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Apple Watch 6に新デザインのiPad Air! 秋のアップル発表会第1弾 第25回

新iPad Airは「iPad Pro Air」と呼ぶにふさわしい強力マシンだ

2020年11月03日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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iPad Proに迫るパフォーマンス

 新しいiPad AirがiPad Proに最も近付いたと言えるのは、外観のデザインよりも、A14 Bionicを採用したことによるパフォーマンスの方だろう。いつものように、モバイルデバイスのベンチマークテストとして一般的なAnTuTuと、パソコンを含む広範囲のデバイスで使えるGeekBenchを使って性能を評価した。新しいiPad Airと比較したのはノーマルの第8世代のiPadと、2020年モデル(第4世代)のiPad Pro(12.9インチ)の2モデルだ。

iPad Air(第4世代) iPad(第8世代) iPad Pro(2020)
AnTuTu総合 661878 456614 760949
--- CPU 203292 136576 185966
--- GPU 249015 174597 363251
--- MEM 112402 72827 134317
--- UX 97169 72614 77415
GeekBench CPU Single 1594 1114 1128
GeekBench CPU Multi 4280 2626 4720
GeekBench Compute (GPU) 12433 5426 12179

 まずAnTuTuの結果を見ると、第8世代のiPadよりも45%ほど大きな数値を示した。約1.5倍の速さということになる。さすがにiPad Proと比べると、87%程度の数値に留まるが、かなり迫っているのは間違いなく。通常の操作では、体感的にも引けを取らない。

 GeekBenchでは、CPU性能は第8世代のiPadよりも63%ほど大きな数値で、約1.6倍の速さを示している。さすがにiPad Proにはやや劣るが、実はCPUコア1つあたりの性能では、iPad AirがiPad Proを凌いでいる。ただし、新しいiPad AirのA14が6コアなのに対し、iPad ProのA12Zは8コアのため、マルチコアではiPad Proが辛うじて勝ったというわけだ。GPUで数値計算を実行するComputeのテストでは、iPad AirはノーマルiPadの実に2.2倍の性能を示した。さらにわずかながらiPad Proを凌いでいる。

 こうしたベンチマークテストは、マシン性能の中のほんの一面から見たものに過ぎないので、それによって総合的な評価が定まるわけではない。例えばGeekBenchではGPU性能はiPad AirとiPad Proでほぼ同等に見えるが、AnTuTuの性能内訳を見ると、iPad AirはGPU性能でiPad Proにだいぶ劣るという結果が出ている。とはいえ、新しいiPad Airは、性能面でノーマルiPadを大きく引き離し、かなりiPad Proに近付いたものであることは間違いない。

 今回のレビューで見てきたように、iPadの総合的なパフォーマンスは、CPUやGPUの性能だけで決まるものでもない。機能面も考えればiPad Airには、まだまだiPad Proに劣る面が多くある。大きく分ければ、iPad Proはクリエーター向けで主に能動的な使い方をすることを想定しているのに対し、iPad Airはやはりコンシューマー向けで、主に受動的な使い方をすることを意識して設計されたマシン、という区分があるのは確かだ。

 iPadに対して、とにかく考えられる最高の性能と最大限の機能を求める人は、やはりiPad Proを選ぶべきだろう。そうしたはっきりとした目的やこだわりがない人なら、新しいiPad Airを選べば性能的にも機能的にも、十分に満足できることは間違いない。

 あとは、64GBで税別6万2800円から、256GBで同7万9800円から、という価格をどう見るかだ。ノーマルiPadと比べるとストレージ容量も2倍だが、価格もほぼ2倍のクラスに感じられる。それでも、iPad Proはさらにもう1クラス上の価格帯(256GBで同9万5800円から)であることを考えると、コスパ的には最適解のようにも見える。最終的には自分がiPadに何を求めるか、ということに尽きるが、それに応じて3つのクラスが用意されているのだから、選び甲斐は十分にある。

 

訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2020年11月3日)

 

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