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コロナ抗体検査への関心高まる、生産国・特徴・検査精度・注意点とは?

2020年09月24日 06時00分更新

文● 吉田由紀子(ダイヤモンド・オンライン

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写真はイメージです Photo:PIXTA

「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」
それぞれの違いとは?

 いまだに収束のめどが立たない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。症状は出ていないが、もしや感染しているかもしれない、と不安を抱いている人は少なくないと思う。

 現在、感染状況を調べるには、「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」の3種類がある。

 ニュースで耳にすることが多い「PCR検査」(polymerase chain reaction)は、鼻や喉の細胞を採取して感染の有無を調べる方法である。今年3月保険適用になったが、専用の機器や熟達した人材が必要で、費用が高いというデメリットがある。そのため、海外に比べ日本では普及が遅れているのが現状である。

「抗原検査」は、ウイルスに感染した細胞が生み出す抗原を検知して診断する方法。最短30分で検査ができ、特別な検査機器を使わずにできる。しかし、これら2つの検査は保険適用のため、原則として症状が出ている患者に限定されており、無症状者が検査した場合、3万円から4万円という高額な費用が必要になる。

 そこでクローズアップされているのが、「抗体検査」である。こちらは自由診療であり、無症状者でも検査を受けることが可能だ。「特に症状はないが感染が心配 ――以前風邪のような症状があったのでコロナだったかを知りたい」こんな場合は抗体検査が有効である。PCR、抗原検査に比べると、検体採取時の感染リスクが低く、特別な機器も要らない。そのため、現時点において、抗体検査は無症状者が感染拡大防止のために活用できる唯一の指標となっている。

 とはいえ、国内ではまだ承認済みの抗体検査薬が流通しておらず、海外からの輸入品に頼っている状態だ。

日本国内で利用されている
米国開発の「抗体検査薬」特徴は?

米国FDA(食品医薬品局)の緊急使用認可を受けているCellex社の抗体検査キット。欧米ではすでに1000万個以上の販売実績を持っている

 その一つが、米国の医療用検査機器を専門に開発するバイオテクノロジー企業Cellex(セレックス)社が開発した「qSRAS-CoV-2 IgG/IgM Cassette Rapid Test」という抗体検査薬である。今年4月に米国の政府機関であるFDA(食品医薬品局)の緊急使用認可を世界で初めて取得しており、欧米諸国で1000万キットを販売した実績を持っている。この抗体検査薬を日本国内で唯一、正規代理店として販売しているのが、メディカルエクスポート合同会社である。

 そこで、同社代表の三澤志洋さんに聞いてみた。

「今年5月14日、Cellex社の抗体検査キットの販売を開始しました。これまでに医療機関や医師・看護師が常駐する特別養護老人ホームなど、150の施設に1万5000キットを納入しています(8月27日現在)。価格は注文数に応じて1キットあたり1200円~と他社と比べて安価に設定しています」(三澤さん、以下同)

 抗体検査にはどんな特徴があるのだろうか?

抗体検査では、わずかな血液を採取して、新型コロナウイルスの抗体の有無を調べることができる

「抗体検査は、人体から微量の血液を採取して希釈液2滴を加え、専用の検査カセットに滴下して抗体の有無を調べる方法です。新型コロナウイルス感染症には『IgM』と『IgG』という2種類の抗体が存在しますが、通常15~20分でこれらの有無を検査することができます。2種類の抗体は、発症から1~2週間後に作られ、その後血液中に数週間~数カ月存続するといわれています。検査で血液中のIgM・IgGが陽性かどうかを調べることにより、感染歴と、おおよその感染時期がわかるのです」

 ちなみに、現在国内で抗体検査に使用されているのは、主に海外の製品である。中間業者が多数存在することから、医療機関向けの販売価格は1キットあたり3000円前後で取引される場合が多く、個人がクリニックで検査を受けると、1回につき1万円以上の費用を負担しなければならない。しかし同社では、中間業者を通さずCellex社から直接仕入れているため、1200円~と安く抑えることができるのである。

 同様にFDAの緊急使用認可を受けている他社の製品もあり、検査精度がより高い免疫検査法もあるが、それらは検査に指定の分析装置が必要であることから、多くの医療機関は検査受託会社に依頼をしなければならない。そのため、結果が出るまで2~3日かかってしまう。

検査結果は本当に正確なのか?
検査精度を取材

 検査精度はどうなのだろうか。Cellex社の検査キットを使用している医院にも取材をしてみた。東京・千代田区にある「九段下駅前ココクリニック」では6月8日から抗体検査を実施しており、現在月間約200件の検査を行っている。

Cellex社の抗体検査薬を使用している東京・九段下駅前ココクリニック。石井聡院長によると、検査精度はおおむね良好とのことだ

「5月後半あたりから、抗体検査を受けたいという患者さんの声が高まりました。当時は国内の抗体検査薬が開発の段階にとどまっていたため、海外製品を探してみたものの、信頼に足るものが見つかりませんでした。そこで直接FDAのサイトで調べたのですが、その結果、認証済みの検査キットがあることがわかったのです。FDAの認証を受けているのなら、一定水準の品質が確保されていると思い、使用することにしました」(石井聡院長、以下同)

 同クリニックでは、これまで450人に対して検査を行ったが、おおむね検査精度は良好だという。抗体検査は自由診療になるものの、費用は5000円(税別)と比較的安価に抑えられている。

 ただ、注意すべき点があると石井院長は言う。

『偽陽性』の確率が
PCR検査などよりも高い点に注意

「抗体検査は、陽性でないのに陽性と出てしまう『偽陽性』の確率がPCR検査などよりも高い傾向にあります。そのため、問診などから偽陽性が疑われる場合は、より精度の高い抗体検査を行う検査受託会社に無償で委託をするようにしています。また、このような抗体検査の結果にも専門的な判断が必要なケースや、タイミングによってはPCR検査などの他の検査を併用するのが有効なケースが存在します。感染しているかどうか不安を感じたら、まずは検査の選択も含めて信頼できるクリニックに相談してみるのが良いでしょう」

 長期化している新型コロナウイルス。これから気温が下がると、感染が再び拡大する可能性があるのだろうか、まったく先が読めない状況だ。何はさておき、十分に予防して、少しでも体調の異変を感じたら、すぐに専門医に相談するのが最善の策といえるだろう。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

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※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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