今年のフルサイズミラーレス一眼新製品シリーズラストを飾るのはパナソニック「LUMIX DC-S5」。S1シリーズの下位モデルで、小型軽量化と低価格化が図られ、今年発売された多くのカメラ同様、動画機能を重視した設計になっている。
このパナソニックのSシリーズは当初から「動物認識」機能を持っているのである。瞳認識じゃなくて動物認識。こんな感じ。
動物の体を丸ごと認識してくれるので、顔があっち向いてようが後ろ姿だろうがOKなのが良い。まあ、微妙に瞳にぴったり合わせたい時は不安なので、いずれ瞳認識も搭載してほしいと思うのだけどね。
場所はいつもの「保護猫シェルター queue」。お世話になっております。この長毛猫が寝てるのはトースト型クッション。ここがお気に入りらしい。こうして写真で見ると実際にトーストされてるみたいだけど、触ってみると普通のクッション。
このDC-S5が面白いのは、レンズキットとして同梱されるレンズ。こんな焦点距離のズームレンズがレンズキットになるって初めてなんじゃないかと思う。20-60mmという超広角系ズームなのだ。ちょっと前までは広角側が28mm、最近では24mmスタートが標準的なのだが、これはさらに広角にした20mmスタート。だから近距離から背景が広く写る写真を撮れるのである。すごくイマドキのレンズなのだ。
これが室内猫にぴったり。冒頭写真がまさにそうだ。モニターを開いて下に向け腕を上に伸ばしてキャットタワーのてっぺんに乗ってる猫を見下ろす感じでとったものである。こうすると高いところにいる猫の視界で撮れる。
撮ってたらこの猫が起きて、うにゃあとあくびをしながら伸びをしたのですかさず撮影。動物認識AFのおかげでとっさのシャッターチャンスも逃さない。背中がほんのちょっとはみ出ちゃったけど、最高の表情が撮れたのでよしとする。
窓際の明るいところにあるキャットタワーで猫がうにゃあと伸び、壁際にはまだ外に出せない子猫や、人に慣れてなくて外に出せない猫、病気で他の猫と隔離しなきゃいけない猫なんかをおさめるケージが並んでるなんて様子も一発でわかる。
でもって、望遠側は60mmあるので程よい距離で撮りたい時もOK。さっきのトースト型クッションの上で寝てた長毛猫、いつの間にか頭がはみ出してことんと落ちてたので起こさないように望遠にして床スレスレから撮影。この無防備感がたまらん。
もう一つ60mmで。これは全然人に慣れない猫。普段は角のほうに隠れていて、手を出すとシュッと爪が伸びてきて引っ掻かれるので要注意猫として入場時に注意されるのだけど、この日は珍しく目立つとこでのんびりしてたのでそのすきにシュッと撮影。裏ボスって感じの貫禄が良いのである。撫でたくなるけど怖いのでやめとく(実は、初めてqueueを訪れた時、不用意に手を出して引っ掻かれたのだ)。
猫を撮る時、パナソニックならではの技がもう一つある。それは「6Kフォト」。パナソニックといえば4K動画を静止画に利用した「4Kフォト」が有名だけど、6Kフォトはその高解像度版で、約1800万画素のサイズがあるから結構使えるのだ。しかも動画撮影の技術を利用しているので超高速連写した写真ができ上がる。
それでとった子猫が大あくびをした瞬間がなかなか良かったので、今回のラストはそれ。連写の中からピックアップした4枚をどうぞ。最初は横を向いてあくびを始めたのだけど、カメラを構えてるわたしが気になったのか、あくびをしながら頭をこちらにひねり、最後はしれっとした顔で澄ましてるのが可愛いのである。最後のすまし顔とのギャップが一番たまらん。
ソニーのα7が先行するフルサイズミラーレス一眼市場、デジカメ市場がスマートフォンに押されて低迷する中、一番将来性があるジャンルなのだけれども、今年になってキヤノンのEOS R、ニコンのZ、パナソニックのSと追撃組が揃ってきた感じだ。しかも、どれも猫認識AFを持ってるのだから悩ましい。 だからと言って、この中でどれが一番おすすめ? とかそういう難しいことは聞かないでください。
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筆者紹介─荻窪圭
老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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