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良コスパの5Gスマホ「Mi 10 Lite 5G」を投入するシャオミが語る日本市場の難しさ

2020年08月31日 14時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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 auから性能と価格バランスに優れたシャオミの5Gスマートフォン「Mi 10 Lite 5G」が発売になる。シャオミは昨年12月に日本に参入して以来、特徴的な製品を次々と送り出してきた。そんなシャオミの今後の製品展開や日本市場への取り組みについて、シャオミの東アジア担当ゼネラルマネージャー、Steven Wang氏に話を聞いた。

auから発売される「Mi 10 Lite 5G」

中国ではすでに販売されるスマホの半分が5Gモデル
5Gはスマホの使い勝手や体験を大きく変える

──いよいよMi 10 Lite 5Gが発売になります。どのような製品なのでしょうか?

Steven Wang氏(以下敬称略) Mi 10 Lite 5Gは「誰でも使える」コストパフォーマンスに優れた5Gスマートフォンです。5Gモデムを統合し、高いパフォーマンスを提供するSnapdragon 765Gを採用しただけではなく、日本の消費者の方々が重要視するカメラ性能や本体デザインにも注力しています。また今すぐ5Gが必要でなくとも、将来5Gを使いたい人にも向いた製品と言えます。Mi 10 Lite 5Gは「誰もが当たり前のように5Gを使うことができる」よう、4Gスマートフォンのように手軽に買える価格で提供いたします。

シャオミ東アジア担当ゼネラルマネージャー、Steven Wang氏

──日本の5Gサービスはまだ始まったばかりで、利用できるエリアも限られています。このような状況の中で5Gスマートフォンを日本で発売する理由を教えてください。

Steven Wang その理由は3つあります。1つ目は将来を約束できる製品だからです。たしかに日本はまだ5Gが使える場所は限られています。しかし、スマートフォンは購入後1~2年程度使い続けるものです。今5Gのスマートフォンを買っておけば、いずれ5Gのエリアが広がったときすぐに5Gを使うことができるわけです。

 2つ目は5Gの普及がこれから急激に広がっていくと考えられるからです。たとえば中国では今年頭の5G利用者の数は多くありませんでした(筆者注:中国の5Gは2019年11月開始)。しかし2020年も半年が過ぎると、販売されているスマートフォンの半分が5Gモデルになっています。日本も同様にこれから5Gの普及が進み、来年は中国と似たような状況になっていくでしょう。

 そして3番目の理由は5Gのユーザーエクスペリエンスの高さです。今4Gを使っているユーザーの方々は、スマートフォンで動画サービスなどを利用しても十分満足しており「5Gは不要」と考えている方も多いかもしれません。しかし、5Gを一度でも使うともう4Gには戻れない、という声が海外では聞かれるほどです。5Gはスマートフォンの使い勝手や体験を大きく変えてくれるのです。

──日本向けモデルは海外向けモデルとの違いはありますか?

Steven Wang Mi 10 Lite 5Gの日本向けモデルはauと密接に協業し、ソフトウェアやアンテナ性能などauの5Gネットワークに最適化できるようにカスタマイズをしています。

──2019年12月の参入後からSIMフリー市場(オープンマーケット)のみでスマートフォンを販売してきました。5Gスマートフォンはなぜキャリアからの販売となったのでしょう?

Steven Wang 5Gは新しい技術ですから、キャリアとパートナーシップを組むことが重要です。無線周りのスタマイズも含め、5Gスマートフォンを投入するためにはキャリアとの協業は現時点では欠かせないのです。

SIMフリーではRedmi Note 9Sが好調で一時品薄状態に
世界規模での部材調達がシャオミの強味

──SIMフリー市場ではシャオミが自ら販売をしています。キャリアから端末を投入することで、今までと変わった点や苦労された点はありますか?

Steven Wang まず、これまでの日本のオープンマーケットでの販売に関しては大きく満足しています。6月に発売したRedmi Note 9Sは在庫切れが起きるほど多くの方に購入していただきました。今回のMi 10 Lite 5Gのキャリア経由での販売は、弊社の販売チャンネルをさらに増やすものになります。

 4Gは技術が成熟していますから、オンラインで端末だけを販売しても各キャリアのネットワークでそのまま使うことができます。しかし、5Gは前述したようにキャリアとの連携は不可欠です。新しい技術である5Gに対応した製品を初めて投入すること、キャリアの5Gネットワークのテストを行なうのは初めてのこと、Snapdragon 765Gを搭載した製品も日本で初めてと、「初めて」だらけの中で製品開発を進めていきました。

2万円台の高性能カメラフォン「Redmi Note 9S」

──Mi 10 Lite 5Gはどのように低価格を実現しているのでしょうか?

Steven Wang 弊社のビジネス戦略が大きく関係しています。シャオミはハードウェアの販売だけで利益を上げるのではなく、ソフトウェアやサービスからも収益を得るビジネスモデルを展開しています。また方針としてハードウェアの利益率は5%を超えないこととしています。

 弊社はラージスケールで製品開発を行なっています。部材の調達面でも有利であり、研究開発費も1台当たりの割合を少なくすることができます。 安い部材を仕入れるのではなく、最高レベルの部材をスケールメリットを生かして買い付けできるわけです。たとえばチップセットの購入量は弊社は世界最大規模だと思います。一方で品質面での妥協は一切しません。ただ単に、安い製品を作ることを目標としているのではなく、コストを絞れる部分を絞り、それを消費者の皆様に還元することで性能バランスに優れた製品を提供できるのです。Mi 10 Lite 5Gは日本のキャリア販売の5Gスマートフォンとして、最もコストパフォーマンスに優れた製品ではないでしょうか。

──今回初めて日本に5Gスマートフォンを投入しますが、今後も5Gスマートフォンを投入するのでしょうか?

Steven Wang 弊社にとって5Gへの取り組みは長期的な戦略です。日本市場ではこれからも5Gスマートフォンを出す予定です。また4Gから5Gへの切り替えはまだ時間がかかりますから、4Gスマートフォンも引き続き投入します。弊社は幅広い製品ポートフォリオを持っています。市場の状況に応じて最適な製品を投入できるのが弊社の優位点なのです。

日本でも5Gやミドルクラスへの移行が進むと予想
日本向け製品は難しい部分もあるが、スキームの構築で展開を進める

───日本市場への参入、新型コロナウィルスの影響など、シャオミを取り巻く環境は刻々と変化していると思います。日本の市場について最近感じられたことはありますか?

Steven Wang 2つの大きな変化を感じています。1つは今年に入り5Gが始まったことです。これから日本でも5Gのスマートフォンの販売量が増えると思います。私の個人的な見解ですが、日本はグローバル市場の中でも5Gへ移行が進む最初の国の1つになると思います。3Gや4Gなど、過去の技術の導入でも日本は世界に先駆けて世代交代が進みました。新型コロナウィルスの影響があるため不透明な部分もありますが、日本の5Gのこれからの展開には大きな期待が持てます。

 2つ目は、オープンマーケットではより多くの人がミッドレンジクラスのスマートフォンへ移行するようになると思います。スマートフォンの技術が進み、ミッドレンジ製品でも十分と考える人がいずれは全体の8割程度までに増えていくでしょう。いまやミッドレンジスマートフォンのチップセットも高性能でパフォーマンスも高く、カメラ性能もよくなり、さらにバッテリー性能も上がっています。つまりミッドレンジスマートフォンは総合的なパフォーマンスも十分な製品が出そろっているのです。将来はより低価格な製品の性能が上がり「エントリーモデルでも十分」と考える人が8割を超える時代もくるでしょう。

──シャオミは海外でスマートフォンだけでなく、数多くのIoT製品を販売しています。海外の新製品発表会を見るたびに「日本でも出してくれるのだろうか」と期待してしまいます。もっと多くのシャオミ製品を日本に投入していただけないでしょうか?

Steven Wang 日本にも多数の製品を出すよう努力をしています。本来なら海外で販売した製品をいち早く日本にも投入したいのですが、日本の規制は海外と異なるものが多くあります。たとえばグローバルではSKU(Stock-Keeping Unit、最小在庫単位)1つで40ヵ国向けに展開できます。しかし、日本向けには日本だけのSKUが必要となるため、どうしても海外よりも新製品の投入が遅くなってしまいます。弊社はまだ日本に参入して1年未満であり、日本向けに製品を展開するためのスキームなどを構築している最中ですので、お待ちください。

日本でも発売になるリストバンド「Mi Band 5」

──10周年を迎えたシャオミは、この先の10年をどのように展開していくのでしょうか?

Steven Wang この次の10年の製品開発の核となるのはAIとIoTだと考えています。この2つの分野の研究開発に弊社は多額の投資を行なっています。AIとIoTの進化は生活を便利に、シンプルなものにしてくれるでしょう。そして弊社はこれからも「プロダクトカンパニー」であることを続けていきます。従来のマニファクチャリング技術と、インターネットによる新しい技術を融合させることで製造コストをさらに下げ、性能の高い製品を適正な価格で消費者の皆さんへ送り続けていきます。

──ありがとうございました。

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