このページの本文へ

業界人の《ことば》から 第403回

現金こそ防御だ、足軽隊は安心だから鉄砲を撃てる。ソフトバンク孫氏流の経営

2020年08月20日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

投資の成績と株主価値が、いい経営かどうかの指標だ

 では、ソフトバンクグループの経営評価は、なにを指標にすればいいのか。

 孫社長は、「それは、株主価値である」とする。

 「投資家が、仮に10種類の株式を所有していた場合、その合計が伸びたのか、減ったのか。借り入れがあったのならば、それを差し引いた後の投資成績はどうかということが大切な指標である。投資会社になったソフトバンクグループにとっても、同様に投資の成績が大切である」とする。

 また、こうも語る。

 「アリババの株価があがればあがるほど、ソフトバンクの持ち分財産は増加するが、会計上は株価があがればあがるほど、一時的なデリバティブ損失が計上させる。様々な一時的利益や損失が加わり、会計上の純利益が影響を受ける」。

営業利益よりも資産が増えた点を評価してほしいと孫氏

 では、株主価値という観点で見ると、ソフトバンクグループの評価はどうなるのか。

 孫社長は、2020年3月末時点で、保有株式によって28兆円の資産を持っており(アセットファイナンス控除前)、それに対して、6兆3000億円の純負債がある。これを引いた21兆7000億円が株主価値だとする。

 これが、2020年8月11日時点では、保有株式が30兆2000億円に増加し、純負債が5兆8000億円に減少。株主価値は24兆4000億円となり、2兆7000億円増加したとする。

 「株主としての資産がどれぐらい増えたかという点では、営業利益や純利益よりも、株主価値の指標が大切である。これが、唯一、最大の指標である」とした。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ