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オリンパスのデジカメは序章、コロナ時代に事業売却が続出する理由

2020年07月13日 06時00分更新

文● ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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『週刊ダイヤモンド』7月18日号の第1特集は、「アフターコロナの業界総予測」です。新型コロナウイルスの問題を受け、あらゆる産業が視界不良に陥っています。急落した消費や需要がいつ回復するのか、明確に見通せない中、企業には生き残りをかけた厳しい経営判断が求められています。その中で続出する現象のひとつが事業売却。大ディール続出を見越して、投資ファンドはすでに活動を活発化させています。特集ではうごめくファンドの最新動向を交えつつ、コロナ時代の主要7業種の展望をレポートします。

オリンパスのカメラ、ペッパーフード…
大ディール続出にうずうずする人々

Photo:NurPhoto/gettyimages

 さあ、ゲームを始めよう――業界に満ちる空気を一言で表せばこうだ。バイアウト=企業や事業の買収を手掛けるプライベート・エクイティ(PE)ファンドの業界である。コロナ時代に日本の産業界からノンコア(非中核)事業の売却が相次ぐとみて、「バイアウト村の住人たち」はうずうずしている。

 事業売却大時代の嚆矢(こうし)はすでに放たれている。オリンパスは6月24日、デジタルカメラを中心とする映像事業を国内ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に売却すると発表した。年内の売却完了が目標で、オリンパスとJIPは現在、金額など売却条件を交渉中だ。

 7月3日には外食チェーン大手のペッパーフードサービスが低価格帯の洋食事業、ペッパーランチを国内ファンドのJ‐STARに売却すると発表した。8月末に85億円で売却し、その資金を中核事業の強化に投じる計画だ。

 コロナ以前から投資ファンド業界には、買収資金が集まっていた。長引く超低金利を背景に、よりリターンの大きいPEファンドに世界のお金が流れ込んでいた。ただ肝心の買収案件の数が十分でなく、ファンドが調達したお金は使われずに積み上がりがちだった。

 それがコロナ禍を受け、企業の間にはこれまでになく積極的に事業を売りに出す機運が高まっている。なぜか。

 どの企業も1つや2つは、「儲けは小さいが、売上高のかさ増しと従業員の雇用維持にはそれなりに役立っている」という事業を抱えているものだ。こういった事業は平時であれば、大儲けはできないが、他の事業を含めた企業全体ではなんとか帳尻が合うので、温存されたままになっている。

 だが平時と異なりコロナ時代にはまず、緊急事態宣言のような直接的な感染防止策で、消費・需要が急落する。今後数年間の中期展望でも、テレワークが定着する、都市間移動が減少するといったドラスティックな変化を受けて、「伸びる市場」「衰退する市場」が大きく変わっていく。こういった中、これまで大して稼がなかった事業は、「赤字の問題事業」に容易に転落してしまうのだ。

 問題事業の切り離しという消極的な動機ばかりが、事業売却続出の理由ではない。企業は足元では多少収益性が高くても、ノンコア(非中核)事業と位置づけており、長い目では経営資源を傾注できそうにない事業も、これからどんどん売却していく。

 企業の経営戦略に詳しいボストン・コンサルティング・グループの杉田浩章日本共同代表は、「優れた経営者はコロナのはるか前、前回危機のリーマンショックの後に、『こういうショックがまた起こったら、うちの会社はどうなってしまうのか』を真剣に考え抜いた。そして弱い事業を整理して、中核事業に経営資源を集中すべく、事業ポートフォリオを見直している」と指摘する。そしてこういった優れた経営者はコロナ時代の今、事業の集中と選択をいっそう真剣に考えているのだという。

 強い企業にとって事業売却は決して敗戦処理などではない。稼げる事業への積極的な投資戦略と表裏一体をなして進められるのだ。

 ならば、日本企業は今後どんな事業、どんな市場で稼ぐことができるのか。それを予測するために、ダイヤモンド編集部は、外資コンサルティングファーム4社の力を借りた。

 たとえば外食業界を予測したA.T.カーニーの関灘茂代表は、コロナショックによって外食の市場規模から5.2兆~7.8兆円相当の需要が消失する可能性を指摘している。

「外食市場がこれから数兆円規模で縮小する可能性を踏まえると、M&A(企業の合併・買収)や資産買収が起こる局面」(関灘代表)。コロナ以前から収益力や財務力がしっかりしていた企業にとっては、同業が抱える人材や店舗、ブランドなどの経営資源を獲得する機会なのだ。
 
 ただし外食業界は他業界に比べ、慢性的な低採算に悩まされている。これから脱却するには、単なる同業買収で規模の拡大を狙うだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の改善や、今までにない収益構造の見直し戦略に着手する必要もある。

「コロナショックで浮かび上がったのは、国内アパレル業界の構造的な問題だ」。そう指摘するのは、ローランド・ベルガーの福田稔パートナーだ。

 福田氏が指摘する構造問題とは、1990年代までの大量生産・大量消費モデルがいまだに業界に根付いているということだ。この結果、コロナ以前からアパレル業界には大量の過剰在庫が積み上がっていた。「直近のデータで言うと、需要の倍以上のアパレル製品が市場に投下され、年間ざっと15億点に上る過剰在庫の多くが廃棄されている」と福田氏は明らかにする。この旧来モデルを脱するためには、何に取り組むべきか?特集では、詳細な分析を加えている。

※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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