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ジャニーズ事務所を退所した、少年隊2人の活躍に必要なこと

2020年09月27日 06時00分更新

文● 宮崎謙介(ダイヤモンド・オンライン

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写真はイメージです Photo:PIXTA

少年隊の錦織一清氏と植草克秀氏が、今年12月末にジャニーズ事務所を退社することが9月20日、事務所の公式サイトにて発表された。今夏、所属する芸能事務所を退所した元衆議院議員の宮崎謙介氏が、芸能事務所に所属するメリットや、独立時に大事なことなどを語る。(元衆議院議員 宮崎謙介)

今年8月末に
所属事務所を退所

 少年隊の2人が事務所を退所したことがニュースになっています。最近、芸能界では事務所の退所に関する報道をよく耳にするようになりました。吉本興業の件から始まり、オスカープロモーションからタレントが流出して独立している話は記憶に新しいと思います。

 実は私もこの8月31日をもって所属事務所を退所しました。

 それまで所属したのは元宮崎県知事でタレントの東国原英夫さんが業務提供していた事務所です。東さんのご縁もあって所属することになったのですが、この1年半くらいは所謂、エージェント契約になっていました。

 エージェント契約とは専属マネジメント契約とは異なり、所属事務所以外からもお仕事をもらって良いという契約です。契約から1年半が経過した先日、私からの申し出によって円満に契約を終了することになりました。事務所には大変お世話になり、心から感謝をしています。その理由につきましては末尾にお伝えします。

 民間企業でのサラリーマン生活、自ら起業して組織を率いた経験、そして政治家としての日々を経て、芸能事務所に所属をすることができたことは、私にとって非常に良い経験でした。それぞれ異なった成長を私にもたらしてくれました。

 今回はこの芸能事務所に所属することから、組織に所属することの意味について考えさせられたので、私の気づきを皆様に共有したいと思います。

芸能事務所の
業務フローとは

 そもそも芸能事務所、芸能プロダクションとは何かというと、所属するタレントさんの「マネジメント」をするのが主な業務です。「マネジメント」とはいったいどういう仕事かというと、そのタレントさんにまつわる全てのことをやります。

 新しく所属することになったタレントさんがいるとします。すると、そのタレントさんのプロフィルシートをテレビ局や番組の制作会社に配り、営業活動をします。そして、企画と合致し、ある番組に出演することになったら、そのタレントのスケジュールを管理し、番組当日までに準備をするやり取りを制作側との間で調整します。

 収録当日の衣装や移動の確認や、台本の確認をすることもあります。収録に立ち会い、何か問題がなかったのかを確認し、場合によっては番組制作側に「あの宮崎の発言はちょっとイメージ的にNGなので、編集していただけませんか?」というような交渉までしてくれます。

 そして、無事にオンエアが終わると、出演についてのギャラ交渉をして、請求書を発行してくれます。番組側からの入金があり次第、事務所はマネジメント料(契約によりますが、事務所の取り分は20~50%。中によっては給料制のタレントもいます)を引きタレント本人に給与として支払うことになっています。

 芸能事務所の業務フローは次のようになります。

(1)新商品の開発、(2)マーケティング戦略の構築、(3)プロモーション、(4)顧客にセールスをかけて受注、(5)請求書を発行し入金確認(〈1〉と〈2〉が逆の場合もありますが)。

 芸能事務所であっても活動は一般企業と共通しているのです。

芸能事務所の
最も重要な役割

 芸能事務所の業務で肝になってくるのは(2)マーケティング戦略の構築です。芸能プロダクションに所属することの一番の意味はここにあると私は思っています。

 タレントが自分一人では広げることのできない新たなフィールドと可能性を客観的に見いだしてもらい、それを形にしていくことこそが、マネジメントの神髄のような気がしています。

 プロスポーツ選手をスポーツ番組の解説者として使ってもらうというのは、よくある話です。そうではなく、例えば、その人の性格や性質などから爆発的な笑いを取る素質を見抜き、バラエティーのトーク番組にはめ込んでブレイクさせるというようなことです。こうしたことがタレントの可能性の幅を広げていくことなのです。

 大手芸能事務所が強いのはまさにそこです。

 1つの分野だけではなく総合的な販売チャネルを有しているので、TVにもラジオにも雑誌にWEBにも幅広いネットワークがあり、ドラマ、バラエティー、スポーツ、報道など全ての領域に縦横無尽に営業を展開することができるのです。

 だから、大手事務所に入ることができれば、必ず1度や2度はチャンスが巡ってきます。一方、競争も厳しいのでそのチャンスを与えてもらいながら決定的な結果を残すことができなければ、打席がなかなか回ってこなくなることもあります。

 こうして大手事務所に所属しながら知名度や好感度を高めて、タレントとしての価値をどんどん高めていき、お世話になった事務所にも十分恩返しをすることができたと思うタレントたちは独立を考えるようになります。

 独立というのは、いわば起業するのと同じことです。

 極端な話、自分でテレビ局や制作会社の知り合いに営業ができ、スケジュール管理や衣装の手配、当日の移動から台本の手配、請求書の発行の業務などが自分一人でできるのであれば、独立することは可能なのです。

私が芸能事務所を
退所した理由

 とはいえ、独立が奏功するかどうかは別の話です。

 重要なのは、独立後、どういうポジションで、どのような仕事をしたいと思うかによるのです。

 これも起業に例えるとわかりやすいでしょう。

 例えば不動産業界で起業する際、いきなり東京・港区の大型都市開発に携わりたいと思ってもなかなか難しいでしょう。しかし、地方都市の郊外で駅前ビルを建設したいということであれば、実現の可能性は大いにあるでしょう。

 タレントの独立も似たところがあります。

 いきなり大河ドラマで主演を狙いたいとか、大手化粧品会社のCMの契約が取りたいといっても、よほどの大御所タレントでなければ、個人事務所でそれを実現するのは難しいでしょう。

 少年隊の錦織一清氏と植草克秀氏がジャニーズ事務所を退所後、果たして今まで以上に活躍できるかどうか、私はそれを指摘する立場にはありません。

 ただ言えることは、私自身が事務所を退所することを決めた理由だけです。

 元々起業家でもあった血が騒ぎ、一人のタレントとしてみこしに乗っているだけではなく、自分で人脈を広げて、自分の世界をさらに広げ、自分の手で可能性をもっと試してみたくなったのです。

 人は成長とともに、何もできなかった駆け出しの頃のことを忘れがちになります。組織に育ててもらわなければノウハウも人脈も成長するチャンスも得られません。いきなり我流で全てを身に付けて前進できる天才はごくまれでしょう。

 しかし、ある程度成長した後、組織と自分の方向性やビジョン、そして相性がどうしても合わないとき、また、その組織でもう自己実現ができないと思ったときには、思い切って組織を退くことを考えてみても良いのではないでしょうか。

 ただし、その際には古巣とは丁寧に協議を続け、お互いが納得した形で円満に解決することが肝要です。そして、自分を育ててくれた組織にはいつまでも感謝の気持ちを持ち続けることがその後、独立をした後も仕事をしていく上で最も大事なことなのです。

 実際、芸能界に限らず、多くの業界で独立し、成功している方々はそういう人たちばかりです。どこまで行ってもこの世界はつながっていますし、義理を欠くと生きづらいものですね。

 少年隊のお二人もジャニーズ事務所を円満に退所し、自分の進むべき方向に向かって新たな世界を広げていけば、きっとさらなる活躍が実現できると思います。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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