このページの本文へ

新型レヴォーグ、アイサイト「搭載/非搭載」乗り比べでわかった進化の凄さ

2020年09月29日 06時00分更新

文● 雪岡直樹(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
Photo:SUBARU

スバルの新型レヴォーグが8月20日から先行予約が開始され、正式発売は10月15日を予定している。現在各地の展示会では大勢の人が会場に足を運んでいると聞くと、その注目度の高さが感じられる。実際の受注もかなり入っているという情報も聞く。エンジン・ボディ・内外装・そしてアイサイトと全方位で進化している新型レヴォーグ。運動性能はもちろんのことだが、あえてアイサイト非搭載の車に乗ると、アイサイトの進化がいかに凄いことかということに改めて気がつく。(ライター・フォトグラファー 雪岡直樹)

アイサイト20年の歴史
日々進化をしている

 アイサイトは1999年の3代目レガシィ・ランカスターに装着されたADA(アダクティブ・ドライビング・アシスト)が最初の実車投入だ。以降改良を続け、2008年の5代目レガシィでEyeSight(アイサイト)と名称変更し2010年にVer.2へ進化。当時のキャッチコピーで「ぶつからない車?」として注目を浴びた。

 2013年に初代レヴォーグの登場に合わせVer.3へ進化。その後は「Ver.いくつ」とは言わない小変更を繰り返している中で、より自然でプロドライバーが行うような、滑らかなブレーキングやステアリング修正を行うようになっている。2017年にアップデートを行った後、しばらく進化が止まったように感じられていたが、2020年の今回のアイサイトXで一気に進化をした。この3年間開発のリソースをアイサイトXに集中していたのかもしれない。アイサイトが世の中に出てから約20年、日々進化をしていることに改めて驚く。

15年前の車に乗ることで見える
アイサイトの進化の凄さ

 私ごとで恐縮だが、先日初回登録から15年経った4代目レガシィツーリングワゴンを購入した。水平対向6気筒エンジン搭載車で、中古の流通数の少ないマニュアル車だ。今後このような車は登場しないだろうと判断したので、買えるときに買ってそのエンジンを堪能してみたかったのだ。

 この辺のことは別の機会があれば書いてみたいと思うが、たった15年前の車に乗ってみて、今の先進安全機能がいかに凄いかを目の当たりにした。

 15年前というと2005年になり、アイサイトの歴史を遡ると2003年に装備された、改良版ADAが4代目レガシィに搭載されていた時代だ。その時代、スバルをはじめ他社を見渡してもADA・アイサイトのような先進安全機能が付いている車はそう多くなく、衝突被害軽減ブレーキがごく一部の車に搭載され始めた時代だ。また国の認可問題もあり、完全停止などは行われないという時代だった。

 その15年たった車で都内はもちろん高速道路などを走ってみると、いかに今の車がさまざまなセンシングで運転が楽になっているのかを実感する。

Photo:SUBARU

 例えば車線逸脱の警告が鳴ると、車線をはみ出す、またははみ出している可能性が高く、自身の車を車線内の中に戻そうという意識が働くが、その警告がないと自分は車線内を走っているつもりでも、車線の端を走っていることがたまにあることに気がつく。

 もちろんフラつき運転をしているつもりはない。現在ならレーンキープアシストを作動させていれば自然と車線の中央付近を走ってくれるだろう。また長距離移動の際には、以前の車ならアクセルを踏み続けないと車は走り続けないが、現在の車なら全車速追従クルーズコントロールがあるおかげで、スイッチを入れて車に任せればアクセルとブレーキ操作から解放され、足の疲れの軽減にもなるし、長時間同じ姿勢でいるエコノミークラス症候群からの解放にもつながるだろう。

 またステアリングアシストも、手を添えていれば自然と車線を守って走ってくれる。そう考えると今の車がいかに楽に走れるかということを実感する。15年前の車で走っているのもかなり楽しいが、こういう安全装備は古い車にも欲しいなとも思えた(安全機能は万全ではないので、ドライバーがちゃんと操作していなくてはならないのは当然のことだが…)。

日常使用の中で
安全装備とアイサイトXはどう役立つのか

 アイサイトのコア技術である、ステレオカメラ機能はより広く写すように、またより解像度を高めており、前方の自動車、二輪車、歩行者などをさらに高い精度で認識するようになった。

Photo:SUBARU

 さらに今回は前側方レーダーも装備し、ステレオカメラで捕捉できなかった部分を補っている。これらが連動してプリクラッシュブレーキの作動領域も拡大している。今までのステレオカメラとプリクラッシュブレーキ性能もかなり高い性能を持っていたが、前側方レーダーが装備されたことで、見通しの悪い交差点での出合い頭の事故や、見落とした歩行者との接触を防ぐ可能性が高まった。

Photo:SUBARU

 実際、交差点を再現したテストでも、壁に阻まれて見えない左から迫ってくる車を検知すると、ブレーキが作動することを体験できた。また、交差点で歩行者(ダミー人形)との接触を防ぐ実験も体感したが、見事に歩行者を検知し自動ブレーキが作動した。昼間だけでなく、夜間や雨天、さらに視界が狭くなる降雪などの状況で役に立つのではないだろうか。

 万が一衝突してしまった場合でも、歩行者に対しては歩行者エアバッグがバルクヘッド部に収納されており、ボンネットに跳ね上げた場合、強固な構造を持つ部分で歩行者の頭部への損傷を軽減させるためのエアバッグを装備している。

 乗員に対しても運転者には通常のエアバッグの他にニーエアバッグで下肢に対して保護、助手席に対してはシート下にエアバッグを搭載、シートにしっかり保持させてエアバッグで体を包み込むというような対策も施されている。さらに、今回新型エンジンになったことで、エンジンの全長が約40mm短くなった。この40mmをボディの衝撃吸収のスペースに充てるなど、スバルの事故に対する姿勢が見えてくる。

 アイサイトXは高速道路などの自動車専用道路での使用となり、新たに搭載された3D高精度地図データと準天頂衛星のみちびきとGPS情報を活用することで、自車位置を的確に捕捉してくれる。そのおかげでアイサイトXを作動させていれば、自動で車線変更を行うアクティブレーンチェンジや、50km/h以下での渋滞時ハンズオフアシストが装備された。

Photo:SUBARU

 カーブへ無理な速度で進入しようとすれば、カーブ前速度制御が作動し適切な速度へ減速してくれる。また料金所前速度制御では、料金所の前で減速を行い安全な速度で料金所を通過できる。最近はETCゲートも速い速度で抜けてもゲートバーにぶつからないと思われているのか、減速しないで通過する車も見かける。

 しかし、万が一、前走車が何らかの理由(ETCカードの入れ忘れや有効期限切れ)などで停車しないとも限らない。また少しで空いているレーンを走ろうと急な車線変更をする車も多い。そういう時の事故のリスクを考えれば、料金所前で減速していくのは必要なことだ。警告から減速まで自動でしてくれるのは他では見ない技術だろう。

運動性能の高さも
特筆すべき点

 今回袖ヶ浦フォレストレースウェイというサーキットで運動性能も体感した。スバルの新時代プラットフォームのSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)の良さを改めて実感した。

Photo:SUBARU

 ボディ剛性の高さをサーキットの縁石に乗った瞬間や、高速域での左右の振り返しなどでヨレないボディを実感する。これはサーキットだけでなく、一般道においても段差やワダチを乗り越える際に実感できるはずだ。今回足回りのトピックとして、開発陣が「キャラ変」と称する、ドライブモードセレクトをSTI Sportに装備。電子制御ダンパーを装備しコンフォートからスポーツモードへ変更できる。

Photo:SUBARU

 併せてエンジン出力やパワーステアリング、AWD制御なども変更し、快適性のコンフォートからスポーツ度高めたスポーツ+まで変更できる。実際サーキットを走行しモードを切り替えると、確かに“キャラ変”し穏やかな感じからスポーティーな感じへと変化する。街中ではコンフォートで高速道路ではスポーツ、時にサーキットなどを楽しみたい時にはスポーツ+など、シチュエーションによって、また乗車している人によって切り替えて楽しむこともできる。中間グレードのGT-Hなどには装備されないのは残念だが、GT-Hも評価の高いサスペンションセッティングが施され、普通に乗っている分には何一つ問題はないはずだ。

自分に必要な装備を選ぶ
楽しさと難しさ

Photo:SUBARU

 アイサイトは全車標準装備だが、アイサイトXは+35万円のオプション設定となる。デジタルコックピットの12.3インチフル液晶メーターと11.6インチのセンターインフォメーションは、アイサイトXを装備するEXグレードには標準装備となる。

 11.6インチのセンターインフォメーションは通常グレードにもメーカーオプションで選択可能なので、スマホライクなセンターインフォメーションが欲しい人は選ぶことも可能だ。アイサイトXは自動車専用道路での使用となるため、高速道路などを頻繁に使わない人にとっては必要でない場合もあるだろう。

 先進安全機能は全車標準装備なので、安全機能に関してはアイサイトXがなくても問題はない。また自分のお気に入りのオーディオやナビを組みたいという方には、オーディオレス仕様も選べる。

 ドライブモードセレクトで走りのキャラ変を楽しみたければ、STI Sport一択になるが、そこまで必要ないというのであればGT-Hでもなんら問題ない。自分に何が必要か、どのように楽しみたいのかを考えて選べるのは、楽しくもあるが取捨選択の難しさもある。それが車を買う楽しみでもあるが、悩ましい部分でもある。

 もし自分が買うのであれば、デジタルコックピットは体感したいし、ドライブモードセレクトも楽しみたい。ということで、STI SportのEXグレードと1番高い仕様になってしまう。値段としては高いが、装備と機能を考えればお買い得な値段なのではないかと思う。

Photo by Naoki Yukioka

 正式発売前の先行予約時期にもかかわらず、多くの人がディーラーや各地を巡る展示キャラバンに出向いていてそれだけ注目度は高い。装備をフルに付けた場合は、価格は上昇するが、装備内容や安全装備を考えれば価格は抑えられており、コストパフォーマンスとしては悪くない。

 スバルは一般のリアルワールドで性能を感じてもらいたいと、公道でのメディア向けの試乗会をよく行うメーカーだ。リアルワールドでのボディ剛性や電子制御の足回り、進化したアイサイトXが実際の高速道路ではどれほどの性能なのか。テストコースでは分からないリアルな反応はどのような走りを見せるのか、一般公道での走りが楽しみだ。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ