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クルマとスマホをつなげるSDLアプリを作ろう! 第5回

車好きとは違う視点があったほうが、きっとおもしろくなる

これまでのSDLアプリコンテストでの優秀な作品を振り返る!

2020年11月26日 11時00分更新

文● 藤井 創

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座談会参加者(写真左上から右下へ、敬称略)
遠藤 諭(角川アスキー総合研究所 主席研究員)
久田 智之(第1回、第2回応募者)
尾石 元気(第2回応募者)
市川 雅明(第2回応募者)
池澤 あやか(タレント。第一回、第二回最終審査会司会)

 今年で3回目となった、スマホとカーナビなどを連携するSDL(Smart Device Link)対応アプリを募るコンテスト「SDLアプリコンテスト 2020」。ですが、そもそもSDLアプリにはどういうものがあるのか、ご存知ではない方がまだまだ多いでしょう。

 そこで、これまでのSDLアプリコンテストに応募・参加した市川 雅明氏(第2回応募者)、尾石 元気氏(第2回応募者)、久田 智之氏(第1回、第2回応募者)と、第1回・第2回とも最終審査会で司会を務めた池澤あやかさん(タレント、エンジニア)、そしてSDLアプリコンテスト実行委員会の遠藤 諭事務局長がオンラインで集まり、これまでの作品の傾向を語りました。

 

当初は堅かったが、だんだんSDLの世界が広がってきた

―― まず第1回の2018年と第2回の2019年のコンテストでは、全体的にどのような傾向が見られたのでしょうか。

久田 智之(以下、久田) 技術とか、本当にいろいろ手探りでやった1年目と、ちょっとわかってきた2年目とでは、だいぶ違った気がします。

尾石 元気(以下、尾石) 2019年からの参加なんですが、2018年の作品を見ていると、実際の企業の人が作ったような、けっこうガチなものが多かったですよね。比較的堅いものが多い印象はありました。2019年は、ハッカソン的に自由なものが出てきたなぁという印象があります。

市川 雅明(以下、市川) 私も2019年に本戦に出たんですけれど、発表を聞いているだけでも、レベルが高いなと感じました。結果的に賞をいただいたんですが、正直これは勝てないなあって思っていましたね。皆さんデモとか発表が上手だったんで、そういうところの完成度も高いと感じました。

池澤 あやか(以下、池澤) 実は自分では運転しないんですけれど、でも車に乗っている時間って、運転者はスマホをいじれないし、同乗者も時間をもてあましていることが多いですよね。けっこう貴重な、ヒマな時間だなって思っていました。それを上手く解決してくれるアプリとか、あとは、もしもの事故に役立つようなアプリがあったりとか、今すぐリリースしてもユーザーがけっこうついてくれそうなアプリが多かった印象があります。


―― ここからは、コンテストで発表されたアプリで、気になるものを個別に語っていただきます。今回紹介するのは、以下のアプリです。


音楽系
シェアレコ……SDLのプロジェクションモードで、シェアした曲をマップに表示し、シェア曲に近づいたときに、自動再生するアプリ。

地図系
道の駅合戦……全国の道の駅を取り合うような、陣取り合戦ができるアプリ。
ミチログ……ユーザーの手動による道の評価と、SDLから運転情報を機械的に評価する自動評価を合わせて、そのミチを評価するアプリ。
IMAIKU……最小限の操作で、車と人が待ち合わせできるアプリ。

機能系 
車載補聴アプリ ピーポ……運転中、救急車のサイレンの音に気づかず急に曲がり角で救急車が現れたり、車内で会話が盛り上がって救急車の音に気づくのが遅れたりなど、そんなヒヤリハットをサポートするアプリ。
青だよアプリ……信号が青になったら「信号が青になりました」と音声で教えてくれるアプリ。
Nenpi!……車やバイクの燃料費を正確に表示・記録するアプリ。

運転・安全系
SOMPO - SDL……交通事故の際に、全部自動でやってくれるアプリ。
ハッキング小峠……バイクのスピードが遅ければ「攻めろ」、速ければ「減速」と表示されるアプリ。
こどもカメラ……カメラで後部座席の子ども監視したり記録したりできるアプリ。

気になる(おもしろ)系
KAWASAKI BUNBUN……位置情報を利用し、同様のアプリを使う他のライダーと接近した際に、接近ライダーの情報を知らせるアプリ。
ツンデレの女の子はお嫌いですか?……走行距離に応じてツンデレの女の子が徐々にデレていくアプリ。

プログラミング系
SDLratch……SDLアプリがScrachのようなもので作れる開発環境。


音楽系

「シェアレコ」

 

シェアレコは、SDLのプロジェクションモードでマップを表示します

―― 「シェアレコ」は、特定の地点に紐づけて楽曲をシェアできるアプリです。マップ上でシェアされた曲に近づくと、自動的に再生されます。

尾石 楽曲のシェアって、車に乗っているときに退屈しない要素のひとつですが、これのいいところは、単にお友だち同士でシェアするんじゃないというところです。その景色に合わせた音楽をシェアしてみたり、どの地域でどんな場所で聴かれているかを統計データにしてプレイリストを作れたり、そういった可能性を見いだせるかなと思いました。

久田 あと、最終審査会のデモの完成度も高かった。音楽系ってみんな何か思いつくんですけれど、それを具体化するには、少しハードルが高い部分があります。けれども、シェアレコはキュキュッときれいにまとめられていたと思いますね。

池澤 たとえば湘南の海岸って、そこが舞台になっているドラマとか曲とか、たくさんあるじゃないですか。そういうのがマッピングしてあると、そこにドライブに来るだけでも、すごくドライブ体験が変わりますよね。あと、いまクルマで音楽を聴くって、実はけっこう特殊な環境だなと思っています。

遠藤 諭(以下、遠藤) というと?

池澤 最近はスマホで、一人で音楽を聴くことがすごく多くなっています。けれども、クルマっておのずと家族で聴いたり、あとは友だち同士で聞いたり、同じクルマに乗った人と同じ曲を聴くことになるじゃないですか。音楽の趣味が合うかわからないのに。そういう、音楽を聴く環境としては特殊だというところを、考慮に入れる必要がありますよね。

遠藤 SDLではないんですけど、米国でUberに乗ったとき、自分のSpotifyのプレイリストがUberと同期して、プレイリストの楽曲がクルマの中で流れたんですよ。Uberに乗ると、乗客のスマホがカーナビを乗っ取っちゃうというか。これってすごいことだなと思っていて、池澤さんがおっしゃったように、普段は自分しか聴いていない曲を、一緒にUberに乗った途端に、同乗者や運転手も聴けちゃう。クルマって、そういうことが起きる空間ですよね。

地図系

「道の駅合戦」
 

全国の道の駅を取り合うような、陣取り合戦アプリ

―― 「道の駅合戦」は、道の駅での商品の購入金額を戦闘力として、チームごとに陣取り合戦を行うアプリです。

市川 これって、確かクルマのメーカーも要素に入っていませんでしたっけ?

遠藤 はい、クルマのメーカー対抗です。そういう意味でいうと、Ingressみたいですね。

久田 リアルな買い物が点数になるとか、けっこうおもしろいんです。オフライン to オフラインの要素がちょこちょこ入っていたり。実際できるかどうかはさておき、そういう取り組みっておもしろいと思います。

遠藤 そうですね。

久田 それでちょっと思い出したのが、バイク用のカーナビで、最短経路じゃなくて、景色がいい場所を案内したりするものがあるんです。たとえば、こっちの道のほうが30分長くかかるけれども、いい山が見えるぜ、みたいな。それで、そのときに聞いたのが、大型トラック用とかもちょっとずつ始まってたりすると。大きなトラックが停まれる場所を集め出しているとか、いくつかそういう流れがあるそうです。シーンによってっていうのは、今後もしかしたら増えるのかなあっていう感じがありますね。

遠藤 今だと、テイクアウトをやっているレストランだけがわかるとか。

久田 そうですね。何かそんないろいろな生活シーンに応じて、こういう家族だったらこうだよねとか、カップル利用ならこうだよねとか、そういう地図になっていくのかもしれませい。

遠藤 強調フィルタリング的な、Amazonである商品を買った人にはこれをオススメといったように、ひょっとしたら地図もだんだん自分と行動が似た人の地図になっていって、道が表示されないみたいな……。

一同 (笑)


「ミチログ」
 

ユーザー評価と運転情報によって、道路の価値を評価するアプリ

―― 「ミチログ」は、ユーザーによる道の評価と、SDLで取得した運転情報の機械的な評価を合わせて、その道を評価するとアプリです。

尾石 ダメだった道を報告するって観点が、今のカーナビになくていいかなと思います。

遠藤 道路の質を評価するにしても、場所によって変化しますよね。だから、同じ街道でも、最初はいいけれどその先は苦労するぜ、みたいな。道を評価するって、ありそうでなかったですよね。

尾石 事故が起きそうな時間や場所が載っている「ひやりマップ」みたいな観点のものはあったりしますが。

久田 冗談みたいなやつもありましたよね。スマホアプリだったと思いますけれど、“タマヒュンポイントマップ”みたいな。

遠藤 何ですか、 “タマヒュン”って?

久田 タマヒュンポイントっていう言葉があったんですよ。何か急にガタンッっていうところ。そういうのをマッピングしていこうって。

遠藤 ボストンだったと思うんですけれど、ユーザーが持つスマホの振動で、道路のどこが痛んでいるかが自動的にわかって、そこの道路を補修する取り組みをやっていましたよ

池澤 それ、よさそうですね。けっこう大変ですもんね、ユーザーが報告するのは。

市川 日本でも、スマホでバンプを測るっていうのが出ていて、会社になっていたと思います。ただ、それもスマホを置いて、キャリブレーションして、ローディングするっていう手順でやっていました。そのデータをどこまで活用しているかはちょっとわからないですけれど。

遠藤 ミチログのそういう、SDLコンソーシアム側もまったく予想していなかった観点というのは、すごくいいなぁと思います。お店を評価するとかはいっぱいありますが、道に何か人格を与えるような、そういう感じがいいですよね。


「IMAIKU」
 

最小限の操作で、車と人が待ち合わせできるアプリ

―― 「IMAIKU」(イマイク)は、運転者と待っている人の双方の位置を、操作することなく把握できるアプリです。

池澤 これはすごくいい。私は家族に迎えに来てもらうことがけっこうあるんですけれど、自分が発信する情報が少なすぎて、別の駅に行っちゃうみたいな事件が発生したりしていたので。これだと相手が必要な情報も、こっちが必要な情報もきちんとシェアできるじゃないですか。だから、待ち合わせにかかるストレスがすごく減るんじゃないかと思います。

遠藤 家族をUber化する、みたいな。

池澤 最初に、地図にどこに来てほしいかピンを打って、いまどこにいるかっとhていう位置情報が自動でシェアされて、スマホで位置情報をずっと共有できるようなシステムですよね。家族でも位置情報をずっと共有するのはイヤですけれど、これぐらい短期間だったらいいかなと。あと、クルマを運転しているときって、Googleマップはめっちゃ使いづらいって話をよく聞きます。細い道をめちゃめちゃ案内されるとか。

遠藤 そうそう。下手すると公園の上を斜めに走れとかなります。

池澤 本当にヒヤヒヤしながら走ることになるから、やっぱりクルマはクルマ用のナビをしてもらわないと困るんじゃないかなぁ。あと、車幅ってけっこうクルマによって違うじゃないですか。だから車種によって適正なルートが出るとかあれば、それも需要あるんじゃないかなって思います。

遠藤 カーナビって、自分の車の大きさを入力できるものってあるんでしょうか?

久田 おそらくないですよ。

遠藤 ないんだ。でも駐車場も、いわゆるエレベーター式のところとか、高さ制限がある駐車場もあるじゃないですか。そのあたりって、意外にやっていないのでしょうか。

尾石 ないですね。けれども、トンネルも高さ制限とかあるので、そういう情報はあっていいと思います。メーカーが提供するものではなく、ユーザー主導型の地図が、もしかするとSDLで作れるかもしれないですね。

機能系

「車載補聴アプリ ピーポ」
 

AIを使った音声解析によって、救急車のサイレンを検知します

―― 「車載補聴アプリ ピーポ」は、運転中にサイレンの音に気づかず、急に曲がり角で救急車が現れたり、車内で会話が盛り上がって救急車の音に気づくのが遅れたりなど、そんなヒヤリハットをサポートするアプリです。

市川 これすごいですね。私もアイディアとしては持っていたんですけれど、どうやって実現するかが考えついていませんでした。それで、実際にはAIを使ってということで、そういう手があったかと。なので、本当にこれには感心しました。

遠藤 これは、クルマに標準装備すればいいんじゃないかみたいな気持ちにも……。

久田 でも、それこそGPSでもいいのに、音でやるっていうところがいいですよね。

市川 そこです。アナログ+AIっていうのが、すごく心に刺さりました。

尾石 最近だと、ビックデータを使ってどうこうというのが、少し影を潜めてきていますよね。だから、アナログなところを攻めるのがおもしろいと思います。文字を読むとか、写真を撮るとか、音を聴くとか。

遠藤 時代はビックデータじゃない、精度の高い生データだ! みたいなことですかね。

尾石 やっぱり、サーバー上で蓄積して集めるんじゃなくて、ある程度オンボードでやりたいですよね。エッジコンピューティングの世界で。


「青だよアプリ」
 

スマホで機械学習して信号を認識し、青になったら教えてくれます

―― 信号が青になったら「信号が青になりました」と音声で教えてくれるアプリです。

尾石 シンプルですごくわかりやすい。

池澤 かなり話が変わっちゃうんですけれど、カメラ系のアプリって、クルマの中に設置したときに、どういうタイミングで活かせるかなって考えていたんです。クルマの中とか外の景色を、ドライブの記録として残したい人ってけっこう多いんじゃないかなと思って。何かこういい感じの思い出みたいな感じです。ホンダさんが昔アプリで、いい感じの音楽に乗せてムービーを作っちゃうのを出されていたと思うんですけれど……。

遠藤 自動的に映像を作っちゃうやつ、ありましたね(ホンダ「Road Movies」)。

池澤 外の景色とか室内の様子とか、そういうのを全部いい感じに撮って動画を作ってくれるとかだと、めちゃめちゃ嬉しいアプリだなって。そういう“思い出系”が、今後はあるのかなって思っています。

遠藤 思い出というところが重要かもしれないですね。

池澤 家族の思い出を残したい人は多いと思うんですけれど、撮る手間がいちいち大変だったりすると思うので。そういうのは自動化してくれるとユーザーとして嬉しいです。クルマだったら、走った道のGPSログとかも取得して、そういうデータを組み合わせた思い出ブックみたいな。


「Nenpi! ~結局燃費っていくらなん!?~」
 

SDLでガソリン消費量をリアルタイムで検出し、給油も自動的に認識して燃費を計算します

―― 「Nenpi! ~結局燃費っていくらなん!?~」は、車やバイクの燃料費を正確に表示・記録するアプリです。

久田 燃費っていうのをちゃんと「円」にしたのはすごいなって思ったんですよね。普通だったら、リッター何km走ったというところまでなのに、“1,000円でこれだけ走れた”までちゃんと表示するのは、ちょっとした発明かなって思うほどです。あと、インターフェースがきちんと作られていたのがよかったなと。

遠藤 全部統合化されているって感じですよね。

久田 これをハッカソンで作ったのが奈良高専の学生さんで、そのコツコツ作っているの姿が僕の中で印象に残っています。

遠藤 そういえば、ハッカソンが終わったら、メーカーの人達がリクルーティングしようとしていました。

久田 プログラミングはあんまりわからないって言いながら、見た目もきれいに作っています。それで、心からお金ないんですっていうのが伝わってくるというか、言い方を変えると、本当に自分がほしいものをちゃんと作ったっていう感じがします。

遠藤 燃費系って、2年間やったSDLアプリコンテストで、意外とこれしか出ていなかったような気がするんですが……。

尾石 メーカーのアプリとかにも燃費ってあるんですが、結局それってリッター何km走ったかを競い合うだけで、あまりお金っていう観点がありません。

遠藤 燃費って、昔からあるというか、定番ジャンルな気が私はします。

久田 いま、燃費がよくなりましたからね。

遠藤 あと、コロナ渦の影響で、これからどんどんガソリンが安くなるかもしれませんし、EVの普及で、話が違って来るかもしれません。

尾石 EVになるとまた観点が変わって、夜間の電力を安くしている人であれば、夜間に充電して何km走ったかって見方になります。これからこういったアプリって、違う進化を遂げるかもしれないですね。電気との兼ね合いとか、家とつながってどうかとか。

池澤 広告とかが出てもおもしろいですよね、このクルマだとすごく燃費節約になるよ、3分の1になるよみたいな。

遠藤 なるほど、クルマの中までそういう、ある意味スマホ的なものが押し寄せてくるかもしれません。

 

運転・安全系

「SOMPO-SDL」
 

「SOMPO-SDL」は交通事故の際に、連絡やクルマの挙動の保存を自動でやってくれるアプリ

―― 「SOMPO-SDL」は、事故に巻き込まれてしまった際、コールセンターに自動的に連絡したり、事故時の速度やハンドルの角度などをSDL経由で取得して、自動的に保存するアプリです。

池澤 これ、すごいですよね。何か事故が起きたときって、意図して起こしているわけではもちろんないし、そもそも経験回数も少ないと思うので、どこにどう電話したらいいかすら全然わからないと思うんです。どういう手続きを踏んだらいいかとか、どういうデータを残すべきかとか、まったくわからないと思うんですけれど、それを自動でやってくれるって、全車に搭載してほしい機能かなと思います。

遠藤 たしかに。

尾石 保険会社さんならではなのか、やっぱり安全に配慮した作りになっています。既存サービスに影響を与えないようにとか、ながら運転しないように警告を出すとかという、そこここに細かい仕掛けがあるのがいいですよね。

遠藤 もう本当に、業務用でガチで作っている感じがあって、すごく好感が持てました。本業のことをちゃんと考えて、当てはめてくれたといった感じです。

尾石 そうですね、車のデータをどう使うかまで書いてあったりとか。ACN(オートマチック・クラッシュ・ノーティフィケーション)に則ったデータフォーマットでやっていて、しっかり業務的だと思います。


「ハッキング小峠」
 

車速とこの先の道路の形状を見て、最適かつ安全な速度を指摘します

 

―― 「ハッキング小峠」は、峠を走る際、バイクのスピードが遅ければ「攻めろ」、速ければ「減速」と表示されるアプリです。

市川 これは発表も面白かったんですが、実際には峠を攻めるというのは危ないことじゃないですか。けれども、遅いバイクにはちゃんと適正な速度で攻めなさい、速いバイクにはスピードを落としなさい、峠を安全に攻めましょうっていうギャップが、非常に面白いと思いました。

遠藤 なるほど。

市川 バイクがメインですが、4輪車でもちろん攻めるので、両方あってもいいのかなと思います。それぞれパラメーターが違うと思うんですれども。峠を攻めるのは、気持ちいいんですよ(笑)。気持ちいいんで、安全に事故なく攻められれば、本当に万事OKですよね。


「こどもカメラ」
 

カメラで後部座席の子ども監視したり記録したりできるアプリ

―― 「こどもカメラ」は、クルマの後部座席に座った子どもの前にスマートフォンを設置すれば、SDLで接続した車載機にその映像を表示したり、記録したりアプリです。

池澤 すごくいいアプリだなぁ、と思いました。親の気持ちになってみると、後ろの席で子どもが何をしているかはわからないんで、つい後ろを振り返っちゃうことって多いと思うんですけれど、すごく危ないですよね。それよりは、前を向いたまま視線移動したほうが安全だと思います。そういう需要にキチンと応えて、なおかつ思い出を残せる機能も付いているっていうのは、とてもいいアプリケーションです。子どもの成長記録を残せるのもいいなって。

久田 そうなんですよね。子どもミラーっていう鏡が売られているんですけれども、あまり使えないんですよ。そんなに真後ろを見られるわけがないので

尾石 何かこれ、別の使い方もありそうです。パチンコ店とかで、クルマの中に子どもを置き去りにする事件がありますが、置き去りの通報の仕組みに使えるんじゃないかなって、思ったりします。

遠藤 子どもという軸で、まだまだ攻めどころがあるような気がします。

尾石 こういうアプリを個人の開発者でも作りやすくなるのが、SDLの魅力かもしれないですね。
 

気になる(おもしろ)系

「KAWASAKI BUNBUN」

同じアプリを使う者同士の、情報を共有するアプリ

―― 「KAWASAKI BUNBUN」は位置情報を利用して、同じアプリを使う他のライダーと接近した際に、その情報を知らせるアプリです。

市川 4輪でも2輪でも、クルマ間って、いまコミュニケーションが全然とれないじゃないですか。バイク間でコミュニケーションをとれる状況になれば、4輪とのコミュニケーションもいずれとれるんじゃないかなと思います。あと、よくバイクにあそこまで作って乗せたなと思って(笑)。

尾石 イベント用はコミュニティってけっこうあると思っていて、このアプリを使えば、車とかバイクのデータと連動したコミュニティが作れるんじゃないかとちょっと思っていて。

遠藤 たとえばどういうことですか?

尾石 さっきのハッキング小峠でしたっけ、あれも峠を攻めるっていう観点で、誰が1番安全に峠を攻められたかっていうのをデータで競い合ってコミュニティの中でランキング作るとか。まあっ、今まで車の車種とかバイクの車種と人物だけでつながっていたのを、今度はデータも含めて、コミュニティが作れるかなって。

市川 そうですね、たしかにコミュニティとかオフ会とか、集まりみたいなときに自分のデータがどれだけ凄いか見せるのもありなのかなって、非常に思いますね。なにか育てて来たとか、蓄積してきたのを、皆で報告しあうとか、そのようなコミュニティにもけっこう使えるかもしれないですね。

「ツンデレの女の子はお嫌いですか?」
 

走行距離に応じて最初はツンツンしていた女の子のキャラクターが、徐々にデレていくアプリ

市川 育成系は思いつくのですが、どこまでやるかが難しいところです。ちょっと友人と話したのが、『ドラゴンクエストウォーク』が流行ったじゃないですか。あれをナビの中でやったらどうかなって。ドラクエウォークのオートモードで勝手に戦ってくれて、ナビでグルグル街中を走るだけ。そう考えると、育成系もできるのかなと。コンテンツ次第で、爆発的に人気出そうだと思ったんです。

久田 ありそうだけれど、そのコンテンツ次第っていうのが、少し引っ掛かります。

遠藤 機能よりもコンテンツのクリエイティブ力が問われるみたいな感じでしょうか。

市川 安全性がちゃんと担保されるなら、自分の運転で、ナビ上で『マリオカート』ができるっていうのも、ありかなぁと思います。

遠藤 あまりそういうのはなかったんですよね、過去2年間は。

久田 やっぱり、まあいろいろ、権利関係があるから……。

市川 コンテンツ系は、そういうところは難しいですね。
 

プログラミング系

「SDLratch」

SDLアプリを、Scrachで作れる開発環境

遠藤 全員このアプリをオススメしていたけれど……。

尾石 子どもがプログラミングをして、ちょっと車で動かしたいからお出かけに連れていっていうアプローチが、すごく刺さりました。テクノロジーというよりは、車の乗り方に別のアプローチがあるんじゃないか、みたいなところで、可能性も感じました。今までは親がドライブ行くぞーって言って連れていくことが多かったと思うんですけれど、子どもからどこでもいいから連れてっていう新しい感覚が、すごくいいなあと。

池澤 大人だけの世界じゃなくて、子どもの遊び道具にもなると、本当の意味で家族の愛車になるみたいな。すごくすてきですよね。

市川 子どもが小さいうちから車に接するというか、乗るだけじゃなくて接するっていうのがいいですよね。

SDLの可能性

 

―― 最後に、今後のどのようなSDLアプリの登場を期待しているでしょうか?

市川 バイクとバイク、車と車とか、車とバイクとか、それぞれがコミュニケーションをとれる手段って、いまのところかなり少ないと思うので、そういった意思疎通ができるアプリが出るといいですよね。

遠藤 ボイスと何かの組み合わせとか、AI的なものとか、そういう感じなんでしょうか?

市川 そうですね、たとえば道を譲ってもらったときに、言葉でお礼し合うとか。あるいは譲るときに、譲るっていう信号を送れるといいなとは思っています。とくに車側からすると、バイクの動きってかなりわかりにくいので、抜きたいのかどうかとかを意思表示してもらいたい。強引に抜かれると、車側からするとかなり怖いですから。

遠藤 車もバイクも、今何か無言で仏頂面で走っているような感じなので、それをもうちょっと……。

市川 そうですね。車とかバイクにも表情があると、愛着もわきます。若い子たちも、買ってくれるかなとは思います。

尾石 可能性で見ると、先ほどの「SDLratch」みたいなのがあると、いろいろな人が開発に触れられて、どんどん意見が出てくると思います。そこのハードルを下げて、開発者を集めていろいろなものを作ってもらう。そして、それを自動車会社が吸い上げるというスタイルもいいんじゃないかなって。参入障壁を下げて、かつ、今のガチガチの車に、やわらかいものを入れるっていうのは、すごくいい環境だと思います。

久田 車の脳みその部分を、スマートフォンにしたらどうなるだろうっていうのが、このSDLだと思うんです。いま、家ってそうじゃないですか。スマートホームとか。家の場合は、スマホと家電をつないだりしますけれど、そういうふうに、車だったら、脳みそであるスマホと何をどのようにつなげばいいのか。そこが今後の課題になるのかなと考えます。

池澤 このコンテストって、クルマ好きな方が多く参加されると思うんですけれど、そういったクルマ好きのためのアプリもすごくおもしろいんですが、もっと違う視点が混ざってもおもしろいのかなと思っています。たとえば、女子高生×クルマとか、子ども×クルマとか、クルマ好きじゃない人の視点や違う産業の視点とかが入ると、今後もっとおもしろいアプリができるのかなって思いました。
 

「クルマとスマホをなかよくする SDLアプリコンテスト2020」

主催:SDLアプリコンテスト実行委員会(事務局:角川アスキー総合研究所)
協力:SDLコンソーシアム日本分科会
応募締切:2021年1月15日(金)24:00
募集内容:エミュレーターか開発キット上で開発したSDL対応アプリ(既存アプリのSDL対応、新規開発)
募集対象:年齢、性別、国籍等不問。個人・チームどちらでも応募可
応募方法:プレゼンシートと動作解説動画をWebフォームで応募
審査:審査員が新規性、UX・デザイン、実装の巧みさ等で評価
最終審査会:2021年3月上旬、東京都内で開催予定
グランプリ:賞金50万円+副賞
特別賞(最大5作品):賞金各10万円
公式サイト:http://sdl-contest.com/

■関連サイト

 

(提供:SDLコンソーシアム 日本分科会)

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