり得る。新たな続報にも期待したい。
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