DVDプレーヤーやテレビに搭載されるプロセッサでトップシェアを持ち、スマートフォン向けSoCでもクアルコム「Snapdragon」、サムスン「Exynos」などと競争を続ける台湾のファブレス半導体メーカー、MediaTekが国内メディア向けに同社の5G対応SoC「Dimensity」シリーズを説明した。
MediaTek製SoCを搭載したスマートフォンというと、従来は海外メーカー製のSIMフリースマホのイメージが強かったが、ここに来て、京セラ製端末やサムスン「Galaxy A41」に搭載されるなど、キャリア向け端末でも採用例が広がっていることを紹介。また、NTTドコモとLTE関連技術でライセンス契約を結んで、ちょうど10年であるとし、スマートフォン向けモデムから国内メーカーが撤退した今でも、日本の技術が同社のモデムに用いられていることをアピールした。
リフレッシュレート144Hzにも対応
5GモデムはCA対応や省電力性能がアピールポイント
MediaTekの5G対応SoCはハイエンド向けの「Dimensity 1000+」とミドル向けの「Dimensity 800」シリーズに大きく分けられる。
Dimensity 1000+はTSMCの7nmプロセスで製造される最新チップで、高性能コアとしてすべてが2.6GHzで動作するCortex-A77を4つ搭載。GPUはMali-G77コアが9つとなっている。現在のハイエンドスマホではAI処理も欠かせないというわけで、同社独自IPによるAIプロセッサ(MediaTekではAPUと呼称)となる「MediaTek APU3.0」を搭載している。
そのほかの特徴としては、ISPは「Imagiqカメラ」という名称で80メガカメラの画像処理に対応、動画は4K/60fpsの撮影が可能。「MiraVisionディスプレイ」では144HzのリフレッシュレートやHDR10+に対応。メモリーコントローラーはLPDDR4xまでの対応で、最大16GB。無線LANはもちろんWi-Fi 6をサポートする。さらにゲーミング体験向上のために、SoCレベルでタッチ入力の遅延を減らす工夫や、信号が弱い環境でのネットワークのレイテンシを減らす技術などを盛り込んだ、「HyperEngine 2.0」と名付けられたゲーム最適化エンジンを搭載する。
5Gモデムについては、5Gでの2CC CAに業界で初めて対応。2020年以降に必須となる機能としてアピールされた。「MediaTek 5G UltraSave」と名付けられた省電力性能も売りで、他社製品と比較した平均消費電力で48%低下するという数字が同社調べのものとして示されている。一方で現時点の同社の5Gモデムはミリ波には非対応とのこと。
Dimensity 820/800についても、CPUやGPU、ISPの仕様には違いはあるものの、5GモデムにおけるCA対応や5G UltraSaveなどの機能はほぼ同等となっている。
実際の製品は、端末メーカーによる採用次第ではあるのだが、海外ではすでにシャオミがDimensity 820搭載モデルを発表しており、コスパに優れた5Gスマホの国内登場にも期待を持って良さそうだ。