ロシア軍の情報機関が、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックをねらった大規模なサイバー攻撃を計画していた。
イギリス政府の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が現地時間の2020年10月19日、ロシア軍の情報機関が、東急五輪の関係機関や関係者に対するサイバー攻撃を仕掛けていたと発表した。
ロシア軍は、2018年に韓国の平昌で開かれた冬季五輪も標的にしていたという。
イギリスのメディアは、ドーピング問題でロシアが国として五輪に参加できなくなったことが、サイバー攻撃のきっかけになったとの見方を報じている。
大規模なサイバー攻撃の動機は、単なる腹いせだったのだろうか。
●五輪開会式中に障害発生
2018年2月9日、華やかな冬季五輪の開会式が開かれている舞台裏で、事件が進行していた。
大会の公式サイトで、観客がチケットを印刷できなくなったり、メインのプレスセンターでネットに接続できなくなったりといった事象が相次いだ。
テクノロジーを駆使した演出が施された開会式には影響がなかったが、五輪の運営に関わるネットワークで、小規模の障害が続発した。
2年後に東京五輪を控えていた、日本の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)も、平昌で起きた事象を注視していたようだ。
平昌五輪に関連したサイバー攻撃とシステム障害について資料をまとめ、公表している。
この資料は、準備期間中に約6億件、大会中に約550万件のサイバー攻撃が発生したが、「運営に重大な影響を与えるようなサイバー攻撃は発生せず」とした。
●アメリカはロシア軍関係者6人を訴追
ロシア軍のサイバー攻撃に対しては、アメリカとイギリスの両政府が連携して対応した。
イギリスが東京五輪をねらったサイバー攻撃について発表した2020年10月19日、アメリカの司法省はほぼ同時に、ロシアのハッカー6人を起訴したと発表している。
米司法省の発表によれば、6人はいずれもロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の74455部隊の所属とされる。
6人は、平昌冬季五輪だけでなく、フランスの大統領選挙や、ウクライナの電力インフラ、ジョージアなどを標的としたサイバー攻撃にも関与していたとしている。
平昌冬季五輪では、6人は「オリンピック・デストロイヤー」と呼ばれるマルウェアを使用し、開会式などを攻撃したとされる。
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