セーフティーカーとピットのタイミングがレースを左右した!
開幕から富士スピードウェイ2連戦を経て、闘いの舞台を鈴鹿サーキットに移したSUPER GT。激戦のGT300クラスは3度のセーフティーカーが入る荒れたレースを、11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)が制した。はたして何が起きたのか? 今一度振り返ってみよう。
レースウィークは好天に恵まれ、強い日差しは容赦なく肌を焼いていく。コロナ禍の影響で、このレースも無観客試合。夏の鈴鹿の名物といえば赤福氷だが、残念ながら味わうことは叶わなかった。
GT300クラスポールポジションは31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)が獲得。結果を見ると「またJAF-GT勢か」と思われるが、そうではない。予選トップタイムは56号車リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rなのだが、コース外走行のペナルティーによりタイム抹消(予選中の四輪脱輪はペナルティー対象)。セカンドベストのタイムが採用され3番手に後退した。2番手は55号車 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)。富士2戦と違い、GT3勢が予選で速さを見せた格好だ。
グリーンシグナルが灯り、ホールショットを取ったのは31号車。しかし、ダンロップコーナーの入り口で30号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが接触によりクラッシュ。その回収のためオープニングラップ早々に最初のセーフティーカー(SC)がコースインし、仕切り直しに。リスタートは5周目から。加熱する2位争いを尻目に、31号車が差を広げにかかる。
しかし16周目。今度はGT500クラスの24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rのフロントボンネットが脱落するアクシデントにより再度のSC導入。31号車が築いたリードは帳消しとなる。21周回目にSC解除。すると上位勢が次々とピットへ向かいはじめた。31号車もそのタイミングでピットへ向かったのだが、給油時間の関係だろうか、その3周後に入った11号車 GAINER TANAX GT-Rにトップを許してしまう。
その刹那、244号車 たかのこの湯 RC F GT3と、21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSが2コーナー立ち上がりで接触。Hitotsuyama Audi R8 LMSがグラベルにストップしたことから3回目のSCが導入された。
33周目にレースは再スタート。このタイミングで残りの全車両がピットインした。この時点でトップに立つのはタイヤ無交換でピット作業時間を短縮した5号車 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号だったが、タイヤが厳しいのかタイムが上がらず。11号車、56号車と2台のGT-Rに次々とかわされポジションダウン。さらに後続にも抜かれてたまらずピットイン。順位を大きく下げてしまう。3番手、4番手に55号車 ARTA NSX GT3、18号車 UPGARAGE NSX GT3のNSX勢が続き、給油時間の短いGT3勢が上位を占める展開となった。この2台も11号車とほぼ同じ周回でピットインしており、結果から見れば、2回目のSC明けの24周目がベストタイミングだったことになる。
やがて11号車は2位以下を突き放して独走状態に。一方、56号車はペースが落ち始め、2台のNSX-GT3にキャッチされてしまう。残り3周のデグナーカーブで、55号車の大湯が56号車にしかける。しかし、追突しコースオフ。何とかコースへの復帰を果たすものの、55号車はフロントのボンネットが外れてしまい、翌周のS字コーナーでマシンを止めた。
残り2周のダンロップコーナーでは5番手につけていた65号車 LEON PYRAMID AMGがコースオフし、スポンジバリヤにクラッシュ。戦列に復帰するものの、コース上にはバリアが飛び散る形に。さらに最終ラップで、56号車と10号車 TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-Rがヘアピンで接触。レースウィーク通して大暴れした56号車はここでマシンを止めた。
大混戦の中、チェッカーを受けたのはレース後半で安定した走りをみせた11号車。2位には18号車が入り同チームがNSX GT3にスイッチして初の表彰台となった。3位には終盤の混乱をうまく利用して順位を上げた2号車シンティアム・アップル・ロータスが入り、2戦連続での表彰台を獲得した。
3戦を終えてのシリーズランキングは、11号車 GAINER TANAX GT-Rが35ポイント。2号車シンティアム・アップル・ロータスが31ポイント。52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTが25ポイントで3位につけている。
次戦は9月12~13日の2日間、ツインリンクもてぎで行なわれる。
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